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2022年4月4日

分数式を部分分数分解する方法

(1)1(x+2)(x3)=Ax+2+Bx3
「上の式が成り立つようなA,Bの値を求めよ。」

 部分分数分解とは分母に複数の因数が含まれる分数を複数の分数の和に分解する方法のことです。
部分分数分解するときは、問題のような式をつくり分子の値を調べます。

 まずは(1)の両辺に(x+2)(x3)を掛けて分母を払います。
(2)1=A(x3)+B(x+2)
(2)は恒等式であるためA,Bの値を決める方法には係数比較法と数値代入法の2つがあります。

係数比較法

 (2)の右辺を展開して整理すると
1=(A+B)x3A+2B=(A+B)x+(3A+2B)
さらに左辺が以下のようにできることを考えると
0x+1=(A+B)x+(3A+2B)
両辺で係数を比較して
{A+B=0(a)3A+2B=1(b)
という連立方程式を組むことができます。
(a)×2(b)より
5A=1A=15
(a)に代入して
15+B=0B=15
以上より
A=15,B=15

数値代入法

 (2)x=2を代入すればAだけが残るので
1=5AA=15
x=3を代入すればBだけが残るので
1=5BB=15
ここで(2)は恒等式なのですべての数xで成り立ちますが、特定の値だけを代入してA,Bを求めています。
なので、(2)が恒等式であること、得られたA,Bの値で(1)が成り立つことを確かめるために、(1)に代入して解を吟味します。
15x+2+15x3=15(1x+2+1x3)=15(x3)+(x+2)(x+2)(x3)=155(x+2)(x3)=1(x+2)(x3)
(1)が成り立つので
A=15,B=15
 数値代入法で解くとき、恒等式に関する「ある方程式がすべての数xで成り立つならば、その方程式はxに何らかの値を代入しても成り立つ」という命題の逆「ある方程式にxに何らかの値を代入して成り立つならば、その方程式はすべての数xでも成り立つ」を利用しています。前者の命題は真ですが、後者は真ではありません。

xに何らかの値を代入して得た値はその代入したxの値でしか成り立たない可能性(問題の場合はx=2,3でしか成り立たないA,Bを得た可能性)があるため数値代入法では本当に恒等式になるのかの確認が必要になります。
恒等式に代入して吟味しても良いですが、部分分数分解の等式はxに代入した値以外で常に成り立つ等式なので、こちらに代入して吟味することもできます。


 また、数値代入法にて(1)で分母が0になってしまうために代入できないx=2,3を代入してA,Bを求めており、この方法は大丈夫なのか?と思うかもしれません。
たしかに、(1)から(2)へ同値変形すると
1(x+2)(x3)=Ax+2+Bx3 1=A(x3)+B(x+2) x2,3
となるため、(2)にはx=2,3を代入できないように見えます。

しかし、x2,3というのは(1)と同値であるための条件であって、(2)の恒等式自体はx=2,3のときでも成立します。なので、恒等式の未知数A,Bを求めるときには問題なくx=2,3を使うことができます。


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