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2024年10月17日

数直線上の2点間の距離

 2点間の距離とは、2点がどれだけ離れているかを表す$0$以上の値のことで、2点を結ぶ線分の長さのことです。
数直線上に座標が$a,b$である点$\text{A, B}$をとると、2点$\text{A, B}$間の距離$\text{AB}$は
\[\large\text{AB}=|b-a|\ (=|a-b|)\]
と表すことができます。

なぜこのように表すことができるのかを考えてみます。


1. $a=0$または$b=0$のとき

点A,Bのどちらかが原点にあれば、AB間の距離は原点にない点の座標の絶対値に等しい
 $a=0$のとき、$\text{AB}$は点$B$が数直線上の$0$からどれだけ離れているかを表す値となります。これは$b$の絶対値$|b|$のことです。
$b=0$のときは、同様にして$\text{AB}$は$|a|$となります。
\[\text{AB}=\begin{cases}|b|&(a=0)\\[0.5em]|a|&(b=0)\end{cases}\]

座標が$0$である点を$\text{O}$とすると、$a=0$のときの$\text{AB}$は2点$\text{O, B}$間の距離$\text{OB}$、$b=0$のときの$\text{AB}$は2点$\text{O, A}$間の距離$\text{OA}$でもあります。
$a\neq0$かつ$b\neq0$のときの各場合の$\text{AB}$は、これら$\text{OA}$と$\text{OB}$をもちいて表すことができます。

2. $a\leqq b$のとき

 ($a\neq0$かつ$b\neq0$)かつ$a\leqq b$のとき、3つの場合が考えられます。

2-1. $a>0$かつ$b>0$のとき

0<a≦bのときAB間の距離はOBからOAを引いた値となる
 $a\leqq b$かつ($a>0$かつ$b>0$)、すなわち$0<a\leqq b$のとき、2点$\text{A, B}$は点$\text{O}$に関して同じ側にあって$|a|\leqq |b|$なので、$\text{AB}$は$\text{OB}$から$\text{OA}$を差し引いたものとなります。
したがって、$\text{AB}$は
\begin{align*}\text{AB}&=\text{OB}-\text{OA}\\[0.5em]&=|b|-|a|\\[0.5em]&=b-a&(\because a>0かつb>0)\end{align*}
となります。

2-2. $a<0$かつ$b>0$のとき

a<0<bのときAB間の距離はOAとOBの和となる
 $a\leqq b$かつ($a<0$かつ$b>0$)、すなわち$a<0<b$のとき、2点$\text{A, B}$は互いに点$\text{O}$に関して反対側にあるので、$\text{AB}$は$\text{OA}$と$\text{OB}$を加えたものとなります。
したがって、$\text{AB}$は
\begin{align*}\text{AB}&=\text{OA}+\text{OB}\\[0.5em]&=|a|+|b|\\[0.5em]&=-a+b&(\because a<0かつb>0)\\[0.5em]&=b-a\end{align*}
となります。

$a\leqq b$なので、$a>0$かつ$b<0$という場合はありません。


2-3. $a<0$かつ$b<0$のとき

a≦b<0のときAB間の距離はOAからOBを引いた値となる
 $a\leqq b$かつ($a<0$かつ$b<0$)、すなわち$a\leqq b<0$のとき、2点$\text{A, B}$は点$\text{O}$に関して同じ側にあって$|a|\geqq |b|$なので、$\text{AB}$は$\text{OA}$から$\text{OB}$を差し引いたものとなります。
したがって、$\text{AB}$は
\begin{align*}\text{AB}&=\text{OA}-\text{OB}\\[0.5em]&=|a|-|b|\\[0.5em]&=-a-(-b)&(\because a<0かつb<0)\\[0.5em]&=-a+b\\[0.5em]&=b-a\end{align*}
となります。

 以上より、($a\neq0$かつ$b\neq0$)かつ$a\leqq b$のとき常に2点$\text{A, B}$間の距離$\text{AB}$は
\[\large\text{AB}=b-a\]
で表せることがわかります。
a≦bのときのAB間の距離b-aはa=0またはb=0のときも満たす
また、1.の場合かつ$a\leqq b$のときもこれを満たすので、$a\leqq b$のとき常に上記の式が成り立つことがわかります。

3. $a\geqq b$のとき

 ($a\neq0$かつ$b\neq0$)かつ$a\geqq b$のときも同様に3つの場合が考えられます。

3-1. $a>0$かつ$b>0$のとき

0<b≦aのときAB間の距離はOAからOBを引いた値となる
 $a\geqq b$かつ($a>0$かつ$b>0$)、すなわち$0<b\leqq a$のとき、2点$\text{A, B}$は点$\text{O}$に関して同じ側にあって$|a|\geqq |b|$なので、$\text{AB}$は$\text{OA}$から$\text{OB}$を差し引いたものとなります。
したがって、$\text{AB}$は
\begin{align*}\text{AB}&=\text{OA}-\text{OB}\\[0.5em]&=|a|-|b|\\[0.5em]&=a-b&(\because a>0かつb>0)\end{align*}
となります。

3-2. $a>0$かつ$b<0$のとき

b<0<aのときAB間の距離はOAとOBの和となる
 $a\geqq b$かつ($a>0$かつ$b<0$)、すなわち$b<0<a$のとき、2-2.のときと同様2点$\text{A, B}$は互いに点$\text{O}$に関して反対側にあるので、$\text{AB}$は$\text{OA}$と$\text{OB}$を加えたものとなります。
したがって、$\text{AB}$は
\begin{align*}\text{AB}&=\text{OA}+\text{OB}\\[0.5em]&=|a|+|b|\\[0.5em]&=a-b&(\because a>0かつb<0)\end{align*}
となります。

$a\geqq b$なので、$a<0$かつ$b>0$という場合はありません。


3-3. $a<0$かつ$b<0$のとき

b≦a<0のときAB間の距離はOBからOAを引いた値となる
 $a\geqq b$かつ($a<0$かつ$b<0$)、すなわち$b\leqq a<0$のとき、2点$\text{A, B}$は点$\text{O}$に関して同じ側にあって$|a|\leqq |b|$なので、$\text{AB}$は$\text{OB}$から$\text{OA}$を差し引いたものとなります。
したがって、$\text{AB}$は
\begin{align*}\text{AB}&=\text{OB}-\text{OA}\\[0.5em]&=|b|-|a|\\[0.5em]&=-b-(-a)&(\because a<0かつb<0)\\[0.5em]&=a-b\\[0.5em]&=b-a\end{align*}
となります。

 以上より、($a\neq0$かつ$b\neq0$)かつ$a\geqq b$のとき常に2点$\text{A, B}$間の距離$\text{AB}$は
\[\large \text{AB}=a-b\]
で表せることがわかります。
a≧bのときのAB間の距離b-aはa=0またはb=0のときも満たす
また、1.の場合かつ$a\geqq b$のときもこれを満たすので、$a\geqq b$のとき常に上式が成り立つことがわかります。

 1.、2.、3.より数直線上の2点$\text{A}(a),\text{B}(b)$間の距離$\text{AB}$は
\[\text{AB}=\begin{cases}b-a&(a\leqq b)\\[0.5em]a-b&(a\geqq b)\end{cases}\]
と表すことができます。
これはすなわち2点$\text{A}(a),\text{B}(b)$間の距離は$a,b$の大きいほうから小さいほうを引くことで求められるということです。
ところで、$b-a=-(a-b)$であることより、$a$と$b$の大小関係が逆転すると符号が反転することに着目すると
\[\large \text{AB}=|b-a|\ (=|a-b|)\]
とすれば2点$\text{A, B}$がどの位置にあっても常に$0$以上の値を与える1つの式で表せることがわかります。

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