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2022年2月23日

絶対値のある2次方程式の実数解の個数

「$|x^2-3x-18|=x+k$が実数解をもつときの$k$の値の範囲を実数解の個数ごとに場合分けをして答えよ。」

このような問題はどのように解けばよいでしょうか?

 この方程式は連立方程式
\begin{cases}y=|x^2-3x-18|\\[0.5em] y=x+k\end{cases}
からできたものと考え、この2関数のグラフから共有点の個数を調べてみます。
y=|x^2-3x-18|とy=x+k
図1 $y=|x^2-3x-18|$と$y=x+k$
 $y=|x^2-3x-18|$のグラフは、絶対値の中の$x^2-3x-18$を因数分解すると$(x+3)(x-6)$になるため、x軸との共有点は$(-3,0),(6,0)$であることがわかります。また、下に凸の放物線であるため$-3<x<6$の範囲において$x^2-3x-18<0$となります。
しかし、$|x^2-3x-18|\geqq0$であるため$-3<x<6$のとき$|x^2-3x-18|=-(x^2-3x-18)$となります。したがって、
\begin{align*}y&=|x^2-3x-18|\\ &\Leftrightarrow\begin{cases}y=x^2-3-18&(x\leqq-3,6\leqq x)\\[0.5em] y=-(x^2-3x-18)\\ \quad=-x^2+3x+18&(-3<x<6)\end{cases}\end{align*}
となります。
このグラフは図1の青線となります。
 $y=x$を平行移動、すなわちy切片となる$y=x+k$の$k$の値を変化させて$y=|x^2-3x-18|$との共有点の個数を見ていくと、
$y=x+k$が$(6,0)$を通るとき、すなわち
\begin{align*}0&=6+k\\[0.5em] k&=-6\tag{a}\end{align*}
のとき、共有点は1個
このときの$y=x+k$のグラフは図1の緑線です。

$k$が$(a)$より小さくなる、すなわち$k<-6$のとき共有点は0個
このとき$y=x+k$のグラフは右下のドット柄の範囲にあります。

$y=x+k$が$(-3,0)$を通るとき、すなわち
\begin{align*}0&=-3+k\\[0.5em] k&=3\tag{b}\end{align*}
のとき、共有点は3個
このとき$y=x+k$のグラフは図1の$(-3,0)$を通る方のオレンジ線です。

$k$が$(a)$と$(b)$の間、すなわち$-6<k<3$のとき共有点は2個
このとき$y=x+k$のグラフは図1右下の青い縞柄の範囲にあります。

$y=x+k$が$y=-x^2+3x+18\ (-3<x<6)$と接するとき共有点は3個
このときの$k$の値は、共有点を求める連立方程式
\begin{cases}y=-x^2+3x+18\\[0.5em] y=x+k\end{cases}
より$x^2-2x-18+k=0$が得られるので、判別式をもちいて
\[D=(-2)^2-4\cdot1\cdot(-18+k)=76-4k\]
2次関数と1次関数が接するとき$D=0$を調べれば良いので
\begin{align*}D=76-4k&=0\\[0.5em] k&=19\tag{c}\end{align*}
であることがわかります。
このとき、$y=x+k$のグラフは図1左上のオレンジ線です。

$k$が$(b)$と$(c)$の間、すなわち$3<k<19$のとき共有点は4個
このとき$y=x+k$のグラフは図1の赤い横縞柄の範囲にあります。

$k$が$(c)$より大きいとき、すなわち$k>19$のとき共有点は2個
このとき$y=x+k$のグラフは図1左上の青い縞柄の範囲にあります。

 共有点の個数はそれぞれの$k$の値のときの実数解の個数となるため以上をまとめると
  • 実数解が0個のとき$k<-6$
  • 実数解が1個のとき$k=-6$
  • 実数解が2個のとき$-6<k<3,19<k$
  • 実数解が3個のとき$k=3,19$
  • 実数解が4個のとき$3<k<19$
となります。

求める答えは実数解をもつときの$k$の値の範囲なので、実数解が0個のときを除いたものが答えとなります。


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