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2024年11月7日

約分・通分とは?

約分

 約分とは、分数の分母と分子を同じ数で割ってより簡単な分数に直すことです。
より簡単な分数とは、より小さい自然数をもちいて表される分数のことです。


例えば、$\dfrac{4}{12}$を約分する場合を考えます。
$\dfrac{4}{12}$は$1$を12等分し、その中の4個分の大きさをもつ数なので、以下の図のように表せます。
4/12を表す円
円全体が数の$1$を表し、これを12等分します。その中の4個のおうぎ形だけ青く塗ると、この円の青い部分全体が$\dfrac{4}{12}$を表す部分となります。残りの白いおうぎ形8個は空白の部分です。

4/12から2/6への変形
ここで、青いおうぎ形と白いおうぎ形をそれぞれ2個ずつまとめてみます。
すると、青いおうぎ形、白いおうぎ形それぞれのまとめた後の個数は割り算で計算できます。
青いおうぎ形4個を2個ずつまとめると$4÷2=2$(個)、白いおうぎ形8個を2個ずつまとめると$8÷2=4$(個)となります。

青と白のおうぎ形をそれぞれ2個ずつまとめるというのは円全体で見ると、12個のおうぎ形を2個ずつまとめていることになります。その結果、円全体ではおうぎ形の個数は12個から$12÷2=6$(個)になり、これは円が6等分されている状態と同じです。
このとき青く塗られているおうぎ形はその中の2個なので、円は分数$\dfrac{2}{6}$を表します。

$\dfrac{4}{12}$を表す円と比較すると青い部分の面積は変わっていないので、$\dfrac{4}{12}$と$\dfrac{2}{6}$が表す数は同じであることがわかります。
2つの分数の関係をおうぎ形をまとめる過程も含めて式で表すと
\[\frac{4}{12}=\frac{4\div2}{12\div2}=\frac{2}{6}\]
となります。この$\dfrac{4}{12}$から同じ大きさの数でより小さい自然数で表される$\dfrac{2}{6}$に直すことを約分といいます。
約分して簡単な分数に直すには、おうぎ形を余らせずにまとめることができる数、すなわち分母と分子の公約数である必要があります。
約分の書き方についてですが、上記のように分母・分子を何で割ったかを明確に書かず、分母・分子に斜線を引き、約分の結果を隣に書き加えるような書き方もあります。
\[\large\frac{\hspace{0.25em}\overset{2}{4}\hspace{-0.75em}\mathbf{/}}{\underset{6}{12}\hspace{-1em}\mathbf{/}}\normalsize=\frac{2}{6}\]
 さらに、$\dfrac{2}{6}$はより簡単な分数に直すことができます。
2/6から1/3への変形
青と白のおうぎ形をそれぞれ2個ずつまとめると、青いおうぎ形2個が$2÷2=1$(個)、白いおうぎ形4個が$4÷2=2$(個)、円全体ではおうぎ形6個が$6÷2=3$(個)になり、これは円が3等分されている状態と同じになります。
したがって、円は3等分されていて、そのうち1個が青いおうぎ形なので分数$\dfrac{1}{3}$を表していることになり
\[\frac{2}{6}=\frac{2\div2}{6\div2}=\frac{1}{3}\]
と書けることがわかります。
また、仮分数を約分したときなどで分母が$1$となった場合、分子をおろして整数となります。
\[\frac{3}{1}=3\]

通分

 逆に円をより細かく分割して、約分と逆の変形を行うこともできます。
1/5から2/10への変形
例えば、$\dfrac{1}{5}$は5等分した円の中のおうぎ形の1つを青く塗ることで表せます。
それぞれのおうぎ形を2等分すると、2等分後のおうぎ形の個数は掛け算で求めることができます。
青いおうぎ形1個が$1×2=2$(個)、円全体ではおうぎ形5個が$5×2=10$(個)となり、これは円が10等分されている状態と同じになります。
したがって、円は10等分されていて、そのうち2個が青いおうぎ形なので分数$\dfrac{2}{10}$を表していることになり、$\dfrac{1}{5}$を表す円と比較して青い部分の面積が変わっていないことから
\[\frac{1}{5}=\frac{1\times2}{5\times2}=\frac{2}{10}\]
と書けることがわかります。
この変形を利用して分母が異なる分数の足し算や引き算、大小比較で分母を揃えること通分といいます。このとき、分母がいずれも整数の場合は各分母の最小公倍数になるように通分します。

例:

\begin{align*}\frac{1}{3}+\frac{1}{4}&=\frac{1\times4}{3\times4}+\frac{1\times4}{4\times3}\\[0.5em]&=\frac{4}{12}+\frac{3}{12}\\[0.5em]&=\frac{7}{12}\end{align*}

 上記の説明だと約分は分母と分子を同じ数で割ること、通分は分母と分子に同じ数を掛けることと勘違いするかもしれませんが、約分の本質はより簡単な分数に直す、通分の本質は分母を揃えるの部分です。
なので、結果的に分母と分子に同じ数を掛けて約分、分母と分子を同じ数で割って通分ができるという場合もあります。

約分:

\begin{align*}\frac{0.2}{0.3}&=\frac{0.2\times10}{0.3\times10}\\[0.5em]&=\frac{2}{3}\end{align*}
$0.2,0.3$がともに10倍すると整数になるということに着目して分母と分子を10倍し、結果的に約分できた例です。
$0.2,0.3$は小数なので、整数に関連する数である約数を考えることができませんが、分母と分子を$0.1$で割ることでも約分できます。

通分:

\begin{align*}\frac{10}{15}-\frac{1}{3}&=\frac{10\div5}{15\div5}-\frac{1}{3}\\[0.5em]&=\frac{2}{3}-\frac{1}{3}\\[0.5em]&=\frac{1}{3}\end{align*}
$\dfrac{10}{15}$を約分したことで分母が$3$で揃い、結果的に通分できた例です。
$\dfrac{1}{3}$の分母と分子に$5$を掛けることでも分母が$15$で揃い、通分できます。

上述の円をもちいた説明で垣間見えますが、分数には分母と分子に同じ数を掛けたり割ったりしても分数の表す数の大きさは変わらないという性質があります。
この性質を利用していることが約分と通分の共通点となります。

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