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2024年9月14日

台形の4辺の長さから面積を求める公式

AB//CD、a>cである台形ABCD
 $AB//CD$である台形$ABCD$の4辺の長さがそれぞれ$AB=a,BC=b,CD=c,DA=d$(ただし、$a>c$)のとき、台形$ABCD$の面積$S$は
\[\large S=\frac{a+c}{4(a-c)}\sqrt{(-a+b+c+d)(a-b-c+d)(a+b-c+d)(a+b-c-d)}\]
で求めることができます。

なぜこれで台形$ABCD$の面積が求められるのでしょうか?


高さがわかっているときの台形の面積
 この台形$ABCD$の面積$S$は高さを$h$とおくと
\begin{equation}S=\frac{(a+c)h}{2}\end{equation}
で求めることができますが、わかっているのは台形の4辺の長さのみで高さ$h$はわかっていません。
そこで、高さ$h$を求める方法を考えます。
台形を平行四辺形と三角形に分割する
 頂点$D$を通る辺$BC$に平行な直線を引き、辺$AB$との交点を$E$とします。
すると、三角形$AED$と平行四辺形$EBCD$ができます。
平行四辺形の対辺の長さは等しいので、$EB=CD=c,$$DE=BC=b$となります。
このことから、三角形$AED$の辺$AE$の長さは$AE=AB-EB=a-c$となります。
したがって、三角形$AED$は辺$AE$を底辺とみたとき、高さは台形$ABCD$と同様$h$となるので、三角形$AED$の面積$T$は
\[T=\frac{(a-c)h}{2}\]
と書けることがわかります。
これを$h$について解くと
\begin{equation}h=\frac{2T}{a-c}\end{equation}
となります。
三角形$AED$の面積$T$はヘロンの公式をもちいることで求めることができます。
3辺の長さが$x,y,z$の三角形の面積は
\[\frac{\sqrt{(x+y+z)(-x+y+z)(x-y+z)(x+y-z)}}{4}\]
となります。
すると、三角形$AED$の3辺の長さは$AE=a-c,ED=b,DA=d$なので
\begin{align*}T&=\frac{\sqrt{\bigl\{(a-c)+b+d\bigr\}\bigl\{-(a-c)+b+d\bigr\}\bigl\{(a-c)-b+d\bigr\}\bigl\{(a-c)+b-d\bigr\}}}{4}\\[0.5em]&=\frac{\sqrt{(a+b-c+d)(-a+b+c+d)(a-b-c+d)(a+b-c-d)}}{4}\\[0.5em]&=\frac{\sqrt{(-a+b+c+d)(a-b-c+d)(a+b-c+d)(a+b-c-d)}}{4}&(\because\text{交換法則})\end{align*}
となり、これを$(2)$に代入すると
\begin{align*}h&=\frac{2\cfrac{\sqrt{(-a+b+c+d)(a-b-c+d)(a+b-c+d)(a+b-c-d)}}{4}}{a-c}\\[0.5em]&=\frac{\sqrt{(-a+b+c+d)(a-b-c+d)(a+b-c+d)(a+b-c-d)}}{2(a-c)}\tag3\end{align*}
となります。これで$h$を$a,b,c,d$で表すことができました。
$(3)$を$(1)$に代入すると
\begin{align*}S&=\frac{(a+c)\cfrac{\sqrt{(-a+b+c+d)(a-b-c+d)(a+b-c+d)(a+b-c-d)}}{2(a-c)}}{2}\\[0.5em]&=\frac{a+c}{4(a-c)}\sqrt{(-a+b+c+d)(a-b-c+d)(a+b-c+d)(a+b-c-d)}\end{align*}
となり、台形$ABCD$の4辺の長さから面積を求める公式が導かれます。
また、台形$ABCD$が等脚台形のとき$BC=DA$、すなわち$b=d$となるので、このときの台形$ABCD$の面積$S$は
\begin{align*}S&=\frac{a+c}{4(a-c)}\sqrt{(-a+b+c+b)(a-b-c+b)(a+b-c+b)(a+b-c-b)}\\[0.5em]&=\frac{a+c}{4(a-c)}\sqrt{(-a+2b+c)(a-c)(a+2b-c)(a-c)}\\[0.5em]&=\frac{a+c}{4(a-c)}\sqrt{(-a+2b+c)(a+2b-c)(a-c)^2}\\[0.5em]&=\frac{a+c}{4(a-c)}\cdot(a-c)\sqrt{(-a+2b+c)(a+2b-c)}\\[0.5em]&=\frac{a+c}{4}\sqrt{(-a+2b+c)(a+2b-c)}\end{align*}
となります。
これらの公式は平行な対辺の長さが異なることが条件となっているため、台形の一種である平行四辺形に対してはもちいることができない点には注意してください。

外部リンク:台形 - Wikipedia

外部リンク:等脚台形 - Wikipedia

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