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2024年7月1日

x軸を回転軸とする回転体の体積と定積分

 関数$y=f(x)$のグラフと直線$x=a,x=b$(ただし、$a<b$)とx軸で囲まれた部分をx軸を回転軸として1回転させてできる立体の体積は
\[\large\pi\int^b_a\bigl\{f(x)\bigr\}^2dx\]
で求めることができます。

なぜこれで求めることができるのでしょうか?


 「定積分の値が負の値になることがあるのはなぜなのか?」でも触れた定積分の根本にある考え方をもちいて考えます。
$\int^b_af(x)dx$は関数$y=f(x)$のグラフと直線$x=a,x=b$とx軸で囲まれた部分の面積を意味し、下図のように無数の長方形に分割して、これらの面積の和に近似して求めます。
定積分の根本にある考え方
直線$x=x_k$と$x=x_{k+1}$($k:1\leqq k\leqq n$、$x_1=a,x_n=b$、$x_k<x_{k+1}$)に挟まれた長方形について考えます。
この長方形の高さを$f(p_k)$($x_k\leqq p_k\leqq x_{k+1}$)とすると、その面積$S_k$は
\[S_k=(x_{k+1}-x_k)f(p_k)\]
と書けるので、長方形の面積の和は
\begin{align*}S_1+S_2+\cdots+S_{n-2}+S_{n-1}&=\sum^{n-1}_{k=1}S_k\\[0.5em]&=\sum^{n-1}_{k=1}(x_{k+1}-x_k)f(p_k)\tag1\end{align*}
となります。
長方形の個数を際限なく増やす、すなわち$(1)$の$n$を限りなく大きくすると求めたい面積に限りなく近づいていくので、定積分$\int^b_af(x)dx$について
\[\require{color}\int^b_a\textcolor{red}{f(x)}dx=\lim_{n\to\infty}\sum^{n-1}_{k=1}(x_{k+1}-x_k)\textcolor{red}{f(p_k)}\tag{*}\]
と書けます。

近似した長方形を1回転させると円柱になる
 関数$y=f(x)$のグラフと直線$x=a,x=b$とx軸で囲まれた部分を長方形で近似した状態でx軸を回転の軸として1回転させるとそれぞれの長方形によって円柱ができます。これら円柱の体積の和は$y=f(x)$と直線$x=a,x=b$とx軸で囲まれた部分をx軸を回転軸として1回転させてできる立体の体積を近似したものとなります。
直線$x=x_k$と$x=x_{k+1}$に挟まれた長方形によってできる円柱の体積$V_k$は、底面が半径$|f(p_k)|$である円で、円柱の高さが$x_{k+1}-x_{k}$であることより
\begin{align*}V_k&=\pi(x_{k+1}-x_k)|f(p_k)|^2\\[0.5em]&=\pi(x_{k+1}-x_k)\bigl\{f(p_k)\bigr\}^2\\ &\qquad(\because実数aについて|a|^2=a^2)\end{align*}
となり、円柱の体積の和は
\begin{align*}V_1+V_2+\cdots+V_{n-2}+V_{n-1}&=\sum^{n-1}_{k=1}V_k\\[0.5em]&=\sum^{n-1}_{k=1}\pi(x_{k+1}-x_k)\bigl\{f(p_k)\bigr\}^2\tag2\end{align*}
と書けます。
$y=f(x)$と直線$x=a,x=b$とx軸で囲まれた部分をx軸を回転軸として1回転させてできる立体の体積$V$は、$(2)$の$n$を限りなく大きくすることで求められるので
\begin{align*}V&=\lim_{n\to\infty}\sum^{n-1}_{k=1}\pi(x_{k+1}-x_k)\bigl\{f(p_k)\bigr\}^2\\[0.5em]&=\lim_{n\to\infty}\sum^{n-1}_{k=1}(x_{k+1}-x_k)\textcolor{red}{\Bigl[\pi\bigl\{f(p_k)\bigr\}^2\Bigr]}\end{align*}
となり、$(*)$の定積分と総和の関係より
\begin{align*}V&=\int^b_a\textcolor{red}{\pi\bigl\{f(x)\bigr\}^2}dx\\[0.5em]&=\pi\int^b_a\bigl\{f(x)\bigr\}^2dx\end{align*}
と書けることがわかります。

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