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2022年3月24日

なぜ三角錐の体積は三角柱の体積の3分の1なのか?

 三角錐の体積はなぜ三角柱の体積の$\dfrac{1}{3}$になるのでしょうか?


 上図の三角柱$ABC-DEF$をもちいて考えます。
この三角柱を面$DBC$で切ってできる三角錐$D-ABC$(以下、立体$I$)と面$DFB$で切ってできる三角錐$B-DEF$(以下、立体$I\hspace{-0.2em}I$)と残りの三角錐$B-CDF$(以下、立体$I\hspace{-0.2em}I\hspace{-0.2em}I$)の3つに切り分けます。
3つの三角錐の体積が等しければ三角柱の体積の$\dfrac{1}{3}$が三角錐の体積であることがわかります。

三角錐の体積が三角柱の体積の$\dfrac{1}{3}$であることを確かめる試みなので三角錐の体積の公式
\[\frac{1}{3}\times(底面積)\times(高さ)\]
は使えませんが、体積を求めるには底面積と高さが必要という点に着目して2つの三角錐の体積が等しいことを確かめます。


 立体$I$と立体$I\hspace{-0.2em}I$を比較します。
立体$I$の底面を面$ABC$、立体$I\hspace{-0.2em}I$の底面を面$DEF$とすると、三角柱の底面である両者は合同な図形なので面積が等しくなります。
また、面$ABC$に垂直な辺$DA$と面$DEF$に垂直な辺$BE$の長さは立体$I$、立体$I\hspace{-0.2em}I$それぞれの高さとなります。これらの辺は三角柱の側面の平行な辺なので長さは等しいです。

したがって、立体$I$と立体$I\hspace{-0.2em}I$の底面積と高さがそれぞれ等しいため、体積が等しいことがわかります。


 立体$I$と立体$I\hspace{-0.2em}I\hspace{-0.2em}I$を比較します。
立体$I$の底面を面$ACD$、立体$I\hspace{-0.2em}I$の底面を面$CFD$とすると、三角柱の側面$ACFD$を対角線$CD$で分割したものであることがわかります。面$ACFD$は長方形なので対角線で分割してできた2つの直角三角形の面積は等しくなります。
面$ACD$と面$CFD$は面$ABC$に対し垂直なので、立体$I$と立体$I\hspace{-0.2em}I\hspace{-0.2em}I$の高さは$△ABC$の辺$AC$を底辺としたときの高さとなります。

したがって、立体$I$と立体$I\hspace{-0.2em}I\hspace{-0.2em}I$の底面積と高さがそれぞれ等しいため、体積が等しいことがわかります。


 以上より$(立体Iの体積)=(立体I\hspace{-0.2em}Iの体積)$かつ$(立体Iの体積)=(立体I\hspace{-0.2em}I\hspace{-0.2em}Iの体積)$となるから
\[(立体Iの体積)=(立体I\hspace{-0.2em}Iの体積)=(立体I\hspace{-0.2em}I\hspace{-0.2em}Iの体積)\]
が成り立つので、三角錐の体積は三角柱の体積の$\dfrac{1}{3}$であることがわかります。

 同じように四角柱の体積の$\dfrac{1}{3}$が四角錐の体積になることを確かめてみます。
上図の四角柱(直方体)$ABCD-EFGH$をもちいて考えます。
この直方体を四角錐$H-ABCD$(以下、立体$I$)、四角錐$A-EFGH$(以下、立体$I\hspace{-0.2em}I$)、残りの立体$I\hspace{-0.2em}I\hspace{-0.2em}I$に分割します。立体$I\hspace{-0.2em}I\hspace{-0.2em}I$は面$ABGH$で切ることで三角錐$A-BFG$(以下、立体$I\hspace{-0.2em}V$)、三角錐$H-BCG$(以下、立体$V$)の2つに分割できます。
立体$I$、立体$I\hspace{-0.2em}I$、立体$I\hspace{-0.2em}I\hspace{-0.2em}I$の体積が等しければ直方体の体積の$\dfrac{1}{3}$が四角錐の体積であることがわかります。

 立体$I$と立体$I\hspace{-0.2em}I$を比較します。
立体$I$の面$ABCD$と立体$I\hspace{-0.2em}I$の面$EFGH$を底面とすると、これらは合同な四角形なので面積が等しいです。立体$I$の辺$DH$と立体$I\hspace{-0.2em}I$の辺AEの長さが高さとなり、この2辺は長さが等しいので立体$I$と立体$I\hspace{-0.2em}I$の体積は等しいことがわかります。

 立体$I$と立体$I\hspace{-0.2em}I\hspace{-0.2em}I$を比較します。
単純には比較できないので立体$I$を面$ACH$で切り、三角錐$H-ACD$(以下、立体$V\hspace{-0.2em}I$)と三角錐$H-ABC$(以下、立体$V\hspace{-0.2em}I\hspace{-0.2em}I$)に分割します。

立体$V\hspace{-0.2em}I$の底面を面$ACD$、立体$V\hspace{-0.2em}I\hspace{-0.2em}I$の底面を面$ABC$とすると、この2つは面$ABCD$を対角線$AC$で切り分けたものなので合同で面積が等しいです。
また、立体$V\hspace{-0.2em}I$と立体$V\hspace{-0.2em}I\hspace{-0.2em}I$は立体$I$の頂点と底面を通る面で切り分けてできた図形なので高さが等しいので、立体$V\hspace{-0.2em}I$と立体$V\hspace{-0.2em}I\hspace{-0.2em}I$の体積は等しいことがわかります。

立体$I\hspace{-0.2em}V$の底面を面$AFG$、立体$V$の底面を面$BCG$とすると、この2つは面$BCGF$を対角線$BG$で切り分けたものなので合同で面積が等しいです。
また、高さとなる辺$AB$と辺$GH$は直方体の平行な辺なので長さが等しいので、立体$I\hspace{-0.2em}V$と立体$V$の体積は等しいことがわかります。

ここで、直方体$ABCD-EFGH$の辺$AB$と平行な辺の長さを$x$、辺$AD$と平行な辺の長さを$y$、辺$AE$と平行な辺の長さを$z$とすると、立体$I$の体積は立体$V\hspace{-0.2em}I$の体積の2倍なので
\[2×\frac{1}{3}×\left(\frac{1}{2}AD×CD\right)×HD=\frac{1}{3}xyz\]
立体$I\hspace{-0.2em}I\hspace{-0.2em}I$の体積は立体$I\hspace{-0.2em}V$の体積の2倍なので
\[2×\frac{1}{3}×\left(\frac{1}{2}BF×FG\right)×AB=\frac{1}{3}xyz\]
したがって、立体$I$と立体$I\hspace{-0.2em}I\hspace{-0.2em}I$の体積は等しいことがわかります。

 以上より$(立体Iの体積)=(立体I\hspace{-0.2em}Iの体積)$かつ$(立体Iの体積)=(立体I\hspace{-0.2em}I\hspace{-0.2em}Iの体積)$となるから
\[(立体Iの体積)=(立体I\hspace{-0.2em}Iの体積)=(立体I\hspace{-0.2em}I\hspace{-0.2em}Iの体積)\]
が成り立つので、四角錐の体積は四角柱の体積の$\dfrac{1}{3}$であることがわかります。

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