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2023年8月11日

交差する角の二等分線は直交する?

円に内接する四角形と対辺の延長のなす角の二等分線
「どの対辺も平行でない円に内接する四角形$ABCD$の辺$AB$と$CD$をそれぞれ延長したときの交点を$E$、辺$BC$と$AD$をそれぞれ延長したときの交点を$F$とする。
このとき、$∠AED$の二等分線と$∠CFD$の二等分線は直交することを示せ。」

 2通りの方法でこの問題を解いてみます。
円に内接する四角形と対辺の延長がなす角の二等分線
2通りの方法では共通して$∠AED$の二等分線と辺$AD,BC$との交点をそれぞれ$G,H$、$∠CFD$の二等分線と辺$CD,AB$との交点をそれぞれ$I,J$、$∠AED$の二等分線と$∠CFD$の二等分線との交点を$K$とします。

すると、この問題の最終的な目標は$EH⊥FJ$であることを確かめることとなります。


1つずつ角度を調べていく方法

 1つずつ角度を調べて$∠AED$の二等分線と$∠CFD$の二等分線が直交することを確かめます。
円に内接する四角形の内角と外角を求める
$∠A=α,∠B=β$とすると円に内接する四角形の性質より$∠C=180°-α,∠D=180°-β$となります。また、$∠DAE=180°-α,∠ADE=β,$$∠DCF=α,∠CDF=β$となります。
∠AGKを求める
 $△AED$に着目すると、$∠AED$は
\begin{align*}∠AED&=180°-(∠EAD+∠EDA)\\[0.5em]&=180°-\bigl\{(180°-\alpha)+\beta\bigr\}\\[0.5em]&=\alpha-\beta\end{align*}
となります。
すると、$∠DEG$は
\begin{align*}∠DEG&=\frac{∠AED}{2}\\[0.5em]&=\frac{\alpha-\beta}{2}\end{align*}
となり、$△DEG$において$∠DGE$は
\begin{align*}∠DGE&=180°-(∠DEG+∠EDG)\\[0.5em]&=180°-\left(\frac{\alpha-\beta}{2}+\beta\right)\\[0.5em]&=180°-\frac{\alpha+\beta}{2}\end{align*}
となります。
さらに$∠DGE$の対頂角である$∠AGK$も
\begin{equation}∠AGK=180°-\frac{\alpha+\beta}{2}\end{equation}
となります。

∠AJFを求める
 次に$△CFD$に着目すると、$∠CFD$は
\begin{align*}∠CFD&=180°-(∠DCF+∠CDF)\\[0.5em]&=180°-(\alpha+\beta)\end{align*}
となります。
すると、$∠CFI$は
\begin{align*}∠CFI&=\frac{∠CFD}{2}\\[0.5em]&=90°-\frac{\alpha+\beta}{2}\end{align*}
となり、$△CFI$において$∠CIF$は
\begin{align*}∠CIF&=180°-(∠CFI+∠FCI)\\[0.5em]&=180°-\left\{\left(90°-\frac{\alpha+\beta}{2}\right)+\alpha\right\}\\[0.5em]&=90°-\left(\alpha-\frac{\alpha+\beta}{2}\right)\\[0.5em]&=90°-\frac{\alpha-\beta}{2}\end{align*}
となります。
ここで、$△CFI$と$△AFJ$に着目すると、$∠CFI=∠AFJ,∠FCI=∠FAJ$より2組の角がそれぞれ等しいので相似であることがわかります。
ゆえに
\begin{equation}∠CIF=∠AJF=90°-\frac{\alpha-\beta}{2}\end{equation}
となります。

四角形AJKGの3つの内角
 $□AJKG$に着目して、$(1),(2)$より
\begin{align*}∠GKJ&=360°-(∠A+∠AGK+∠AJK)\\[0.5em]&=360°-\left\{\alpha+\left(180°-\frac{\alpha+\beta}{2}\right)+\left(90°-\frac{\alpha-\beta}{2}\right)\right\}\\[0.5em]&=90°-\left(\alpha-\frac{\alpha+\beta}{2}-\frac{\alpha-\beta}{2}\right)\\[0.5em]&=90°\end{align*}
となり、辺$GK,JK$はそれぞれ直線$EH,FJ$の一部分なので$EH⊥FJ$が成り立ちます。

したがって、$∠AED$の二等分線と$∠CFD$の二等分線は直交することがわかりました。


二等辺三角形を見つける方法

外角の定理を利用して二等辺三角形を見つける
 $△DFI$に着目すると、外角の定理より
\begin{equation}∠EIJ=∠FDI+∠DFI\end{equation}
が成り立ちます。
また、$△BFJ$に着目すると、外角の定理より
\begin{equation}∠EJI=∠FBJ+∠BFJ\end{equation}
が成り立ちます。

 ここで、円に内接する四角形の性質より$∠FDI=∠FBJ$、二等分した角より$∠DFI=∠BFJ$なので、$(3),(4)$より$∠EIJ=∠EJI$となります。
このことから$△EIJ$は二等辺三角形であることがわかります。
すると、$∠AED$の二等分線$EH$は$△EIJ$においては頂角$∠IEJ$の二等分線であるので、底辺$IJ$に対し垂直です。

さらに、辺$IJ$は$∠CFD$の二等分線$FJ$の一部分なので、$EH⊥FJ$が成り立ちます。

したがって、$∠AED$の二等分線と$∠CFD$の二等分線は直交することがわかりました。

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