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2023年8月9日

余弦定理とベクトル

余弦定理をベクトルで
 △\text{ABC}において、∠\text{A}=θとすると余弦定理
\begin{equation}\text{BC}^2=\text{AB}^2+\text{AC}^2-2\text{AB}\cdot \text{AC}\cos\theta\end{equation}
が成り立ちます。

ではここで、\vec{\text{AB}},\vec{\text{AC}},\vec{\text{BC}}というベクトルを考えたとき、余弦定理はベクトルでどのように表すことができるのでしょうか?


 3辺の長さ\text{AB, AC, BC}はベクトルにおいてはそれぞれベクトルの大きさ|\vec{\text{AB}}|,|\vec{\text{AC}}|,|\vec{\text{BC}}|に相当します。
したがって、(1)はベクトルの大きさをもちいて
|\vec{\text{BC}}|^2=|\vec{\text{AB}}|^2+|\vec{\text{AC}}|^2-2|\vec{\text{AB}}||\vec{\text{AC}}|\cos\theta
と書くことができます。
さらに、右辺の最後の項の|\vec{\text{AB}}||\vec{\text{AC}}|\cos\thetaの部分はベクトルの内積の定義式の形をしているので、最終的に(1)
|\vec{\text{BC}}|^2=|\vec{\text{AB}}|^2+|\vec{\text{AC}}|^2-2\vec{\text{AB}}\cdot\vec{\text{AC}}
となります。

 ここで注意したいのは∠\text{B}=φとしたとき、余弦定理
\begin{equation}\text{AC}^2=\text{AB}^2+\text{BC}^2-2\text{AB}\cdot \text{BC}\cos\varphi\end{equation}
が成り立つのですが、だからといって(1)のときと同様に
ベクトルの大きさをもちいると
|\vec{\text{AC}}|^2=|\vec{\text{AB}}|^2+|\vec{\text{BC}}|^2-2|\vec{\text{AB}}||\vec{\text{BC}}|\cos\varphi
となるから、ベクトルの内積をもちいて
|\vec{\text{AC}}|^2=|\vec{\text{AB}}|^2+|\vec{\text{BC}}|^2-2\vec{\text{AB}}\cdot\vec{\text{BC}}
としてはいけないということです。
どこに問題があるかというと、\cos\varphiの部分にあります。
ベクトルのなす角
内積の定義式に登場する角度はベクトルのなす角の大きさのことで、ベクトルのなす角とは始点をそろえたときに2つのベクトル間にできる角のことです。
\vec{\text{AB}}\vec{\text{BC}}のなす角の大きさを調べてみるとφではなく180°-φなので、そのまま\vec{\text{AB}}\cdot\vec{\text{BC}}とすることはできません。
そこで、以下のように変形します。
\vec{\text{AB}}\cdot\vec{\text{BC}}=|\vec{\text{AB}}||\vec{\text{BC}}|\cos(180°-\varphi)
であり、三角関数の性質より\cos(180°-x)=-\cos xであることから
\vec{\text{AB}}\cdot\vec{\text{BC}}=-|\vec{\text{AB}}||\vec{\text{BC}}|\cos\varphi
したがって、
\begin{align*}|\vec{\text{AC}}|^2&=|\vec{\text{AB}}|^2+|\vec{\text{BC}}|^2-2|\vec{\text{AB}}||\vec{\text{BC}}|\cos\varphi\\[0.5em]&=|\vec{\text{AB}}|^2+|\vec{\text{BC}}|^2+2\bigl(-|\vec{\text{AB}}||\vec{\text{BC}}|\cos\varphi\bigr)\\[0.5em]\therefore&|\vec{\text{AC}}|^2=|\vec{\text{AB}}|^2+|\vec{\text{BC}}|^2+2\vec{\text{AB}}\cdot\vec{\text{BC}}\end{align*}
これが正しい式となります。
このように、余弦定理をベクトルで表すときはベクトルの向きを見てベクトルのなす角によく注意する必要があります。

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