「以下の分数式を部分分数分解せよ。ただし、分子の次数は0になるようにすること。
(1)3(x+2)(x−5)3(x+2)(x−5)
(2)2x2−3x+7(x+1)32x2−3x+7(x+1)3
(3)x+4x(x−2)2x+4x(x−2)2」このような問題はどのように解けばよいのでしょうか?
部分分数分解は分母に複数の因数が含まれるとき、それぞれの因数を分母にもつ分数に分解することです。
(1)3(x+2)(x−5)3(x+2)(x−5)
部分分数分解すると、以下の式のようにおけます。
3(x+2)(x−5)=Ax+2+Bx−53(x+2)(x−5)=Ax+2+Bx−5(I)
このように分解できるのは因数同士が互いに素である場合です。
両辺に(x+2)(x−5)(x+2)(x−5)を掛けて分母を払います。
3=A(x−5)+B(x+2)3=A(x−5)+B(x+2)
これは恒等式になるため、A,BA,Bの決定には係数比較法と数値代入法の2通りがありますが、本記事では係数比較法を使って解きます。
右辺を展開して、両辺の係数、定数項がわかるように整理して
(i)(i)よりB=−AB=−A、これを(ii)(ii)に代入して
3=Ax−5A+Bx+2B0x+3=(A+B)x+(−5A+2B)3=Ax−5A+Bx+2B0x+3=(A+B)x+(−5A+2B)
両辺の係数、定数項を比較して
{A+B=0⋯(i)−5A+2B=3⋯(ii)⎧⎨⎩A+B=0⋯(i)−5A+2B=3⋯(ii)
となるから、(i)(i)よりB=−AB=−A、これを(ii)(ii)に代入して
−5A−2A=3−7A=3A=−37−5A−2A=3−7A=3A=−37
したがって、A=−37,B=37A=−37,B=37
これらを(I)(I)に代入して
3(x+2)(x−5)=−37x+2+37x−5=−37(1x+2−1x−5)=37(1x−5−1x+2)3(x+2)(x−5)=−37x+2+37x−5=−37(1x+2−1x−5)=37(1x−5−1x+2)
となります。
(2)2x2−3x+7(x+1)3
同じ因数が複数個ある場合は
2x2−3x+7(x+1)3=Ax+1+Bx+1+Cx+1
とはできません。右辺は
A+B+Cx+1
となるので、左辺と全く違う分数式になってしまいます。互いに素でない因数の場合は(1)のように分解できません。
なので、部分分数分解するには別の方法を考える必要があります。
この場合の分解を2桁以上の数の桁ごとの分解から考えます。
123という数を桁ごとに分解すると
ここで、両辺を103で割ると
123103が分母に10の累乗をもつ3つの分数に分解できていますね?この分母の10の累乗部分をx+1の累乗に置き換えて考えればよいのです。
この場合の分解を2桁以上の数の桁ごとの分解から考えます。
123という数を桁ごとに分解すると
123=1×102+2×10+3
と書けます。ここで、両辺を103で割ると
123103=110+2102+3103
と書くことができます。123103が分母に10の累乗をもつ3つの分数に分解できていますね?この分母の10の累乗部分をx+1の累乗に置き換えて考えればよいのです。
部分分数分解したものは
両辺に(x+1)3を掛けて分母を払うと
2x2−3x+7(x+1)3=Ax+1+B(x+1)2+C(x+1)3
とおけます。両辺に(x+1)3を掛けて分母を払うと
2x2−3x+7=A(x+1)2+B(x+1)+C=(Ax2+2Ax+A)+(Bx+B)+C=Ax2+(2A+B)x+(A+B+C)
となります。
両辺の係数を比較して
{A=2⋯(iii)2A+B=−3⋯(iv)A+B+C=7⋯(v)
となるので、これを解きます。
(iii)を(iv)に代入して
2⋅2+B=−34+B=−3B=−7
これと(iii)を(v)代入して
2−7+C=7−5+C=7C=12
したがって、A=2,B=−7,C=12となるから(II)は
2x2−3x+7(x+1)3=2x+1+−7(x+1)2+12(x+1)3=2x+1−7(x+1)2+12(x+1)3
となります。
(3)x+4x(x−2)2
(1)と(2)の解き方を組み合わせて部分分数分解をおこないます。
以下のように分解することができます。
以下のように分解することができます。
x+4x(x−2)2=Ax+Px+Q(x−2)2=Ax+Bx−2+C(x−2)2
となります。
両辺にx(x−2)2を掛けて分母を払うと
x+4=A(x−2)2+Bx(x−2)+Cx=(Ax2−4Ax+4A)+(Bx2−2Bx)+Cx0x2+x+4=(A+B)x2+(−4A−2B+C)x+4A
両辺の係数を比較して
{A+B=0⋯(vi)−4A−2B+C=1⋯(vii)4A=4⋯(viii)
となるので、これを解きます。
(viii)よりA=1、これを(vi)に代入して
1+B=0B=−1
(vii)に代入して
−4⋅1−2⋅(−1)+C=1−2+C=1C=3
したがって、A=1,B=−1,C=3となるから(III)は
x+4x(x−2)2=1x+−1x−2+3(x−2)2=1x−1x−2+3(x−2)2
となります。
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