三角形の重心とは、各頂点から対辺の中点へ引いた線、中線同士が交わる点のことです。
この重心には、中線を
2:1に内分するという性質があります。
三角形には必ず重心が存在することと重心の性質について確かめてみます。
△ABCの
BCと
CAの中点をそれぞれ
D, Eとし、中線
AD, BEを引き、その交点を
Gとします。
直線CGを引き、ABとの交点をFとします。
このとき、
BD=DCより
△ABDと
△ADCは底辺の長さが等しく、高さも等しいので
△ABD=△ADCです。
また、同様にして
△GBD=△GDCとなります。
△GAB=△ABD-△GBD△GCA=△ADC-△GDC
より、
△GAB=△GCA ⋯(1)であることがわかります。
次に、
AE=ECより
△BAEと
△BECは底辺の長さが等しく、高さも等しいので
△BAE=△BECです。
また、同様にして
△GAE=△GECとなります。
△GAB=△BAE-△GAE△GBC=△BEC-△GEC
より、
△GAB=△GBC ⋯(2)であることがわかります。
(1),(2)より△GAB=△GBC=△GCAであることがわかります。
ここで、
△GBCと
△GCAに着目すると
共通する辺
CGを底辺と見たとき、底辺の長さが等しく、
△GBC=△GCAであることから高さが等しいことがわかります。
また、△GAFと△GFBに着目すると
共通する辺GFを底辺と見たとき、底辺の長さが等しく、それぞれ△GBC, △GCAと高さが等しい、すなわち△GAFと△GFBの高さも等しいことから△GAF=△GFBであることがわかります。
さらにABの側を底辺と見たとき、△GAFと△GFBは高さが等しく、面積も等しいことからAF=FB、すなわち点Fは辺ABの中点であることがわかります。
したがって、CFは△ABCの中線となり、3本の中線AD, BE, CFの交点Gは重心であることがわかります。
重心の性質
△GAB=△GBC=△GCA、
AF=FB, BD=DC, CE=EAより
△GAF=△GFB=△GBD=△GDC=△GCE=△GEA(*)
となります。
ここで、
△GABと
△GBDに着目すると
△GAB=△GAF+△GFBであることと
(∗)より面積比は
△GAB:△GBD=2:1となります。
中線
ADの側を底辺と見たとき、2つの三角形は高さが等しいので、底辺の長さの比は
AG:GD=2:1となることがわかります。
また、△GBCと△GCE、△GCAと△GAFについても同様にしてBG:GE=CG:GF=2:1となります。
以上より、重心Gは中線を2:1に内分するという性質があることがわかります。