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2022年3月27日

ピースを組み替えると面積が変わる?直角三角形

ピースを組み替えると
図1 直角三角形1
 上図のような4つのピースで作った直角三角形があります。
これを上下の直角三角形のピースを入れ替えるように組み替えると……
1マス分の空白ができる
図2 直角三角形2
面積は変わらないはずなのに正方形1つ分の空白ができてしまいます。
なぜこのようなことが起きるのでしょうか?

 これは2つの直角三角形のピースに原因があります。
この直角三角形のピースの斜辺以外の2辺の比をそれぞれ調べてみると
2つの直角三角形のピースの2辺の比
図3 2つの直角三角形の2辺の比
黄色い直角三角形のほうは3:2、赤い直角三角形は4:3になります。
2辺の比が違うということはこれらの直角三角形は相似ではないということです。
相似でないと斜辺は一直線につながらないため、4つのピースで作った直角三角形は実は斜辺部分に分かりづらい頂点がある直角三角形っぽく見える四角形だったということになります。
事実、よく見ると図1の直角三角形の斜辺は少し凹んでいて、図2の斜辺は少し膨らんでいます。
ピースの組み換え前後の比較
図4 図1と図2を重ねると
図1と図2の図形を重ねると図2の図形にはみ出す部分があり、これは平べったい平行四辺形で面積が正方形1つ分です。
したがって、正方形1つ分の空白ができたのは、このはみ出した部分に正方形1つ分の面積が移動してきたからということになります。

 これは本当でしょうか?平たい平行四辺形の面積が正方形1つ分であることを確かめてみます。
平行四辺形の面積
図5 平行四辺形の面積
平行四辺形の内角の1つがθでこの角を作る2辺の長さがそれぞれa,bであるとき、平行四辺形の面積は
absinθ
で求められます。
平行四辺形の2辺とその間の角
図6 平行四辺形の内角と2辺の長さ
図6のようにはみ出した部分の平行四辺形の矢印の部分の内角をθとするとこれは赤い直角三角形の鋭角と黄色の直角三角形の鋭角の差であり、θをつくる2辺の長さはそれぞれ赤い直角三角形と黄色の直角三角形の斜辺の長さになります。

2つの直角三角形
図7 2つの直角三角形
黄色の直角三角形の斜辺の長さは三平方の定理より
32+22=9+4=13
赤い直角三角形の斜辺の長さは
42+32=16+9=25=5
となります。
図7のように黄色の直角三角形と赤い直角三角形の鋭角の1つをそれぞれα,βとすると
黄色の直角三角形の三角比は
sinα=213,cosα=313
赤い直角三角形の三角比は
sinβ=35,cosβ=45
となります。
平行四辺形の面積
図8 平行四辺形の面積を求める
はみ出した部分の平行四辺形の面積は上記の公式より
5×13sinθ
となります。
ここでθ=βαであるから加法定理より
sinθ=sin(βα)=sinβcosαcosβsinα=3531345213=1513
となるので、平行四辺形の面積は
5×13×1513=1
となり、確かにはみ出した部分に正方形1つ分の面積が移動していたことがわかります。

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