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2022年11月3日

虚数乗して実数になる数は?

虚数乗して実数になる数

 $i$乗して実数になるような数にはどんな特徴があるでしょうか?


これはつまり2数$x,y$において
\[x^i=y\]
の関係があり、$y$が実数のとき$x$は複素数の範囲で何になるか?ということです。

 $x$を求めるにはまず、極形式で表します。
$a+bi=r(\cos\theta+i\sin\theta)$より実数$r(\geqq0),\theta$をもちいて
\[x=r(\cos\theta+i\sin\theta)\]
となります。また、オイラーの公式$e^{i\theta}=\cos\theta+i\sin\theta$より
\[x=re^{i\theta}\]
さらに$r=e^{\log_e{r}}$より
\[x=e^{\log_e{r}}\cdot e^{i\theta}=e^{\log_e{r}+i\theta}\]
となります。

関連:指数の計算法則

したがって、$x^i$は
\[x^i=\left(e^{\log_e{r}+i\theta}\right)^i=e^{-\theta+i\log_e{r}}\]
となるため、$x^i$が実数となる条件は
\begin{align*}\log_e{r}&=0\\ \\ r&=1\\ \\ x&=e^{i\theta}\end{align*}
のときであるとわかります。
代入すると
\[x^i=\left(e^{i\theta}\right)^i=e^{-\theta}\]
となります。
例えば$\dfrac{1}{2}+\dfrac{\sqrt{3}}{2}i=e^{i\dfrac{\pi}{3}}$のとき
\[\left(e^{i\frac{\pi}{3}}\right)^i=e^{-\frac{\pi}{3}}≒0.35092\]
となります。

 もう少し範囲を広げて指数が純虚数$ki\ (k:実数)$の場合を考えると、
\[x^{ki}=(x^i)^k\]
となることから$x^i$が実数であるとき$x^{ki}$も実数となるため、$i$乗の時と同様$x=e^{i\theta}$が条件となります。

複素数乗の場合は?

 今度は指数が複素数の場合を考えます。
\[x^{a+bi}=x^a\cdot x^{bi}\quad(a,b:実数)\]
となるので、$x^{a+bi}$が実数となるには$x^a,x^{bi}$がともに実数、ともに純虚数、互いに共役複素数かその実数倍の3つの場合があります。

$x^a,x^{bi}$がともに実数

$x^{bi}$部分は上記と同様$x=e^{i\theta}$が条件となります。

$x^a$部分については
\[x^a=\left(e^{i\theta}\right)^a=e^{ia\theta}\]
となるため、$e^{n\pi}=\pm1\ (n:整数)$より
\begin{align*}a\theta&=n\pi\\ \\ \theta&=\frac{n\pi}{a}\end{align*}
を満たすことが条件となります。

以上から
\[x=e^{i\frac{n\pi}{a}}\]
となります。(ただし、$a\neq0$)

$x^a,x^{bi}$がともに純虚数

$x=re^{i\theta}=e^{\log_e{r}+i\theta}$の方で考えると
$x^a$部分は
\[x^a=r^ae^{ia\theta}\]
となり、$e^{i\dfrac{n\pi}{2}}=\pm i\ (n:整数)$より
\begin{align*}a\theta&=\frac{n\pi}{2}\\ \\ \theta&=\frac{n\pi}{2a}\end{align*}
が条件となります。

$x^{bi}$部分は
\begin{align*}x^{bi}&=\left(e^{\log_e{r}+i\theta}\right)^{bi}\\ \\ &=e^{-b\theta+ib\log_e{r}}\\ \\ &=e^{-b\theta}\cdot e^{ib\log_e{r}}\end{align*}
$e^{-b\theta}$は実数なので、$e^{ib\log_e{r}}$が純虚数になるには
\[b\log_e{r}=\frac{n\pi}{2}\]
が条件となります。これを$r$について解くと
\begin{align*}\log_e{r}&=\frac{n\pi}{2b}\\ \\ e^{\log_e{r}}&=e^{\frac{n\pi}{2b}}\\ \\ r&=e^{\frac{n\pi}{2b}}\end{align*}
となります。

以上から
\begin{align*}x&=e^{\frac{n\pi}{2b}}\cdot e^{i\frac{n\pi}{2a}}\\ \\ &=e^{\frac{n\pi}{2b}+i\frac{n\pi}{2a}}\end{align*}
となります。(ただし、$a,b\neq0$)

$x^a,x^{bi}$が互いに共役複素数

上記より
\[\left\{\begin{aligned}x^a&=r^ae^{ia\theta}\\ \\ x^{ib}&=e^{-b\theta}\cdot e^{ib\log_e{r}}\end{aligned}\right.\]
また、$e^{i\theta}$の共役複素数は$e^{-i\theta}$なので、

関連:共役複素数の性質

\[a\theta=-b\log_e{r}\]
となります。これを$\theta$について解くと
\[\theta=-\frac{b}{a}\log_e{r}+2n\pi\quad(※一般角)\]
となるから、$x=e^{\log_e{r}+i\theta}$の指数部分は
\begin{align*}&\log_e{r}+i\left(-\frac{b}{a}\log_e{r}+2n\pi\right)\\ \\ &=\log_e{r}\left(1-\frac{b}{a}i\right)+i2n\pi\end{align*}

すなわち、
\begin{align*}x&=e^{\log_e{r}\left(1-\frac{b}{a}i\right)+i2n\pi}\\ \\ &=e^{\log_e{r}\left(1-\frac{b}{a}i\right)}\cdot e^{i2n\pi}\\ \\ &=r^{1-\frac{b}{a}i}\end{align*}
となります。(ただし、$r\neq0$)


 よって、上の3つの場合より$x^{a+bi}$が実数になるのは
\[e^{i\frac{n\pi}{a}},e^{\frac{n\pi}{2b}+i\frac{n\pi}{2a}},r^{1-\frac{b}{a}i}\]
のときであることがわかります。(ただし、$a,b,r\neq0$)

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