$\text{AB}//\text{CD}$である台形$\text{ABCD}$の4辺の長さがそれぞれ$\text{AB}=a,\text{BC}=b,\text{CD}=c,\text{DA}=d$(ただし、$a>c$)のとき、台形$\text{ABCD}$の面積$S$は
\[\large
S=\frac{a+c}{4(a-c)}\sqrt{\begin{aligned}&(-a+b+c+d)(a-b-c+d)\\
&\quad\cdot(a+b-c+d)(a+b-c-d)\end{aligned}}\]
で求めることができます。(長いので根号内で改行しています。)
なぜこれで台形$\text{ABCD}$の面積が求められるのでしょうか?
この台形$\text{ABCD}$の面積$S$は高さを$h$とおくと
そこで、高さ$h$を求める方法を考えます。
\begin{equation}S=\frac{(a+c)h}{2}\end{equation}
で求めることができますが、わかっているのは台形の4辺の長さのみで高さ$h$はわかっていません。
そこで、高さ$h$を求める方法を考えます。
頂点$\text{D}$を通る辺$\text{BC}$に平行な直線を引き、辺$\text{AB}$との交点を$\text{E}$とします。
すると、三角形$\text{AED}$と平行四辺形$\text{EBCD}$ができます。
すると、三角形$\text{AED}$と平行四辺形$\text{EBCD}$ができます。
平行四辺形の対辺の長さは等しいので、$\text{EB}=\text{CD}=c,$
$\text{DE}=\text{BC}=b$となります。
このことから、三角形$\text{AED}$の辺$\text{AE}$の長さは$\text{AE}=\text{AB}-\text{EB}=a-c$となります。
このことから、三角形$\text{AED}$の辺$\text{AE}$の長さは$\text{AE}=\text{AB}-\text{EB}=a-c$となります。
したがって、三角形$\text{AED}$は辺$\text{AE}$を底辺とみたとき、高さは台形$\text{ABCD}$と同様$h$となるので、三角形$\text{AED}$の面積$T$は
\[T=\frac{(a-c)h}{2}\]
と書けることがわかります。
これを$h$について解くと
\begin{equation}h=\frac{2T}{a-c}\end{equation}
となります。
三角形$\text{AED}$の面積$T$はヘロンの公式をもちいることで求めることができます。
3辺の長さが$x,y,z$の三角形の面積は
3辺の長さが$x,y,z$の三角形の面積は
\[\frac{\sqrt{(x+y+z)(-x+y+z)(x-y+z)(x+y-z)}}{4}\]
となります。
すると、三角形$\text{AED}$の3辺の長さは$\text{AE}=a-c,\text{ED}=b,\text{DA}=d$なので
\begin{align*}T&=\frac{\sqrt{\bigl\{(a-c)+b+d\bigr\}\bigl\{-(a-c)+b+d\bigr\}\bigl\{(a-c)-b+d\bigr\}\bigl\{(a-c)+b-d\bigr\}}}{4}\\[0.5em]&=\frac{\sqrt{(a+b-c+d)(-a+b+c+d)(a-b-c+d)(a+b-c-d)}}{4}\\[0.5em]&=\frac{\sqrt{(-a+b+c+d)(a-b-c+d)(a+b-c+d)(a+b-c-d)}}{4}&(\because\text{交換法則})\end{align*}
となり、これを$(2)$に代入すると
\begin{align*}h&=\frac{2\cfrac{\sqrt{(-a+b+c+d)(a-b-c+d)(a+b-c+d)(a+b-c-d)}}{4}}{a-c}\\[0.5em]&=\frac{\sqrt{(-a+b+c+d)(a-b-c+d)(a+b-c+d)(a+b-c-d)}}{2(a-c)}\tag3\end{align*}
となります。これで$h$を$a,b,c,d$で表すことができました。
$(3)$を$(1)$に代入すると
この公式は平行な対辺の長さが異なる($a\neq c$である)ことが条件となっているため、台形の一種である平行四辺形に対してはもちいることができない点には注意してください。
\begin{align*}S&=\frac{(a+c)\cfrac{\sqrt{(-a+b+c+d)(a-b-c+d)(a+b-c+d)(a+b-c-d)}}{2(a-c)}}{2}\\[0.5em]&=\frac{a+c}{4(a-c)}\sqrt{(-a+b+c+d)(a-b-c+d)(a+b-c+d)(a+b-c-d)}\end{align*}
となり、台形$\text{ABCD}$の4辺の長さから面積を求める公式が導かれます。
この公式は平行な対辺の長さが異なる($a\neq c$である)ことが条件となっているため、台形の一種である平行四辺形に対してはもちいることができない点には注意してください。
また、台形$\text{ABCD}$が等脚台形のとき$\text{BC}=\text{DA}$、すなわち$b=d$となるので、このときの台形$\text{ABCD}$の面積$S$は
\begin{align*}S&=\frac{a+c}{4(a-c)}\sqrt{(-a+b+c+b)(a-b-c+b)(a+b-c+b)(a+b-c-b)}\\[0.5em]&=\frac{a+c}{4(a-c)}\sqrt{(-a+2b+c)(a-c)(a+2b-c)(a-c)}\\[0.5em]&=\frac{a+c}{4(a-c)}\sqrt{(-a+2b+c)(a+2b-c)(a-c)^2}\\[0.5em]&=\frac{a+c}{4(a-c)}\cdot(a-c)\sqrt{(-a+2b+c)(a+2b-c)}\\[0.5em]&=\frac{a+c}{4}\sqrt{(-a+2b+c)(a+2b-c)}\end{align*}
となります。
さらに、$\text{AB}=\text{CD}$、すなわち$a=c$であるとき、等脚台形$\text{ABCD}$は長方形であり、その面積$S$は
\begin{align*}S&=\frac{2a}{4}\sqrt{2b\cdot2b}\\[0.5em]&=\frac{a}{2}\cdot2b\\[0.5em]&=ab\end{align*}
となります。これは長方形の面積の公式と一致します。
外部リンク:台形 - Wikipedia
外部リンク:等脚台形 - Wikipedia
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