横画面推奨!
モバイル機器の場合、数式が見切れる場合があります。

2022年4月13日

なぜ位置を表す時間の関数x(t)を微分すると速度がわかるのか?

 位置を表す時間の関数$x(t)$はある時点での移動距離を表した関数のことです。
例えば$x(t)=2t$の場合は$t=1[s]$後にはスタート位置から$x(1)=2×1=2[m]$移動している、のようになります。
これを$t$で微分すれば$x'(t)=2[m/s]$となり速度がわかるのですが、なぜ速度が求まるのでしょうか?

 位置を表す時間の関数$x(t)$をもちいると$t=t_1$のとき移動距離は$x(t_1)$、$t=t_2$のとき移動距離は$x(t_2)$となります。

この2点間の平均変化率を求めると
\begin{equation}\frac{x(t_2)-x(t_1)}{t_2-t_1}\end{equation}
となります。
この平均変化率は2点間を通る直線の傾きを表します。
また、分子と分母が何であるかに着目すると、分子は$t_1$から$t_2$の間に移動した距離、分母は$t_1$から$t_2$までの経過時間、すなわち移動距離÷時間であるため、$t_1$から$t_2$の間の平均速度を表すことがわかります。

したがって、上図のx-tグラフにおける傾きは速度を表していることがわかります。


 ここで、$t_1$と$t_2$の時間差を限りなく小さくした場合を考えます。

このときの傾き、すなわち速度は$t=t_1$時点での速度を表すことになります。
これは(1)をもちいれば
\[\lim_{t_2\to t_1}\frac{x(t_2)-x(t_1)}{t_2-t_1}\]
と表せます。

あるいは$t_1$と$t_2$の時間差が$\Delta t$であるとすると$t_2=t_1+\Delta t$と書けることから$t_2\to t_1$は$t_1+\Delta t\to t_1$、すなわち$\Delta t\to0$であるから
\[\lim_{\Delta t\to0}\frac{x(t_1+\Delta t)-x(t_1)}{(t_1+\Delta t)-t_1}=\lim_{\Delta t\to0}\frac{x(t_1+\Delta t)-x(t_1)}{\Delta t}\]
と書けます。
これは$f(x)$を$x$で微分したときの定義式
\[\lim_{h\to0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}\]
と同じ形になります。

したがって、微分の定義式から考えれば$x(t)$を$t$で微分した$x'(t)$は任意の時間における速度を表す関数となることがわかります。

Share:
◎Amazonのアソシエイトとして、当サイト「数学について考えてみる」は適格販売により収入を得ています。
Powered by Blogger.

Blog Archive

PR