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2023年2月3日

正の約数の個数が奇数になるのはどんな数?

 自然数の正の約数が奇数個になるのはどのような数なのでしょうか?


 まず最初に思いつく整数は$1$です。
素因数を何も持たないので約数は$1$の1個しかありません。

 次は素因数が1種類しかない整数について考えます。
素因数を$a$とおくと、自然数$a^n$($n:$自然数)の正の約数の個数は素因数$a$を$1~n$個掛け合わせたものの$n$個に約数$1$を加えた$n+1$個となります。
したがって、$n$が偶数のとき正の約数の個数が奇数になります。

また、このときの$a^n$について$n=2k$($k:$自然数)とおくと、指数の計算法則をもちいて
\begin{align*}a^n&=a^{2k}\\[0.5em]&=\left(a^k\right)^2\end{align*}
となり、$a^k$は自然数なので$\left(a^k\right)^2$は平方数、すなわち$a^n$は平方数であることがわかります。

 素因数が2種類以上ある整数の場合も考えてみます。
素因数が2種類の場合の約数の作り方
素因数が$a,b$の2種類の場合を考えると、自然数$a^mb^n$($m,n:$自然数)の正の約数は$a^m$の正の約数と$b^m$の正の約数の掛け合わせによってできます。
$a^m$の正の約数は上記より$m+1$個、同様に$b^n$の正の約数も$n+1$個あるので、それぞれの正の約数を1つずつ選んで掛け合わせてできる正の約数は$(m+1)(n+1)$個となります。
ここで、整数同士の積の偶奇について考えると
\begin{align*}(偶数)\times(偶数)=(偶数)\quad&(偶数)\times(奇数)=(偶数)\\[1em](奇数)\times(奇数)&=(奇数)\end{align*}
であるので、$(m+1)(n+1)$が奇数となるのは$m+1,n+1$がともに奇数のとき、すなわち$m,n$がともに偶数のときのみとなります。
このとき$p=2k,q=2l$($k,l:$自然数)とおくと
\begin{align*}a^mb^n&=a^{2k}b^{2l}\\[0.5em]&=\left(a^k\right)^2\left(b^l\right)^2\\[0.5em]&=\left(a^kb^l\right)^2\end{align*}
となり、$a^kb^l$は自然数なので$\left(a^kb^l\right)^2$は平方数、すなわち$a^mb^n$は平方数であることがわかります。
これは素因数が3種類以上のときでも同様で各素因数がすべて偶数乗のとき、すなわち平方数のときに正の約数は奇数個となります。

 $1$も平方数なので正の約数の個数が奇数になる自然数は平方数であることがわかります。

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