三角関数$\sinθ,\cosθ,\tanθ$の間にはどのような関係があるのでしょうか?
直角三角形による定義の場合
$∠C=90°$である直角三角形$ABC$について$∠B=θ$、斜辺$AB$の長さを$r$、$∠B$の斜辺でない隣接する辺$BC$の長さを$x$、$∠A$の対辺$AC$の長さを$y$とすると三角比は
\[\sin\theta=\frac{y}{r},\cos\theta=\frac{x}{r},\tan\theta=\frac{y}{x}\]
となります。
$\sinθ,\cosθ$の式を変形して
\begin{align*}x&=r\cos\theta\tag{a}\\[1em]y&=r\sin\theta\tag{b}\end{align*}
となります。
すると、$\tanθ$の式に$\text{(a),(b)}$を代入すると
\begin{equation}\tan\theta=\frac{\sin\theta}{\cos\theta}\end{equation}
が得られます。
また、三平方の定理より
\[x^2+y^2=r^2\]
が成り立つので、これに$\text{(a),(b)}$を代入すると
\begin{align*}(r\cos\theta)^2+(r\sin\theta)^2&=r^2\\[0.5em]\therefore
r^2\sin^2\theta+r^2\cos^2\theta&=r^2\end{align*}
この両辺を$r^2$で割ることで
\begin{equation}\sin^2\theta+\cos^2\theta=1\end{equation}
が得られます。
さらに、$(2)$の両辺を$\cos^2θ$で割ると
\begin{align*}\frac{\sin^2θ}{\cos^2θ}+\frac{\cos^2θ}{\cos^2θ}&=\frac{1}{\cos^2θ}\\[0.5em]\left(\frac{\sinθ}{\cosθ}\right)^2+1&=\frac{1}{\cos^2θ}\\[0.5em]\therefore\tan^2θ+1&=\frac{1}{\cos^2θ}\tag3\end{align*}
が得られます。
$(1),(2),(3)$の3つの式は$\sinθ,\cosθ\,tanθ$の互いの関係性を表した式なので、これらのことを三角関数(三角比)の相互関係と呼びます。
単位円による定義の場合
単位円による定義では、
x軸の正の部分と反時計回りを正の方向として$θ$の角をなす単位円の半径を引いたとき円周上の端点の座標が$(\cosθ,\sinθ)$、半径を延長した直線の傾きが$\tanθ$となります。
すると半径が原点と$(\cosθ,\sinθ)$を通ることから傾きを求めると$\tanθ$は
\begin{align*}\tan\theta&=\frac{\sin\theta-0}{\cos\theta-0}\\[0.5em]&=\frac{\sin\theta}{\cos\theta}\end{align*}
となり$(1)$を得ます。
単位円の中心である原点$O$から$(\cosθ,\sinθ)$までの距離は$1$なので
\begin{align*}(\cos\theta-0)^2+(\sin\theta-0)^2&=1\\[0.5em]\therefore
\sin^2\theta+\cos^2\theta&=1\end{align*}
となり$(2)$を得ます。
$\text{(c)}$に関しては直角三角形による定義の場合と同様です。
(2024/5)内容を一部修正しました。
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