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2023年2月23日

三角形の垂心

三角形の垂心
 三角形の垂心は、3つの頂点からそれぞれの対辺、またはその延長へ引いた垂線同士の交点となります。
どの三角形にも垂心があることを確かめます。

鋭角三角形の場合

鋭角三角形の垂心
 鋭角三角形$ABC$の頂点$A,B$からそれぞれ$BC,AC$へ垂線を下ろし、交点を$D,E$とします。
$AD,BE$の交点を$H$とし、半直線$CH$と$AB$の交点を$F$とします。
鋭角三角形の垂心
このとき点$H$が垂心であるならば、$CF$は$AB$に対する垂線となるはずです。
そして$∠BFC=90°$となるのならば、$△BFH$と$△CHE$に着目したとき、
$∠BFH=∠CEH=90°$、対頂角より$∠BHF=∠CHE$となるから$∠FBH=∠ECH$が成り立つはずです。
なので、$∠FBH=∠ECH$が成り立つことを示すことにより、3本の頂点から対辺への垂線が1点で交わり、垂心が存在することを確かめます。
円周角の定理の逆
 4点$A,B,D,E$に着目すると$∠ADB=∠AEB=90°$なので、円周角の定理の逆より$A,B,D,E$は同一円周上にあることがわかります。
この円において、円周角の定理より$∠ABE(=∠FBH)=∠ADE$が成り立ちます。
円に内接する四角形の逆
また、4点$C,D,E,H$に着目すると、これらを頂点とする四角形$CDEH$は$∠CDH=∠CEH=90°$となり対角の和が$180°$なので円に内接するため、$C,D,E,H$は同一円周上にあることがわかります。
この円において、円周角の定理より$∠EDH(=∠ADE)=∠ECH$が成り立ちます。

したがって、$∠FBH=∠ECH$が成り立つので$CF$は$AB$に対する垂線となり、鋭角三角形には垂心が存在することがわかります。


直角三角形の場合

直角三角形の垂心
 $∠C=90°$である直角三角形$ABC$の頂点$A$から辺$BC$へおろした垂線は辺$AC$と同一の直線となります。
同様に頂点$B$から$AC$へおろした垂線は辺$BC$と同一の直線となります。
垂線$AC,BC$の交点は点$C$となるので、頂点$C$から$AB$へおろした垂線も必ず$C$で交わることになります。

したがって、直角三角形の垂心は直角の頂点と一致します。


鈍角三角形の場合

 $∠A$が鈍角である鈍角三角形$ABC$の頂点$A$から$BC$へ垂線を下ろし、交点を$D$とします。頂点$B$からは$AC$の延長線へ垂線を下ろし、交点を$E$とします。
$AD,BE$を延長してその交点を$H$とし、直線$CH$と$AB$の延長との交点を$F$とします。

鋭角三角形の場合と同様に$CH$が$AB$の延長に対する垂線ならば、$△BFH$と$△CHE$に着目したとき、$∠BFH=∠CEH=90°$、共通の角より$∠BHF=∠CHE$となるから$∠FBH=∠ECH$が成り立つはずなので、このことを示して点$H$が垂心であることを確かめます。

 4点$A,B,D,E$に着目すると、これらを頂点とする四角形$ABDE$は$∠ADB=∠AEB=90°$となり対角の和が$180°$なので円に内接するため、$A,B,D,E$は同一円周上にあることがわかります。
この円において、円周角の定理より$∠ABE(=∠FBH)=∠ADE$が成り立ちます。

また、4点$C,D,E,H$に着目すると$∠CDH=∠CEH=90°$なので、円周角の定理の逆より$C,D,E,H$は同一円周上にあることがわかります。
この円において、円周角の定理より$∠EDH(=∠ADE)=∠ECH$が成り立ちます。

したがって、$∠FBH=∠ECH$が成り立つので$CH$は$AB$の延長に対する垂線となり、鈍角三角形には垂心が存在することがわかります。また、鈍角三角形の垂心は三角形の外部に存在します。


 すべての三角形は鋭角三角形、直角三角形、鈍角三角形のいずれかに分類されるので、以上からすべての三角形には垂心が存在することがわかります。


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