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2022年2月25日

ヴィヴィアーニの定理

 ヴィヴィアーニの定理が成立することを確かめてみます。


ヴィヴィアーニの定理
 ヴィヴィアーニの定理とは、正三角形の内側の任意の点から各辺に垂線をおろすと3本の垂線の長さの和が点の位置に関わらず一定になるという定理です。

正三角形を3つの三角形に分割する
 正三角形ABCABCの内側の任意の点をPPとし、PPから各辺AB, BC, CAAB, BC, CAに垂線をおろしそれぞれの垂線の長さをa,b,ca,b,cとします。また、正三角形ABCABCの1辺の長さをllとします。
AP, BP, CPAP, BP, CPを引き、PAB, PBC, PCAPAB, PBC, PCAの面積について考えると
PAB=12alPBC=12blPCA=12clPAB=12alPBC=12blPCA=12cl
また、
ABC=△PAB+PBC+PCAABC=PAB+PBC+PCA
で、正三角形の高さは1辺の長さの3232倍であるから
ABC=12×l×32l=34l2ABC=12×l×32l=34l2
したがって、
34l2=12al+12bl+12cl=12l(a+b+c)34l2=12al+12bl+12cl=12l(a+b+c)
両辺を12l12lで割ると
32l=a+b+c32l=a+b+c
となるから、a+b+ca+b+cは常に正三角形ABCABCの高さと等しいことがわかります。

 正三角形以外の三角形だと以下のように成立しないことがわかります。

任意の三角形を3つの三角形に分割する
正三角形を除く任意のABCABCの内側の任意の点をPPとし、\text{P}から各辺AB, BC, CAAB, BC, CAに垂線をおろしそれぞれの垂線の長さをa,b,ca,b,cとします。
ABCABCPAB, PBC, PCAPAB, PBC, PCAそれぞれの面積の関係は
ABC=△PAB+PBC+PCA=12aAB+12bBC+12cCAABC=PAB+PBC+PCA=12aAB+12bBC+12cCA
両辺を12AB12ABで割ると
2ABABC=a+BCABb+CAABc2ABABC=a+BCABb+CAABc
両辺に(1BCAB)b+(1CAAB)c(1BCAB)b+(1CAAB)cを加えると
2ABABC+(1BCAB)b+(1CAAB)c=a+b+c2ABABC+(1BCAB)b+(1CAAB)c=a+b+c
となります。この式より、点PPの位置が変わると左辺がb,cb,cによって変化するため、a+b+ca+b+cは一定にはならないことがわかります。これはBC, CABC, CAの長さで割った場合も同様です。

 この性質は正三角形に限らず正多角形であれば同様の方法で成り立つことを確かめることができます。

また、以下より平行四辺形においても成り立つことがわかります。

平行四辺形を4つの三角形に分割する
平行四辺形ABCDABCDの内側の任意の点を\text{P}とし、各辺AB, BC, CD, DAAB, BC, CD, DAに垂線をおろしそれぞれの垂線の長さをa,b,c,da,b,c,dとします。また、平行四辺形の各辺の長さはAB=CD=x,BC=DA=yAB=CD=x,BC=DA=yとします。
PPから各頂点へAP, BP, CP, DPAP, BP, CP, DPを引くと、平行四辺形ABCDABCDの面積とPAB, PBC, PCD, PDAPAB, PBC, PCD, PDAの各面積の関係は
ABCD=△PAB+PBC+PCD+PDA=12ax+12by+12cx+12dy=12(a+c)x+12(b+d)yABCD=PAB+PBC+PCD+PDA=12ax+12by+12cx+12dy=12(a+c)x+12(b+d)y
ここで平行四辺形ABCDABCDABABまたはCDCDを底辺とするとa+ca+cが高さ、BCBCまたはDADAを底辺とするとb+db+dが高さとなるので
ABCD=(a+c)x=(b+d)yABCD=(a+c)x=(b+d)y
となるから
12(a+c)x=12ABCDa+c=ABCDx12(b+d)y=12ABCDb+d=ABCDy12(a+c)x=12ABCDa+c=ABCDx12(b+d)y=12ABCDb+d=ABCDy(1)(2)
したがって、(1),(2)(1),(2)より
a+b+c+d=ABCDx+ABCDya+b+c+d=ABCDx+ABCDy
となるため、点PPの位置に関わらず垂線の長さの和は常に一定になります。

このことからヴィヴィアーニの定理を四角形も含むように拡張すると正方形だけでなく平行四辺形に含まれる長方形、ひし形でも成り立つことがわかります。


外部リンク:ヴィヴィアーニの定理 - Wikipedia

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