足して引く
同じものを足して引いても結果は変わらないことを利用します。
平方完成
2次式$x^2+4x-3$を平方完成するとき$x^2+4x$の部分に着目して$(x+○)^2$の形に変形できるのは
\[(x+2)^2=x^2+4x+4\]
なので$4$を足して引きます。
\begin{align*}x^2+4x-3&=x^2+4x\ \underline{+4-4}-3\\ &=(x^2+4x+4)-4-3\\ &=(x+2)^2-7\end{align*}
のように変形できます。
関連:平方完成するには
積の微分
$f(x)g(x)$を定義に従って$x$で微分すると
\[\{f(x)g(x)\}'=\lim_{h\to0}\frac{f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x)}{h}\]
となり、このままでは微分できるかわかりません。そこで$f(x)g(x+h)$を足して引くと
\begin{align*}&\{f(x)g(x)\}'\\ &=\lim_{h\to0}\frac{f(x+h)g(x+h)\ \underline{-f(x)g(x+h)+f(x)g(x+h)}-f(x)g(x)}{h}\\ \\ &=\lim_{h\to0}\frac{\{f(x+h)-f(x)\}g(x+h)+f(x)\{g(x+h)-g(x)\}}{h}\\ \\ &=\lim_{h\to0}\left\{\frac{f(x+h)-f(x)}{h}g(x+h)\right\}+\lim_{h\to0}\left\{f(x)\frac{g(x+h)-g(x)}{h}\right\}\\ \\ &=f'(x)g(x)+f(x)g'(x)\end{align*}
となり、微分できることがわかります。
関連:積の微分・商の微分
掛けて割る
足して引くと同様、同じものを掛けて割っても結果は変わらないことを利用します。
約分・通分
分数の分母と分子に同じ数を掛けたり割ったりするのは
\begin{align*}\frac{A×C}{B×C}&=\frac{A}{B}×\frac{C}{C}\\ \\ &=\frac{A}{B}×C×\frac{1}{C}\\ \\ &=\frac{A}{B}×C÷C\end{align*}
と考えることができます。
例として$\dfrac{4}{12}$を約分するときは、分母と分子が$4$で割れるので
\begin{align*}\frac{4}{12}&=\frac{4}{12}\ \underline{×4÷4}\\ \\ &=\frac{4}{12}÷\frac{1}{4}×\frac{1}{4}\\ \\ &=\frac{4}{12}×\cfrac{\cfrac{1}{4}}{\cfrac{1}{4}}\\ \\ &=\cfrac{4×\cfrac{1}{4}}{12×\cfrac{1}{4}}\\ \\ &=\frac{1}{3}\end{align*}
$\dfrac{2}{3}$を通分して分母を$9$にしたいときは、分母と分子に$3$を掛けて
\begin{align*}\frac{2}{3}&=\frac{2}{3}\ \underline{×3÷3}\\ \\ &=\frac{2}{3}×\frac{3}{3}\\ \\ &=\frac{2×3}{3×3}\\ \\ &=\frac{6}{9}\end{align*}
となります。
分母の有理化
分母の有理化は分数の分母と分子に同じ数を掛けて、分母を整数にすることです。
\begin{align*}\frac{1}{\sqrt{3}}&=\frac{1}{\sqrt{3}}\ \underline{×\sqrt{3}÷\sqrt{3}}\\ \\ &=\frac{1}{\sqrt{3}}×\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{3}}\\ \\ &=\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{3}×\sqrt{3}}\\ \\ &=\frac{\sqrt{3}}{3}\end{align*}
約分・通分と同様のことを行っています。
このように分数ではこのテクニックはよく利用されています。
因数分解
因数分解の基本「共通因数をかっこの外にくくりだす」も掛けて割るを利用していると解釈することができます。
\begin{align*}na+nb-nc&=(na+nb-nc)\ \underline{×n÷n}\\ &=\frac{na+nb-nc}{n}×n\\ \\ &=(a+b-c)×n\\ \\ &=n(a+b-c)\end{align*}
Share: