部分分数分解とは分母に複数の因数が含まれる分数を複数の分数の和に分解する方法のことです。
部分分数分解するときは、問題のような式をつくり分子の値を調べます。
まずはの両辺にを掛けて分母を払います。
は恒等式であるための値を決める方法には係数比較法と数値代入法の2つがあります。
係数比較法
の右辺を展開して整理すると
両辺で係数を比較して
という連立方程式を組むことができます。
さらに左辺が以下のようにできることを考えると
両辺で係数を比較して
より
に代入して
以上より
数値代入法
にを代入すればだけが残るので
を代入すればだけが残るので
ここでは恒等式なのですべての数で成り立ちますが、特定の値だけを代入してを求めています。
なので、が恒等式であること、得られたの値でが成り立つことを確かめるために、に代入して解を吟味します。
が成り立つので
なので、が恒等式であること、得られたの値でが成り立つことを確かめるために、に代入して解を吟味します。
数値代入法で解くとき、恒等式に関する「ある方程式がすべての数で成り立つならば、その方程式はに何らかの値を代入しても成り立つ」という命題の逆「ある方程式にに何らかの値を代入して成り立つならば、その方程式はすべての数でも成り立つ」を利用しています。前者の命題は真ですが、後者は真ではありません。
に何らかの値を代入して得た値はその代入したの値でしか成り立たない可能性(問題の場合はでしか成り立たないを得た可能性)があるため数値代入法では本当に恒等式になるのかの確認が必要になります。
恒等式に代入して吟味しても良いですが、部分分数分解の等式はに代入した値以外で常に成り立つ等式なので、こちらに代入して吟味することもできます。
また、数値代入法にてで分母がになってしまうために代入できないを代入してを求めており、この方法は大丈夫なのか?と思うかもしれません。
たしかに、からへ同値変形すると
となるため、にはを代入できないように見えます。
たしかに、からへ同値変形すると
しかし、というのはと同値であるための条件であって、の恒等式自体はのときでも成立します。なので、恒等式の未知数を求めるときには問題なくを使うことができます。
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