横画面推奨!
モバイル機器の場合、数式が見切れる場合があります。

2025年7月24日

正の数の累乗根の性質・大小関係

 正の数の累乗根の性質と大小関係は以下のようになります。

正の数の累乗根の性質1

$0<a<1$である正の数$a$と自然数$n$について
\[\large0<\sqrt[n]{a}<1\]
$a=1$である正の数$a$と自然数$n$について、$n$の値にかかわらず常に
\[\large\sqrt[n]{a}=1\]
$1<a$である正の数$a$と自然数$n$について
\[\large1<\sqrt[n]{a}\]

正の数の累乗根の大小関係

$0<a<1$である正の数$a$と$m<n$である自然数$m, n$について
\[\large\sqrt[m]{a}<\sqrt[n]{a}\]
$a=1$である正の数$a$と自然数$m, n$について、$m, n$の値にかかわらず常に
\[\large\sqrt[m]{a}=\sqrt[n]{a}=1\]
$1<a$である正の数$a$と$m<n$である自然数$m, n$について
\[\large\sqrt[m]{a}>\sqrt[n]{a}\]
$a<b$である正の数$a, b$と自然数$n$について
\[\large\sqrt[n]{a}<\sqrt[n]{b}\]

正の数の累乗根の性質2

$0<a<1$である正の数$a$と自然数$n$について
\[\large a\leqq\sqrt[n]{a}\quad(等号成立はn=1)\]
$a=1$である正の数$a$と自然数$n$について、$n$の値にかかわらず常に
\[\large a=\sqrt[n]{a}=1\]
$1<a$である正の数$a$と自然数$n$について
\[\large a\geqq\sqrt[n]{a}\quad(等号成立はn=1)\]
正の数$a$と自然数$n$について
\[\large\lim_{n\to\infty}\sqrt[n]{a}=1\]

なぜこれらが成り立つのでしょうか?

正の数の累乗根の性質1

 正の数$a$と自然数$n$をもちいた累乗根$\sqrt[n]{a}$のとる値の範囲を調べます。

$0<a<1$のとき

 「正の数の累乗の値と底の同値関係」で示した
正の数$b$と自然数$n$について
\[0<b<1\ \Leftrightarrow\ 0<b^n<1\]
を利用します。
累乗根の定義より正の数$a$の累乗根$\sqrt[n]{a}$は正の数なので、$b=\sqrt[n]{a}$とおくと$b^n=\left(\sqrt[n]{a}\right)^n=a$であり、
\[0<\sqrt[n]{a}<1\ \Leftrightarrow\ 0<a<1\]
となります。
この命題の
\[0<\sqrt[n]{a}<1\ \Leftarrow\ 0<a<1\]
に着目すれば、
$0<a<1$である正の数$a$と自然数$n$について
\[\large0<\sqrt[n]{a}<1\]
が成り立つことがわかります。

$a=1$のとき

 累乗根の定義より、任意の自然数$n$について
\[\sqrt[n]{1}=1\]
となります。
したがって、
$a=1$である正の数$a$と自然数$n$について、$n$の値にかかわらず常に
\[\large\sqrt[n]{a}=1\]
が成り立つことがわかります。

$1<a$のとき

 「正の数の累乗の値と底の同値関係」で示した
正の数$b$と自然数$n$について
\[1<b\ \Leftrightarrow\ 1<b^n\]
を利用します。
$0<a<1$のときと同様に、$b=\sqrt[n]{a}$とおくと$b^n=a$であり、
\[1<\sqrt[n]{a}\ \Leftrightarrow\ 1<a\]
となります。
この命題の
\[1<\sqrt[n]{a}\ \Leftarrow\ 1<a\]
に着目すれば、
$1<a$である正の数$a$と自然数$n$について
\[\large1<\sqrt[n]{a}\]
が成り立つことがわかります。

正の数の累乗根の大小関係

正の数$a$の累乗根の場合

 正の数$a$と$m<n$である自然数$m, n$をもちいた累乗根$\sqrt[m]{a}, \sqrt[n]{a}$の大小関係を調べます。

$0<a<1$のとき

 累乗根$\sqrt[m]{a}, \sqrt[n]{a}$の比$\dfrac{\sqrt[m]{a}}{\sqrt[n]{a}}$は、累乗根の計算法則と整数乗の計算法則より
\begin{align*}\frac{\sqrt[m]{a}}{\sqrt[n]{a}}&=\frac{\sqrt[mn]{a^n}}{\sqrt[mn]{a^m}}\\[0.5em]&=\sqrt[mn]{\frac{a^n}{a^m}}\\[0.5em]&=\sqrt[mn]{a^{n-m}}\tag1\end{align*}
と書くことができます。
$m<n$より$n-m>0$であり、$0<a<1$なので正の数の整数乗の性質より$0<a^{n-m}<1$です。
すると、正の数の累乗根の性質より
\[0<\sqrt[mn]{a^{n-m}}<1\]
が成り立ちます。
これは$(1)$より
\[0<\frac{\sqrt[m]{a}}{\sqrt[n]{a}}<1\]
となり、各辺に$\sqrt[n]{a}$を掛けると
\[0<\sqrt[m]{a}<\sqrt[n]{a}\]
となります。
したがって、
$0<a<1$である正の数$a$と$m<n$である自然数$m, n$について
\[\large\sqrt[m]{a}<\sqrt[n]{a}\]
が成り立つことがわかります。

$a=1$のとき

 正の数の累乗根の性質より、任意の自然数$m, n$について
\[\sqrt[m]{1}=1, \sqrt[n]{1}=1\]
が成り立つので、
$a=1$である正の数$a$と自然数$m, n$について、$m, n$の値にかかわらず常に
\[\large\sqrt[m]{a}=\sqrt[n]{a}=1\]
が成り立つことがわかります。

$1<a$のとき

 累乗根$\sqrt[m]{a}, \sqrt[n]{a}$の比$\dfrac{\sqrt[m]{a}}{\sqrt[n]{a}}$は、$(1)$、すなわち
\[\frac{\sqrt[m]{a}}{\sqrt[n]{a}}=\sqrt[mn]{a^{n-m}}\]
と書けます。
$m<n$より$n-m>0$であり、$1<a$なので正の数の整数乗の性質より$1<a^{n-m}$です。
すると、正の数の累乗根の性質より
\[1<\sqrt[mn]{a^{n-m}}\]
が成り立ちます。
これは$(1)$より
\[1<\frac{\sqrt[m]{a}}{\sqrt[n]{a}}\]
となり、両辺に$\sqrt[n]{a}$を掛けると
\[\sqrt[n]{a}<\sqrt[m]{a}\]
となります。
したがって、
$1<a$である正の数$a$と$m<n$である自然数$m, n$について
\[\large\sqrt[m]{a}>\sqrt[n]{a}\]
が成り立つことがわかります。

正の数$a, b$の累乗根の場合

 $a<b$である正の数$a, b$と自然数$n$をもちいた累乗根$\sqrt[n]{a}, \sqrt[n]{b}$の大小関係について調べます。
累乗根$\sqrt[n]{a}, \sqrt[n]{b}$の比$\dfrac{\sqrt[n]{a}}{\sqrt[n]{b}}$は、累乗根の計算法則より
\begin{align*}\frac{\sqrt[n]{a}}{\sqrt[n]{b}}&=\sqrt[n]{\frac{a}{b}}\tag2\end{align*}
となります。
すると、$0<a<b$より$0<\dfrac{a}{b}<1$なので、正の数の累乗根の性質より
\[0<\sqrt[n]{\frac{a}{b}}<1\]
が成り立ちます。
これは$(2)$より
\[0<\frac{\sqrt[n]{a}}{\sqrt[n]{b}}<1\]
となり、それぞれの等式・不等式の各辺に$\sqrt[n]{b}$を掛けると
\[0<\sqrt[n]{a}<\sqrt[n]{b}\]
となります。
したがって、
$a<b$である正の数$a, b$と自然数$n$について
\[\large\sqrt[n]{a}<\sqrt[n]{b}\]
が成り立つことがわかります。

ちなみに、正の数$a, b$と自然数$m, n$をもちいた累乗根$\sqrt[m]{a}, \sqrt[n]{b}$の大小関係は、それぞれが累乗根の計算法則より
\begin{gather*}\sqrt[m]{a}=\sqrt[mn]{a^n}\\[0.5em]\sqrt[n]{b}=\sqrt[mn]{b^m}\end{gather*}
と根号の指数を揃えて書けることから、累乗$a^n, b^m$の大小関係によって決まります。

この累乗$a^n, b^m$の大小関係は、累乗の範囲で行うなら底または指数を揃える変形をして、あるいはそれぞれの具体的な値を求めて調べることになり、それらができないのであれば正の数の実数乗の大小関係で調べる必要があります。


正の数の累乗根の性質2

 正の数の累乗根の大小関係を利用して導かれる性質について考えます。

正の数$a$とその累乗根の大小関係

 正の数$a$と自然数$n$をもちいた$a, \sqrt[n]{a}$の大小関係について調べます。

$0<a<1$のとき

 $a, \sqrt[n]{a}$の比$\dfrac{a}{\sqrt[n]{a}}$は、累乗根の計算法則と累乗の計算法則より
\begin{align*}\frac{a}{\sqrt[n]{a}}&=\frac{\sqrt[n]{a^n}}{\sqrt[n]{a}}\\[0.5em]&=\sqrt[n]{\frac{a^n}{a}}\\[0.5em]&=\sqrt[n]{a^{n-1}}\tag3\end{align*}
と書くことができます。
これの値の範囲を$n=1$のときと$n≧2$のときで場合分けして考えます。

・$n=1$のとき

 $n=1$を代入すると、整数乗の定義と累乗根の定義より
\begin{align*}\sqrt[1]{a^0}&=\sqrt[1]{1}\\[0.5em]&=1\end{align*}
となります。
$(3)$より
\[\frac{a}{\sqrt[n]{a}}=1\]
となり、両辺に$\sqrt[n]{a}$を掛けると
\[a=\sqrt[n]{a}\]
となります。
したがって、
$0<a<1$である正の数$a$と自然数$n$について、$n=1$のとき
\[a=\sqrt[n]{a}\]
が成り立つことがわかります。

・$n≧2$のとき

 $n≧2$より$n-1>0$であり、$0<a<1$なので、正の数の整数乗の性質より$0<a^{n-1}<1$です。
すると、正の数の累乗根の性質より
\[0<\sqrt[n]{a^{n-1}}<1\]
となります。
$(3)$より
\[0<\frac{a}{\sqrt[n]{a}}<1\]
となり、両辺に$\sqrt[n]{a}$を掛けると
\[0<a<\sqrt[n]{a}\]
となります。
したがって、
$0<a<1$である正の数$a$と自然数$n$について、$n≧2$のとき
\[a<\sqrt[n]{a}\]
が成り立つことがわかります。

 以上より、
$0<a<1$である正の数$a$と自然数$n$について
\[\large a\leqq\sqrt[n]{a}\quad(等号成立はn=1)\]
となります。

$a=1$のとき

 正の数の累乗根の性質より、$a=1$ならば$\sqrt[n]{a}=1$なので、
$a=1$である正の数$a$と自然数$n$について、$n$の値にかかわらず常に
\[\large a=\sqrt[n]{a}=1\]
が成り立つことがわかります。

$1<a$のとき

 $a, \sqrt[n]{a}$の比$\dfrac{a}{\sqrt[n]{a}}$は、$(3)$、すなわち
\[\frac{a}{\sqrt[n]{a}}=\sqrt[n]{a^{n-1}}\]
と書くことができます。
これの値の範囲を$n=1$のときと$n≧2$のときで場合分けして考えます。

・$n=1$のとき

 $0<a<1$のときと同様に、$n=1$を代入すると
\[\sqrt[n]{a^{n-1}}=\sqrt[1]{1}=1\]
となります。
$(3)$より
\[\frac{a}{\sqrt[n]{a}}=1\]
となり、両辺に$\sqrt[n]{a}$を掛けると
\[a=\sqrt[n]{a}\]
となります。
したがって、
$1<a$である正の数$a$と自然数$n$について、$n=1$のとき
\[a=\sqrt[n]{a}\]
が成り立つことがわかります。

・$n≧2$のとき

 $n≧2$より$n-1>0$であり、$1<a$なので、正の数の整数乗の性質より$1<a^{n-1}$です。
すると、正の数の累乗根の性質より
\[1<\sqrt[n]{a^{n-1}}\]
となります。
$(3)$より
\[1<\frac{a}{\sqrt[n]{a}}\]
となり、両辺に$\sqrt[n]{a}$を掛けると
\[\sqrt[n]{a}<a\]
となります。
したがって、
$1<a$である正の数$a$と自然数$n$について、$n≧2$のとき
\[a>\sqrt[n]{a}\]
が成り立つことがわかります。

 以上より、
$1<a$である正の数$a$と自然数$n$について
\[\large a\geqq\sqrt[n]{a}\]
となります。

$n$が限りなく大きくなったときの$\sqrt[n]{a}$

 $n$が限りなく大きくなったときの$\sqrt[n]{a}$の値はどうなるでしょうか?

$1<a$のとき

 まず、
\[h=\frac{a-1}{n}\]
により求められる正の数$h$をとります。
上式より、$h$は$n$が大きくなると正の値をとりながら$0$により近づく数であることがわかります。
また、上式を変形すると
\begin{align*}nh&=a-1\\[0.5em]a&=1+nh\end{align*}
のように$a$を表すことができます。
ところで、$(1+h)^n$を展開すると、二項定理より
\[(1+h)^n=1+nh+{_n\text{C}_2}h^2+\cdots +nh^{n-1}+h^n\]
となり、$1+nh$と比較すれば
\[1+nh<(1+h)^n\]
となります。すなわち、
\[a<(1+h)^n\]
です。
正の数の累乗の値と底の同値関係」で示した
正の数$b, c$と自然数$n$について
\[b<c\ \Leftrightarrow\ b^n<c^n\]
を利用して、この不等式の両辺の$n$乗根をとります。
$b^n=a, c^n=(1+h)^n$とおくと
\[\sqrt[n]{a}<1+h\]
が成り立ちます。
また、$1<a$なので正の数の累乗根の性質より$1<\sqrt[n]{a}$が成り立ち、
\[1<\sqrt[n]{a}<1+h\]
と書けます。
$n$が限りなく大きくなると、上述の通り$h$は正の値をとりながら$0$に限りなく近づくので、$1+h$は$1$に限りなく近づきます。
したがって、$1$と$1+h$の間にある$\sqrt[n]{a}$も$1$に限りなく近づくことになり、極限で表すと
\[\lim_{n\to\infty}\sqrt[n]{a}=1\quad(1<a)\tag4\]
となることがわかります。

$a=1$のとき

 正の数の累乗根の性質より、任意の自然数$n$について
\[\sqrt[n]{a}=1\]
が成り立ち、$n$が限りなく大きくなったとしてもこれは変わりません。
したがって、
\[\lim_{n\to\infty}\sqrt[n]{a}=1\quad(a=1)\]
であることがわかります。

$0<a<1$のとき

 $a$は、$1<b$である正の数$b$をもちいて$a=\dfrac{1}{b}$と書くことができます。
すると、$\sqrt[n]{a}$は累乗根の計算法則より
\begin{align*}\sqrt[n]{a}&=\sqrt[n]{\frac{1}{b}}\\[0.5em]&=\frac{\sqrt[n]{1}}{\sqrt[n]{b}}\\[0.5em]&=\frac{1}{\sqrt[n]{b}}\end{align*}
となります。
ここで、$n$が限りなく大きくなると、$1<b$なので$(4)$より$\sqrt[n]{b}$は$1$に限りなく近づくことがわかります。
すると、$\dfrac{1}{\sqrt[n]{b}}$も$1$に限りなく近づくことになり、すなわち
\[\lim_{n\to\infty}\sqrt[n]{a}=1\quad(0<a<1)\]
であることがわかります。

 以上より、
正の数$a$と自然数$n$について
\[\large\lim_{n\to\infty}\sqrt[n]{a}=1\]
が成り立つことがわかります。
(2026/6)内容を変更しました。
Share:
◎Amazonのアソシエイトとして、当サイト「数学について考えてみる」は適格販売により収入を得ています。