三角形の外心、垂心、重心の間には以下のような関係があります。
「三角形の外心、垂心、重心は同一直線上に存在する。」
上図のように$△\text{ABC}$の外心$\text{O}$、垂心$\text{H}$、重心$\text{G}$の3点は必ず一直線上に並びます。
これが成り立つことを確かめてみます。
鋭角三角形の場合
鋭角三角形$\text{ABC}$の外心を$\text{O}$、垂心を$\text{H}$、辺$\text{BC}$の中点を$\text{M}$、線分$\text{AM}$と$\text{OH}$の交点を$\text{P}$とします。
$△\text{AHP}$と$△\text{MOP}$に着目すると、
$\text{AH, OM}$はともに辺$\text{BC}$に対し垂直なので$\text{AH}//\text{OM}$です。
上記より錯角は等しいので$∠\text{HAP}=∠\text{OMP, }∠\text{AHP}=∠\text{MOP}$です。
2組の角がそれぞれ等しいので相似であることがわかります。
その相似比は、三角形の外心と垂心の関係より$\text{AH}:\text{MO}=2:1$。また、$\text{AP}:\text{MP}=2:1$でもあります。
ここで、線分$\text{AM}$は$△\text{ABC}$の中線の1本で、点$\text{P}$は中線$\text{AM}$を$2:1$に内分する点ということになります。
そして$△\text{ABC}$の重心もまた中線$\text{AM}$を$2:1$に内分するので点$\text{P}$は重心であることがわかります。
重心$\text{P}$は外心$\text{O}$と垂心$\text{H}$を結ぶ直線$\text{OH}$上に存在するため、鋭角三角形の外心、垂心、重心は同一直線上に存在することがわかります。
直角三角形の場合
$∠\text{A}=90°$である直角三角形$\text{ABC}$の垂心は頂点$\text{A}$にあり、外心$\text{O}$は斜辺$\text{BC}$の中点にあります。
線分$\text{AO}$は直角三角形$\text{ABC}$の中線となるので、重心$\text{G}$は$\text{AO}$上に存在しています。
したがって、直角三角形の外心、垂心、重心は同一直線上に存在することがわかります。
鈍角三角形の場合
$∠\text{A}$が鈍角である鈍角三角形$\text{ABC}$の垂心を$\text{H}$、辺$\text{BC}$の中点を$\text{M}$、線分$\text{AM}$と$\text{OH}$の交点を$\text{P}$とします。
$△\text{AHP}$と$△\text{MOP}$に着目すると、
$\text{AH, OM}$はともに辺$\text{BC}$に対し垂直なので$\text{AH}//\text{OM}$です。
上記より錯角は等しいので$∠\text{HAP}=∠\text{OMP, }∠\text{AHP}=∠\text{MOP}$です。
2組の角がそれぞれ等しいので相似であることがわかります。
その相似比は、三角形の外心と垂心の関係より$\text{AH}:\text{MO}=2:1$。また、$\text{AP}:\text{MP}=2:1$でもあります。
点$\text{P}$は中線$\text{AM}$を$2:1$に内分する点なので、点$\text{P}$は$△\text{ABC}$の重心であることがわかります。
重心$\text{P}$は外心$\text{O}$と垂心$\text{H}$を結ぶ直線$\text{OH}$上に存在するため、鋭角三角形の外心、垂心、重心は同一直線上に存在することがわかります。
二等辺三角形の場合
上の3つの場合分けですべての三角形の場合を考えたように思えますが、実は例外があります。それは二等辺三角形の場合です。
$\text{AB}=\text{AC}$である二等辺三角形$\text{ABC}$の外心$\text{O}$、垂心$\text{H}$、重心$\text{H}$はすべて底辺$\text{BC}$の垂直二等分線上に存在します。これは底辺の垂直二等分線が外心が存在している「辺の垂直二等分線」であり、垂心が存在している「頂点から対辺へおろした垂線」でもあり、重心が存在している「中線」でもあるためです。
したがって、二等辺三角形の外心、垂心、重心は同一直線上に存在することがわかります。
鋭角三角形または鈍角三角形で二等辺三角形である場合、中線と外心と垂心を結ぶ直線が重なってしまうため、三角形の相似を利用する方法が使えないので例外となります。
また、二等辺三角形の中でも特殊である正三角形の外心、垂心、重心はすべて一点に集まっています。
したがって、他の三角形においては外心、垂心、重心の3点を通る直線はただ1つであるのに対し、正三角形においてはこれら3点を通る直線は無数に存在します。
三角形の外心、垂心、重心の3点を通る直線のことをオイラー線といいます。これは1つの三角形に対し1本存在します。
しかし、外心、垂心、重心の3点を通る直線が無数に存在する正三角形のみオイラー線を定義できません。
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https://p-suugaku.blogspot.com/2023/08/euler-line.html三角形の外心と垂心と重心の関係 オイラー線