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2024年3月20日

小3のテストで出たらしい問題の解説をしてみる


 キャンディーを食べるときのルールは「自分の出席番号の倍数となる番号の箱から1個ずつ食べる」となっていますが、これは見方を変えると「それぞれの箱には書かれている番号が現れる九九の段を出席番号とする生徒がキャンディーを食べに来る」となります。
この視点で考えたとき、九九の表を活用すると問題が解きやすくなります。
 以下の表は九九の表を$30×30$まで拡張し、積が$30$以下のものを抜粋したものです。
30×30の九九の表(一部抜粋)
(クリックして拡大できます)
段の数(青い縦列の数)は生徒の出席番号、行の数(青い横列の数)は出席番号に掛ける数、積(白いマスの数)が箱に書かれている数です。
例えば、$28$の箱のキャンディーを食べに来る生徒の出席番号を調べるには、$28$が書かれているマスを探し、それが何段にあるかその数字を確認します。
九九の表は線対称
(クリックして拡大できます)
すると$28$は1段28行、2段14行、4段7行、7段4行、14段2行、28段1行の6個のマスにあるので、$28$の箱のキャンディーを食べに来る生徒の出席番号は$1,2,4,7,14,28$であることがわかります。
ここで着目したいのは2点。
ある数が書かれているマスの段の数の種類と行の数の種類は一致する点。
そして、互いに段の数字と行の数字を入れ替えた位置関係にあるマスには必ず同じ数が書かれているという点です。
これは、掛け算には交換法則が成り立つ、すなわち掛けられる数と掛ける数を入れ替えても積が変わらないためにこのような性質が現れます。
さらにこの性質により、この表は段と行が同じ数字であるマスを結ぶ直線を対称軸として線対称となるように各マスに数字が並んでいることがわかります。
以上を踏まえて問題を解きます。

(1)

 $1$~$30$の整数は必ず1の段に現れます。また、表の線対称の性質より1の行にも同様に$1$~$30$の整数が必ず現れます。
したがって、1の段と1の行に着目すれば$1$以外の箱の食べられるキャンディーの個数が2個以上であることがわかります。($1$は1段1行にしかないため、$1$の箱の食べられたキャンディーは1個だけであることがわかります。)
ということは、食べられたキャンディーの個数がちょうど2個であるならば、その箱の番号は1の段と1の行以外には現れない$1$以外の数であるということになります。
1の段、1の行を除いた九九の表(一部抜粋)
2以上の現れない数を探す
(2段目・2行目以降を抜粋)
これに当てはまる数を表から探すと、$2,3,5,7,11,13,17,19,23,29$の10個が見つかります。
したがって、食べられたキャンディーの個数がちょうど2個である箱の数は10箱であることがわかります。

(2)

 表の線対称の性質を考えると、各マスには段の数と行の数を入れ替えた位置関係にある対となるマスが存在します。しかし、対称軸上のマスは段の数と行の数が同じなので対となるマスは自分自身となってしまいます。
対称軸上のマスに書いてある数は表中に奇数個ある
対称軸上にある$16$は表中に5個(奇数個)あるが、
対称軸上にない$20$は表中に4個(偶数個)しかない。
(クリックして拡大できます)
したがって、対称軸上のマスに書かれている数と同じ数は表中に奇数個あり、これを番号とする箱の食べられたキャンディーは奇数個、それ以外の数の場合は表中に偶数個あり、これを番号とする箱の食べられたキャンディーは偶数個となることがわかります。
対称軸上のマスに書かれている数は$1,4,9,16,25$の5個なので、食べられたキャンディーの個数が偶数の箱の数はこれらの番号が書かれた5箱を除いた25箱であることがわかります。

ちなみに

 キャンディーを食べるときのルールを「それぞれの箱には書かれている番号が現れる九九の段を出席番号とする生徒がキャンディーを食べに来る」と言い換えましたが、これは「それぞれの箱には書かれている番号を割り切ることができる数を出席番号とする生徒がキャンディーを食べに来る」とも言い換えることができます。そして、ある整数を割り切ることができる整数のことを約数といいます。
したがって、この問題は$1$~$30$の整数がもつ約数の個数に関する問題であることがわかります。
$(1)$は約数の個数がちょうど2個である整数の個数に関する問題です。
約数が自身と$1$の2つしかない数のことを素数といい、この個数に関する問題であったといえます。
$(2)$は約数の個数が偶数個である整数の個数に関する問題で、解くために約数の個数が奇数個である整数の個数を調べる必要がありました。
約数の個数が奇数個であるという性質を持つ整数のことを平方数といい、この数は同じ整数を2個掛け合わせてつくることができ、ちょうど九九の表の対称軸上にある数のこととなります。

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