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2023年3月9日

三角形の重心とその性質

三角形の重心
 三角形の重心とは、各頂点から対辺の中点へ引いた線、中線同士が交わる点のことです。
この重心には、中線を$2:1$に内分するという性質があります。

三角形には必ず重心が存在することと重心の性質について確かめてみます。


三角形の重心の導出
 $△ABC$の$BC$と$CA$の中点をそれぞれ$D,E$とし、中線$AD,BE$を引き、その交点を$G$とします。
直線$CG$を引き、$AB$との交点を$F$とします。
このとき、$BD=DC$より$△ABD$と$△ADC$は底辺の長さが等しく、高さも等しいので$△ABD=△ADC$です。
また、同様にして$△GBD=△GDC$となります。
\begin{align*}△GAB&=△ABD-△GBD\\[0.5em]△GCA&=△ADC-△GDC\end{align*}
より、$△GAB=△GCA\ \cdots(1)$であることがわかります。
次に、$AE=EC$より$△BAE$と$△BEC$は底辺の長さが等しく、高さも等しいので$△BAE=△BEC$です。
また、同様にして$△GAE=△GEC$となります。
\begin{align*}△GAB&=△BAE-△GAE\\[0.5em]△GBC&=△BEC-△GEC\end{align*}
より、$△GAB=△GBC\ \cdots(2)$であることがわかります。

$(1),(2)$より$△GAB=△GBC=△GCA$であることがわかります。

面積に着目してFが中点であることを示す
ここで、$△GBC$と$△GCA$に着目すると
共通する辺$CG$を底辺と見たとき、底辺の長さが等しく、$△GBC=△GCA$であることから高さが等しいことがわかります。

また、$△GAF$と$△GFB$に着目すると
共通する辺$GF$を底辺と見たとき、底辺の長さが等しく、それぞれ$△GBC,△GCA$と高さが等しい、すなわち$△GAF$と$△GFB$の高さも等しいことから$△GAF=△GFB$であることがわかります。

さらに$AB$の側を底辺と見たとき、$△GAF$と$△GFB$は高さが等しく、面積も等しいことから$AF=FB$、すなわち点$F$は辺$AB$の中点であることがわかります。

したがって、$CF$は$△ABC$の中線となり、3本の中線$AD,BE,CF$の交点$G$は重心であることがわかります。

重心の性質

 $△GAB=△GBC=△GCA$、$AF=FB,BD=DC,CE=EA$より
\[\begin{aligned}&△GAF=△GFB=△GBD\\ &\quad=△GDC=△GCE=△GEA\end{aligned}\tag{*}\]
となります。
面積比から重心が中線を2:1に内分することを示す
ここで、$△GAB$と$△GBD$に着目すると$△GAB=△GAF+△GFB$であることと$(*)$より面積比は$△GAB:△GBD=2:1$となります。
中線$AD$の側を底辺と見たとき、2つの三角形は高さが等しいので、底辺の長さの比は$AG:GD=2:1$となることがわかります。

また、$△GBC$と$△GCE$、$△GCA$と$△GAF$についても同様にして$BG:GE=CG:GF=2:1$となります。

以上より、重心$G$は中線を$2:1$に内分するという性質があることがわかります。

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