「どの対辺も平行でない円に内接する四角形$\text{ABCD}$の辺$\text{AB}$と$\text{CD}$をそれぞれ延長したときの交点を$\text{E}$、辺$\text{BC}$と$\text{AD}$をそれぞれ延長したときの交点を$\text{F}$とする。
このとき、$∠\text{AED}$の二等分線と$∠\text{CFD}$の二等分線は直交することを示せ。」
このとき、$∠\text{AED}$の二等分線と$∠\text{CFD}$の二等分線は直交することを示せ。」
2通りの方法でこの問題を解いてみます。
2通りの方法では共通して$∠\text{AED}$の二等分線と辺$\text{AD, BC}$との交点をそれぞれ$\text{G, H}$、$∠\text{CFD}$の二等分線と辺$\text{CD, AB}$との交点をそれぞれ$\text{I, J}$、$∠\text{AED}$の二等分線と$∠\text{CFD}$の二等分線との交点を$\text{K}$とします。
すると、この問題の最終的な目標は$\text{EH}⊥\text{FJ}$であることを確かめることとなります。
1つずつ角度を調べていく方法
1つずつ角度を調べて$∠\text{AED}$の二等分線と$∠\text{CFD}$の二等分線が直交することを確かめます。
$∠\text{A}=α,∠\text{B}=β$とすると円に内接する四角形の性質より$∠\text{C}=180°-α,∠\text{D}=180°-β$となります。また、$∠\text{DAE}=180°-α,∠\text{ADE}=β,$ $∠\text{DCF}=α,∠\text{CDF}=β$となります。
$△\text{AED}$に着目すると、$∠\text{AED}$は
すると、$∠\text{DEG}$は
さらに$∠\text{DGE}$の対頂角である$∠\text{AGK}$も
\begin{align*}∠\text{AED}&=180°-(∠\text{EAD}+∠\text{EDA})\\[0.5em]&=180°-\bigl\{(180°-\alpha)+\beta\bigr\}\\[0.5em]&=\alpha-\beta\end{align*}
となります。すると、$∠\text{DEG}$は
\begin{align*}∠\text{DEG}&=\frac{∠\text{AED}}{2}\\[0.5em]&=\frac{\alpha-\beta}{2}\end{align*}
となり、$△\text{DEG}$において$∠\text{DGE}$は
\begin{align*}∠\text{DGE}&=180°-(∠\text{DEG}+∠\text{EDG})\\[0.5em]&=180°-\left(\frac{\alpha-\beta}{2}+\beta\right)\\[0.5em]&=180°-\frac{\alpha+\beta}{2}\end{align*}
となります。さらに$∠\text{DGE}$の対頂角である$∠\text{AGK}$も
\begin{equation}∠\text{AGK}=180°-\frac{\alpha+\beta}{2}\end{equation}
となります。
次に$△\text{CFD}$に着目すると、$∠\text{CFD}$は
すると、$∠\text{CFI}$は
\begin{align*}∠\text{CFD}&=180°-(∠\text{DCF}+∠\text{CDF})\\[0.5em]&=180°-(\alpha+\beta)\end{align*}
となります。すると、$∠\text{CFI}$は
\begin{align*}∠\text{CFI}&=\frac{∠\text{CFD}}{2}\\[0.5em]&=90°-\frac{\alpha+\beta}{2}\end{align*}
となり、$△\text{CFI}$において$∠\text{CIF}$は
\begin{align*}∠\text{CIF}&=180°-(∠\text{CFI}+∠\text{FCI})\\[0.5em]&=180°-\left\{\left(90°-\frac{\alpha+\beta}{2}\right)+\alpha\right\}\\[0.5em]&=90°-\left(\alpha-\frac{\alpha+\beta}{2}\right)\\[0.5em]&=90°-\frac{\alpha-\beta}{2}\end{align*}
となります。
ここで、$△\text{CFI}$と$△\text{AFJ}$に着目すると、$∠\text{CFI}=∠\text{AFJ},∠\text{FCI}=∠\text{FAJ}$より2組の角がそれぞれ等しいので相似であることがわかります。
ゆえに
ゆえに
\begin{equation}∠\text{CIF}=∠\text{AJF}=90°-\frac{\alpha-\beta}{2}\end{equation}
となります。
$□\text{AJKG}$に着目して、$(1),(2)$より
\begin{align*}∠\text{GKJ}&=360°-(∠\text{A}+∠\text{AGK}+∠\text{AJK})\\[0.5em]&=360°-\left\{\alpha+\left(180°-\frac{\alpha+\beta}{2}\right)+\left(90°-\frac{\alpha-\beta}{2}\right)\right\}\\[0.5em]&=90°-\left(\alpha-\frac{\alpha+\beta}{2}-\frac{\alpha-\beta}{2}\right)\\[0.5em]&=90°\end{align*}
となり、辺$\text{GK, JK}$はそれぞれ直線$\text{EH, FJ}$の一部分なので$\text{EH}⊥\text{FJ}$が成り立ちます。
したがって、$∠\text{AED}$の二等分線と$∠\text{CFD}$の二等分線は直交することがわかりました。
二等辺三角形を見つける方法
$△\text{DFI}$に着目すると、外角の定理より
\begin{equation}∠\text{EIJ}=∠\text{FDI}+∠\text{DFI}\end{equation}
が成り立ちます。
また、$△\text{BFJ}$に着目すると、外角の定理より
\begin{equation}∠\text{EJI}=∠\text{FBJ}+∠\text{BFJ}\end{equation}
が成り立ちます。
ここで、円に内接する四角形の性質より$∠\text{FDI}=∠\text{FBJ}$、二等分した角より$∠\text{DFI}=∠\text{BFJ}$であり、$(3),(4)$より$∠\text{EIJ}=∠\text{EJI}$となります。
このことから$△\text{EIJ}$は二等辺三角形であることがわかります。
このことから$△\text{EIJ}$は二等辺三角形であることがわかります。
すると、$∠\text{AED}$の二等分線$\text{EH}$は$△\text{EIJ}$においては頂角$∠\text{IEJ}$の二等分線であるので、底辺$\text{IJ}$に対し垂直です。
さらに、辺$\text{IJ}$は$∠\text{CFD}$の二等分線$\text{FJ}$の一部分なので、$\text{EH}⊥\text{FJ}$が成り立ちます。
したがって、$∠\text{AED}$の二等分線と$∠\text{CFD}$の二等分線は直交することがわかりました。
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