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2022年2月12日

対数の計算法則

 対数とは、べき乗の指数に着目した数のことです。

べき乗と対数、掛け算と割り算の比較
$a^b=M$となるとき、指数$b$は$a$と$M$をもちいて$\log_a M$と表すことができます。この$\log_a M$が対数です。
また、$a^b=M$から$b=\log_a M$へ変形することを対数をとるといいます。
対数の$a$を、$M$を真数と呼びます。
底が$a>0$のとき真数は$a^b=M>0$となります。これを真数条件と呼びます。

べき乗と対数の関係を掛け算で例えると$a×b=M$となるときの因数$b$を求める計算$M÷a$に相当しますが、対数は数の一種であるので割り算より分数$\dfrac{M}{a}$のほうがより適切でしょう。

こういった関係であるので、
\[a×\frac{M}{a}=M\]
と書けるように
\[a^{\log_a M}=M\]
と書くことができます。

 対数の計算法則には
\begin{align*}\log_a M+\log_a N&=\log_a MN \tag{a}\\[1em]\log_a M-\log_a N&=\log_a \frac{M}{N}\tag{b}\\[1em]p\log_a M&=\log_a M^p\tag{c}\\[1em]\log_a M&=\frac{\log_n M}{\log_n a}\tag{d}\end{align*}
があり、これらがなぜ成り立つのかについて考えます。

(a)対数の和

対数の和
 $a^b×a^c$は指数の計算法則より$a^{b+c}$となります。
また$a^b=M,a^c=N$とおけば$a^{b+c}=MN$となり、それぞれ対数をとれば$b=\log_a M,c=\log_a N,b+c=\log_a MN$と書けるので
\[\log_a M+\log_a N=\log_a MN\]
が成り立ちます。

(b)対数の差

対数の差
 $\dfrac{a^b}{a^c}$は指数の計算法則より$a^{b-c}$となります。
また$a^b=M,a^c=N$とおけば$a^{b-c}=\dfrac{M}{N}$となり、それぞれ対数をとれば$b=\log_a M,c=\log_a N,b-c=\log_a \dfrac{M}{N}$と書けるので
\[\log_a M-\log_a N=\log_a \frac{M}{N}\]
が成り立ちます。

(c)対数の実数倍

対数の実数倍
 $(a^b)^p$は指数の計算法則より$a^{pb}$となります。
$a^b=M$とおけば$(a^b)^p=a^{bp}=M^p$となり、それぞれ対数をとれば$b=\log_a M,bp=\log_a M^p$と書けるので
\[p\log_a M=\log_a M^p\]
が成り立ちます。

また、$a^b=M,a=n^c$であるとすると$a^b=\left(n^c\right)^b=n^{bc}=M$より、$\log_{n^c}M=b,\log_n M=bc$であるから
\[\log_{n^c}M=\frac{1}{c}\log_n M\]
が成り立ちます。


(d)対数の商

対数の底の変換公式
 $a^b=M,a^c=N$という同じ底のべき乗を考えます。
$a^c=N$は両辺を$1/c$乗すると$a=N^\dfrac{1}{c}\ \cdots(*)$となります。
$a^b=M$に$(*)$を代入すると
\[\left(N^\frac{1}{c}\right)^b=N^\frac{b}{c}=M\]
真ん中の辺と右辺の対数をとると
\[\frac{b}{c}=\log_N M\]
$a^b=M$と$(*)$の両辺の対数をとるとそれぞれ$b=\log_a M,\dfrac{1}{c}=\log_N a$となるので
\begin{align*}b\cdot\frac{1}{c}=\log_a M\cdot\log_N a&=\log_N M\\[0.5em]\log_a M&=\frac{\log_N M}{\log_N a}\end{align*}
が成り立ちます。これを底の変換公式といいます。
また、これを利用して
\begin{align*}\log_a{b}&=\frac{\log_b{b}}{\log_b{a}}\\[0.5em]&=\frac{1}{\log_b{a}}\end{align*}
という関係が成り立ちます。

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