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2022年3月9日

ベクトルの平行条件

 $\vec{A}=(a_1,a_2),\vec{B}=(b_1,b_2)$の2つのベクトルが平行であるとき、以下が成り立ちます。
\begin{align*}\vec{A}&=k\vec{B}&(k:実数)\tag{a}\\[0.5em]a_1b_2-a_2b_1&=0\tag{b}\end{align*}
ベクトルの実数倍は向きが変わらないので(a)が成り立つことはわかりますが、なぜ(b)から平行であることがわかるのでしょうか?

 2通りの方法で確かめてみます。

1. 比例式

 (a)より
\[(a_1,a_2)=k(b_1,b_2)=(kb_1,kb_2)\]
なので、
\begin{align*}a_1:b_1&=a_2:b_2\\[0.5em] a_1b_2&=a_2b_1\\[0.5em]a_1b_2-a_2b_1&=0\end{align*}
となり、(b)が成り立つことがわかります。

2. sinθの利用

 2つのベクトルが平行であるということは2つのベクトルのなす角が$0°$ということです。
この点に着目し
\[|\vec{A}||\vec{B}|\sinθ\]
という式について考えます。
ベクトルのなす角とx軸とのなす角
$\vec{A},\vec{B}$それぞれの始点からx軸の正の方向にのびる直線と各ベクトルとのなす角を$\alpha,\beta$、$\vec{A},\vec{B}$のなす角を$θ$とすると、以下のようなことがわかります。
\begin{align*}|\vec{A}|&=\sqrt{{a_1}^2+{a_2}^2},\\[0.5em]|\vec{B}|&=\sqrt{{b_1}^2+{b_2}^2}\\[1em]\cos\alpha&=\frac{a_1}{\sqrt{{a_1}^2+{a_2}^2}},\\[0.5em]\sin\alpha&=\frac{a_2}{\sqrt{{a_1}^2+{a_2}^2}}\\[1em]\cos\beta&=\frac{b_1}{\sqrt{{b_1}^2+{b_2}^2}},\\[0.5em]\sin\beta&=\frac{b_2}{\sqrt{{b_1}^2+{b_2}^2}}\end{align*}
$θ=\alpha-\beta$として加法定理より
\begin{align*}\sinθ&=\sin(\alpha-\beta)\\[0.5em]&=\sin\alpha\cos\beta-\cos\alpha\sin\beta\\[0.5em]&=\frac{a_2}{\sqrt{{a_1}^2+{a_2}^2}}\cdot\frac{b_1}{\sqrt{{b_1}^2+{b_2}^2}}-\frac{a_1}{\sqrt{{a_1}^2+{a_2}^2}}\cdot\frac{b_2}{\sqrt{{b_1}^2+{b_2}^2}}\\[0.5em]&=\frac{a_2b_1-a_1b_2}{\sqrt{{a_1}^2+{a_2}^2}\sqrt{{b_1}^2+{b_2}^2}}\end{align*}
したがって、
\begin{align*}|\vec{A}||\vec{B}|\sinθ&=\sqrt{{a_1}^2+{a_2}^2}\cdot\sqrt{{b_1}^2+{b_2}^2}\cdot\frac{a_2b_1-a_1b_2}{\sqrt{{a_1}^2+{a_2}^2}\sqrt{{b_1}^2+{b_2}^2}}\\[0.5em]&=a_2b_1-a_1b_2\end{align*}
ここで、$θ=0$のとき$\sinθ=0$なので
\[a_2b_1-a_1b_2=0\]
両辺に$-1$を掛けても成り立つので
\[a_1b_2-a_2b_1=0\]
以上から$\vec{A},\vec{B}$が平行なとき(b)が成り立つことがわかります。

ちなみに$|\vec{A}||\vec{B}|\sinθ$はベクトルの外積に関係しています。


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