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2022年4月23日

座標平面における回転行列

 座標平面上の点$(x,y)$を原点を中心に角度$φ$だけ回転させる回転行列はどのようになるでしょうか?

 $(x,y)$をベクトル成分であると考えるとこのベクトルを原点を中心に$φ$だけ回転させる行列$R$が回転行列となります。

ベクトルとx軸のなす角が$θ$であるとすると極座標の考え方を利用すれば
\[(r\cosθ,r\sinθ)=r(\cosθ,\sinθ)\ (ただしr=\sqrt{x^2+y^2})\]
と書けます。

また、このベクトルは行列で考えれば2次元行ベクトルですが、2次元列ベクトル
\[\left(\begin{array}{r}x\\ y\end{array}\right)=r\left(\begin{array}{r}\cosθ\\ \sinθ\end{array}\right)\]
として考えた場合の回転行列も求めてみます。

行ベクトルに対する回転行列

 行ベクトル$r(\cosθ\ \sinθ)$の回転後の行列は回転前と同じく2次の行ベクトル$r(\cos(θ+φ)\ \sin(θ+φ))$でなければならないので、行列の積のルールに基づくと
\[r(\cosθ\ \sinθ)\left(\begin{array}{rr}a&b\\ c&d\end{array}\right)=r(\cos(θ+φ)\ \sin(θ+φ))\]
となるため、回転行列$R$は2次の正方行列でないと成り立ちません。

$R$を求めるために上の式を計算してみると
\[(a\cosθ+c\sinθ\ b\cosθ+d\sinθ)=(\cos(θ+φ)\ \sin(θ+φ))\]
また、右辺は加法定理を利用して
\begin{align*}&r(a\cosθ+c\sinθ\ b\cosθ+d\sinθ)\\ &=r(\cosθ\cosφ-\sinθ\sinφ\ \sinθ\cosφ+\cosθ\sinφ)\end{align*}
各要素を比較すると
\[\left\{\begin{aligned}a\cosθ+c\sinθ&=\cosθ\cosφ-\sinθ\sinφ\\ \\ b\cosθ+d\sinθ&=\sinθ\cosφ+\cosθ\sinφ\end{aligned}\right.\]
となるので、これを解くと
\[a=\cosφ,\ b=\sinφ,\ c=-\sinφ,\ d=\cosφ\]
なので、求める回転行列$R$は
\[R=\left(\begin{array}{rr}\cosφ&\sinφ\\ -\sinφ&\cosφ\end{array}\right)\]
であるとわかります。

列ベクトルに対する回転行列

 行ベクトルのときと同様に行列の積のルールに基づけば
\[\left(\begin{array}{rr}a&b\\ c&d\end{array}\right)r\left(\begin{array}{r}\cosθ\\ \sinθ\end{array}\right)=r\left(\begin{array}{r}\cos(θ+φ)\\ \sin(θ+φ)\end{array}\right)\]
となるので回転行列$R$は2次の正方行列であることがわかります。

$R$を求めるために上の式を計算してみると
\begin{align*}r\left(\begin{array}{rr}a&b\\ c&d\end{array}\right)\left(\begin{array}{r}\cosθ\\ \sinθ\end{array}\right)&=r\left(\begin{array}{r}\cos(θ+φ)\\ \sin(θ+φ)\end{array}\right)\\ \\ r\left(\begin{array}{r}a\cosθ+b\sinθ\\ c\cosθ+d\sinθ\end{array}\right)&=r\left(\begin{array}{r}\cos(θ+φ)\\ \sin(θ+φ)\end{array}\right)\\ \\ r\left(\begin{array}{r}a\cosθ+b\sinθ\\ c\cosθ+d\sinθ\end{array}\right)&=r\left(\begin{array}{r}\cosθ\cosφ-\sinθ\sinφ\\ \sinθ\cosφ+\cosθ\sinφ\end{array}\right)\end{align*}
各要素を比較すると
\[\left\{\begin{aligned}a\cosθ+b\sinθ&=\cosθ\cosφ-\sinθ\sinφ\\ \\ c\cosθ+d\sinθ&=\sinθ\cosφ+\cosθ\sinφ\end{aligned}\right.\]
となるので、これを解くと
\[a=\cosφ,\ b=-\sinφ,\ c=\sinφ,\ d=\cosφ\]
なので、求める回転行列$R$は
\[R=\left(\begin{array}{rr}\cosφ&-\sinφ\\ \sinφ&\cosφ\end{array}\right)\]
であるとわかります。

関連:行列で掛け算ができるのは?

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