$i$乗して実数になるような数にはどんな特徴があるでしょうか?
$x$を求めるにはまず、極形式で表します。
$a+bi=r(\cos\theta+i\sin\theta)$より実数$r(\geqq0),\theta$をもちいて
\[x=r(\cos\theta+i\sin\theta)\]
となります。また、オイラーの公式$e^{i\theta}=\cos\theta+i\sin\theta$より
\[x=re^{i\theta}\]
さらに$r=e^{\log_e{r}}$より
\[x=e^{\log_e{r}}\cdot e^{i\theta}=e^{\log_e{r}+i\theta}\]
となります。
関連:指数の計算法則
したがって、$x^i$は
\[x^i=\left(e^{\log_e{r}+i\theta}\right)^i=e^{-\theta+i\log_e{r}}\]
となるため、$x^i$が実数となる条件は
\begin{align*}\log_e{r}&=0\\ \\ r&=1\\ \\ x&=e^{i\theta}\end{align*}
のときであるとわかります。
代入すると
\[x^i=\left(e^{i\theta}\right)^i=e^{-\theta}\]
となります。
例えば$\dfrac{1}{2}+\dfrac{\sqrt{3}}{2}i=e^{i\dfrac{\pi}{3}}$のとき
\[\left(e^{i\frac{\pi}{3}}\right)^i=e^{-\frac{\pi}{3}}≒0.35092\]
となります。
もう少し範囲を広げて指数が純虚数$ki\ (k:実数)$の場合を考えると、
\[x^{ki}=(x^i)^k\]
となることから$x^i$が実数であるとき$x^{ki}$も実数となるため、$i$乗の時と同様$x=e^{i\theta}$が条件となります。
複素数乗の場合は?
今度は指数が複素数の場合を考えます。
\[x^{a+bi}=x^a\cdot x^{bi}\quad(a,b:実数)\]
となるので、$x^{a+bi}$が実数となるには$x^a,x^{bi}$がともに実数、ともに純虚数、互いに共役複素数かその実数倍の3つの場合があります。
$x^a,x^{bi}$がともに実数
$x^a$部分については
\[x^a=\left(e^{i\theta}\right)^a=e^{ia\theta}\]
となるため、$e^{n\pi}=\pm1\ (n:整数)$より
\begin{align*}a\theta&=n\pi\\ \\ \theta&=\frac{n\pi}{a}\end{align*}
を満たすことが条件となります。
以上から
\[x=e^{i\frac{n\pi}{a}}\]
となります。(ただし、$a\neq0$)
$x^a,x^{bi}$がともに純虚数
$x=re^{i\theta}=e^{\log_e{r}+i\theta}$の方で考えると
$x^a$部分は
\[x^a=r^ae^{ia\theta}\]
となり、$e^{i\dfrac{n\pi}{2}}=\pm i\ (n:整数)$より
\begin{align*}a\theta&=\frac{n\pi}{2}\\ \\ \theta&=\frac{n\pi}{2a}\end{align*}
が条件となります。
$x^{bi}$部分は
\begin{align*}x^{bi}&=\left(e^{\log_e{r}+i\theta}\right)^{bi}\\ \\ &=e^{-b\theta+ib\log_e{r}}\\ \\ &=e^{-b\theta}\cdot e^{ib\log_e{r}}\end{align*}
$e^{-b\theta}$は実数なので、$e^{ib\log_e{r}}$が純虚数になるには
\[b\log_e{r}=\frac{n\pi}{2}\]
が条件となります。これを$r$について解くと
\begin{align*}\log_e{r}&=\frac{n\pi}{2b}\\ \\ e^{\log_e{r}}&=e^{\frac{n\pi}{2b}}\\ \\ r&=e^{\frac{n\pi}{2b}}\end{align*}
となります。
以上から
\begin{align*}x&=e^{\frac{n\pi}{2b}}\cdot e^{i\frac{n\pi}{2a}}\\ \\ &=e^{\frac{n\pi}{2b}+i\frac{n\pi}{2a}}\end{align*}
となります。(ただし、$a,b\neq0$)
$x^a,x^{bi}$が互いに共役複素数
関連:共役複素数の性質
すなわち、
\begin{align*}x&=e^{\log_e{r}\left(1-\frac{b}{a}i\right)+i2n\pi}\\ \\ &=e^{\log_e{r}\left(1-\frac{b}{a}i\right)}\cdot e^{i2n\pi}\\ \\ &=r^{1-\frac{b}{a}i}\end{align*}
となります。(ただし、$r\neq0$)
よって、上の3つの場合より$x^{a+bi}$が実数になるのは
\[e^{i\frac{n\pi}{a}},e^{\frac{n\pi}{2b}+i\frac{n\pi}{2a}},r^{1-\frac{b}{a}i}\]
のときであることがわかります。(ただし、$a,b,r\neq0$)