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2023年2月14日

円周角と弧で囲まれた部分の面積は?

色のついた部分の面積は?
「半径$5$cmの円$O$上に$∠ACB=30°,AC:BC=1:2$となるように3点$A,B,C$をとる。
このとき線分$AC,BC$と弧$AB$で囲まれた部分の面積を求めよ。」

このような問題はどのように解けばよいのでしょうか?


弦ABで分割
 弦$AB$により三角形$ABC$と弓形$AB$に分解してそれぞれの面積を求めます。

$△ABC$の面積

 頂点$A$から辺$BC$へ垂線を引き、交点を$D$とします。

30°-60°-90°の直角三角形の三角比が隠れている
$△ACD$は鋭角の1つが$30°$の直角三角形なので、3辺の比は
\[AD:AC:CD=1:2:\sqrt{3}\]
となります。
$AC:BC=1:2$と同じように$AC$が$1$になるように3辺の比の数をそれぞれ$2$で割ると
\[AD:AC:CD=\frac{1}{2}:1:\frac{\sqrt{3}}{2}\]
となります。これで、$AC$の長さを基準にして各線分の長さを比の数として表すことができるようになりました。
三平方の定理を利用
今度は$△ABD$に着目すると、$BC:CD=2:\dfrac{\sqrt{3}}{2}$となるので、$BD$の比の数は$2-\dfrac{\sqrt{3}}{2}$です。$AD$の比の数は$\dfrac{1}{2}$なので、三平方の定理より$AB$の比の数は
\begin{align*}AB^2&=AD^2+BD^2\\[0.5em]&=\left(\frac{1}{2}\right)^2+\left(2-\frac{\sqrt{3}}{2}\right)^2\\[0.5em]&=5-2\sqrt{3}\\[0.5em]AB&=\sqrt{5-2\sqrt{3}}\quad(\because\ AB>0)\end{align*}
となります。
各線分の長さの比
以上から上図のように$AC$の長さを基準とした各線分の比の数がわかりました。

特に面積を求める際に重要な線分の長さの比をまとめると以下のようになります。
\begin{align*}AB:AD:BC&=\sqrt{5-2\sqrt{3}}:\frac{1}{2}:2\\[0.5em]&=2\sqrt{5-2\sqrt{3}}:1:4\end{align*}

次は線分$AB$の長さを求めます。
中心角60°のとき正三角形ができる
円周角$∠ACB=30°$より中心角$∠AOB$の大きさは$60°$です。
$OA,OB$は半径なので長さが等しいため、$△OAB$は頂角が$60°$の二等辺三角形、すなわち正三角形であることがわかります。このことから$AB=5$です。

したがって、$AD$の長さは$AB:AD=2\sqrt{5-2\sqrt{3}}:1$より
\begin{align*}5:AD&=2\sqrt{5-2\sqrt{3}}:1\\[0.5em]2\sqrt{5-2\sqrt{3}}AD&=5\\[0.5em]AD&=\frac{5}{2\sqrt{5-2\sqrt{3}}}\end{align*}
$BC$の長さは$AB:BC=2\sqrt{5-2\sqrt{3}}:4$より
\begin{align*}5:BC&=2\sqrt{5-2\sqrt{3}}:4\\[0.5em]2\sqrt{5-2\sqrt{3}}BC&=20\\[0.5em]BC&=\frac{10}{\sqrt{5-2\sqrt{3}}}\end{align*}
となるので$△ABC$の面積は
\begin{align*}△ABC&=\frac{1}{2}AD\cdot BC\\[0.5em]&=\frac{1}{2}\cdot\frac{5}{2\sqrt{5-2\sqrt{3}}}\cdot\frac{10}{\sqrt{5-2\sqrt{3}}}\\[0.5em]&=\frac{25}{2(5-2\sqrt{3})}\end{align*}
分母を有理化すると
\begin{align*}△ABC&=\frac{25}{2(5-2\sqrt{3})}\cdot\frac{5+2\sqrt{3}}{5+2\sqrt{3}}\\[0.5em]&=\frac{25(5+2\sqrt{3})}{2(25-12)}\\[0.5em]&=\frac{125+50\sqrt{3}}{26}\end{align*}
となります。


弓形$AB$の面積

弓形ABの面積を求める
弓形$AB$はおうぎ形$OAB$から正三角形$OAB$を取り除いた図形です。

おうぎ形$OAB$の面積は
\begin{align*}おうぎ形OAB&=5^2\pi\cdot\frac{60°}{360°}\\[0.5em]&=\frac{25}{6}\pi\end{align*}
正三角形$OAB$の面積は、高さは1辺の長さの$\dfrac{\sqrt{3}}{2}$倍なので
\begin{align*}△OAB&=\frac{1}{2}\cdot5\cdot\left(5\cdot\frac{\sqrt{3}}{2}\right)\\[0.5em]&=\frac{25\sqrt{3}}{4}\end{align*}
となるので、弓形$AB$の面積は
\begin{align*}弓形AB&=おうぎ形OAB-△OAB\\[0.5em]&=\frac{25}{6}\pi-\frac{25\sqrt{3}}{4}\end{align*}
となります。


 よって、求める図形の面積は
\begin{align*}△ABC+弓形AB&=\frac{125+50\sqrt{3}}{26}+\frac{25}{6}\pi-\frac{25\sqrt{3}}{4}\\[0.5em]&=\frac{250+100\sqrt{3}}{52}+\frac{25}{6}\pi-\frac{325\sqrt{3}}{52}\\[0.5em]&=\frac{250-225\sqrt{3}}{52}+\frac{25}{6}\pi\end{align*}
となります。


 $AB$の比の数は余弦定理が使えるともう少し簡単に求められます。
$△ABC$において、$AC=1,BC=2,∠C=30°$なので
\begin{align*}AB^2&=AC^2+BC^2-2AC\cdot BC\cos∠C\\[0.5em]&=1+4-2\cos30°\\[0.5em]&=5-2\cdot\frac{\sqrt{3}}{2}\\[0.5em]&=5-2\sqrt{3}\end{align*}

関連:三平方の定理(ピタゴラスの定理)

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