ヴィヴィアーニの定理が成立することを確かめてみます。
正三角形\text{ABC}の内側の任意の点を\text{P}とし、\text{P}から各辺\text{AB, BC, CA}に垂線をおろしそれぞれの垂線の長さをa, b, cとします。また、正三角形\text{ABC}の1辺の長さをlとします。
\text{AP, BP, CP}を引き、△\text{PAB, }△\text{PBC, }△\text{PCA}の面積について考えると
\begin{align*}△\text{PAB}&=\frac{1}{2}al\\[1em]△\text{PBC}&=\frac{1}{2}bl\\[1em]△\text{PCA}&=\frac{1}{2}cl\end{align*}
また、
△\text{ABC}=△\text{PAB}+△\text{PBC}+△\text{PCA}
で、正三角形の高さは1辺の長さの\dfrac{\sqrt{3}}{2}倍であるから
△\text{ABC}=\frac{1}{2}×l×\frac{\sqrt{3}}{2}l=\frac{\sqrt{3}}{4}l^2
したがって、
\begin{align*}\frac{\sqrt{3}}{4}l^2&=\frac{1}{2}al+\frac{1}{2}bl+\frac{1}{2}cl\\[0.5em]&=\frac{1}{2}l(a+b+c)\end{align*}
両辺を\dfrac{1}{2}lで割ると
\frac{\sqrt{3}}{2}l=a+b+c
となるから、a+b+cは常に正三角形\text{ABC}の高さと等しいことがわかります。
正三角形以外の三角形だと以下のように成立しないことがわかります。
正三角形を除く任意の△\text{ABC}の内側の任意の点を\text{P}とし、\text{P}から各辺\text{AB, BC, CA}に垂線をおろしそれぞれの垂線の長さをa, b, cとします。
△\text{ABC}と△\text{PAB, }△\text{PBC, }△\text{PCA}それぞれの面積の関係は
\begin{align*}△\text{ABC}&=△\text{PAB}+△\text{PBC}+△\text{PCA}\\[0.5em] &=\frac{1}{2}a\cdot
\text{AB}+\frac{1}{2}b\cdot \text{BC}+\frac{1}{2}c\cdot \text{CA}\end{align*}
両辺を\dfrac{1}{2}\text{AB}で割ると
\frac{2}{\text{AB}}△\text{ABC}=a+\frac{\text{BC}}{\text{AB}}b+\frac{\text{CA}}{\text{AB}}c
両辺に\left(1-\dfrac{\text{BC}}{\text{AB}}\right)b+\left(1-\dfrac{\text{CA}}{\text{AB}}\right)cを加えると
\frac{2}{\text{AB}}△\text{ABC}+\left(1-\frac{\text{BC}}{\text{AB}}\right)b+\left(1-\frac{\text{CA}}{\text{AB}}\right)c=a+b+c
となります。この式より、点\text{P}の位置が変わると左辺がb, cによって変化するため、a+b+cは一定にはならないことがわかります。これは\text{BC, CA}の長さで割った場合も同様です。
この性質は正三角形に限らず正多角形であれば同様の方法で成り立つことを確かめることができます。
また、以下より平行四辺形においても成り立つことがわかります。
平行四辺形\text{ABCD}の内側の任意の点を\text{P}とし、各辺\text{AB, BC, CD, DA}に垂線をおろしそれぞれの垂線の長さをa, b, c, dとします。また、平行四辺形の各辺の長さは\text{AB}=\text{CD}=x, \text{BC}=\text{DA}=yとします。
点\text{P}から各頂点へ\text{AP, BP, CP, DP}を引くと、平行四辺形\text{ABCD}の面積と△\text{PAB, }△\text{PBC, }△\text{PCD, }△\text{PDA}の各面積の関係は
\begin{align*}□\text{ABCD}&=△\text{PAB}+△\text{PBC}+△\text{PCD}+△\text{PDA}\\[0.5em]&=\frac{1}{2}ax+\frac{1}{2}by+\frac{1}{2}cx+\frac{1}{2}dy\\[0.5em]&=\frac{1}{2}(a+c)x+\frac{1}{2}(b+d)y\end{align*}
ここで平行四辺形\text{ABCD}の\text{AB}または\text{CD}を底辺とするとa+cが高さ、\text{BC}または\text{DA}を底辺とするとb+dが高さとなるので
□\text{ABCD}=(a+c)x=(b+d)y
となるから
\begin{align*}\frac{1}{2}(a+c)x&=\frac{1}{2}□\text{ABCD}\\[0.5em]a+c&=\frac{□\text{ABCD}}{x}\tag1\\[1em]\frac{1}{2}(b+d)y&=\frac{1}{2}□\text{ABCD}\\[0.5em]b+d&=\frac{□\text{ABCD}}{y}\tag2\end{align*}
したがって、(1), (2)より
a+b+c+d=\frac{□\text{ABCD}}{x}+\frac{□\text{ABCD}}{y}
となるため、点\text{P}の位置に関わらず垂線の長さの和は常に一定になります。
このことからヴィヴィアーニの定理を四角形も含むように拡張すると正方形だけでなく平行四辺形に含まれる長方形、ひし形でも成り立つことがわかります。
外部リンク:ヴィヴィアーニの定理 - Wikipedia
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