メネラウスの定理とは、$△ABC$の頂点を通らない直線と各辺またはその延長線との交点を$P,Q,R$とすると、
\[\frac{RB}{AR}\cdot\frac{PC}{BP}\cdot\frac{QA}{CQ}=1\]
が成立するという定理です。
赤い矢印のループの任意の位置から開始し、分数の分母と分子に交互に線分の長さ、または長さの割合を入れながら一巡すれば上の式をつくることができます。
これはなぜ成り立つのでしょうか?
$\dfrac{RB}{AR}$を比の形にすると$RB:AR$となり、$AB$の一部を底辺とする三角形の面積比と考えると
\[RB:AR=△BPR:△APR\]
ここで$PR$を底辺としたとき$△BPR$と$△BPQ$との関係は
\[△BPR=\frac{PR}{PQ}△BPQ\]
となります。
また同様に$PR$を底辺としたとき$△APR$と$△APQ$との関係は
\[△APR=\frac{PR}{PQ}△APQ\]
となります。
したがって、
\begin{align*}RB:AR&=\frac{PR}{PQ}△BPQ:\frac{PR}{PQ}△APQ=△BPQ:△APQ\\[0.5em]\frac{RB}{AR}&=\frac{△BPQ}{△APQ}\tag1\end{align*}
と書けます。
$\dfrac{PC}{BP}$を比の形にすると$PC:BP$となり、$BP$またはその一部を底辺とする三角形の面積比と考えると
\begin{align*}PC:BP&=△CPQ:△BPQ\\[0.5em]\frac{PC}{BP}&=\frac{△CPQ}{△BPQ}\tag2\end{align*}
となります。
$\dfrac{QA}{CQ}$を比の形にすると$QA:CQ$となり、$AC$の一部を底辺とする三角形の面積比と考えると
\begin{align*}QA:CQ&=△APQ:△CPQ\\[0.5em]\frac{QA}{CQ}&=\frac{△APQ}{△CPQ}\tag3\end{align*}
となります。
$(1),(2),(3)$より
\begin{align*}\frac{RB}{AR}\cdot\frac{PC}{BP}\cdot\frac{QA}{CQ}&=\frac{△BPQ}{△APQ}\cdot\frac{△CPQ}{△BPQ}\cdot\frac{△APQ}{△CPQ}\\[0.5em]\therefore\frac{RB}{AR}\cdot\frac{PC}{BP}\cdot\frac{QA}{CQ}&=1\end{align*}
となり、メネラウスの定理が成り立つことがわかります。
チェバの定理との違いは、メネラウスの定理では頂点を通る直線がないこと、三角形の辺またはその延長線以外の直線は1本だけであることです。
Share: