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図1 共通接線をもつ隣接する円 |
「60°の角度で交わる2本の直線を接線とする半径1の円O1がある。また、2直線を共通の接線とし円O1に接する円O2、同じく2直線を共通の接線とし円O2に接する円O3…と図1のようにいくつもの円が並んでいる。このとき、
(1) 5番目の円O5の半径を答えよ。
(2) O6からO10までの半径の和を答えよ。」
このような問題はどのように考えればよいでしょうか?
まずは、円O1の中心と2本の接線の交点との距離について考えます。
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図2 △O1PR1 |
2本の接線の交点をP、接線のうちの1本にO1の中心からおろした垂線との交点をR1とします。
すると、円の中心と2本の異なる接線の交点を通る直線は2接線によってできる角の二等分線となるため△O1PR1は∠O1PR1=30°,O1R1=1の直角三角形になります。
この直角三角形の三角比O1P:O1R1=2:1より、O1P=2であるとわかります。
この2辺の長さを利用して円O2の半径の長さを求めます。
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図3 △O2PR2 |
円O2の中心から接線におろした垂線との交点をR2とすると、△O1PR1と△O2PR2は1組の鋭角が等しい直角三角形なので相似の関係にあります。
O2R2=xとするとO2PはO1P=2でO1O2はO1とO2の半径の和なので1+xであるから3+xとなります。
辺の比はO2P:O2R2=2:1なので、
O2P:O2R2=3+x:x=2:12x=3+xx=3
であるから、円O2の半径は3となります。
(1)の解法
O5の半径は、このままO3、O4…と半径を順に求めていけばわかりますが、ここで考え方を変えます。
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図4 相似の関係 |
円O2とO3を縮小してみるとO1とO2に重なる、すなわち相似の関係であることに気づきます。O1の半径が1、O2の半径が3であるから、O3の半径はO2の半径の3倍の9であることがわかります。これは他の隣接する円についても同様で、隣接する円の大きい方の円の半径は小さい方の円の半径の3倍になります。
このことから、隣接する円の半径は初項1、公比3の等比数列になっていることがわかります。
一般項は
an=3n−1
です。
これを利用するとO5の半径はn=5を代入して、
a5=35−1=34=81
であるとわかります。
(2)の解法
円の半径は等比数列であることがわかったので、等比数列の和
n∑k=1ark−1=a(rn−1)r−1(a:初項,r:公比)
を利用します。
O6からO10までの半径の和を求めるには、”O1からO10までの半径の和”から”O1からO5までの半径の和”を引けばよいので、
O1からO10までの半径の和は、n=10を代入して
310−13−1=590482=29524
O1からO5までの半径の和は、n=5を代入して
35−13−1=2422=121
となるので、O6からO10までの半径の和は、
29524−121=29403
となります。
別の解法として、
O1からO5までの半径の和は、
1+3+32+33+34=35−13−1=121
であるから、O6からO10は
35+36+37+38+39=35(1+3+32+33+34)
となるので、
35(1+3+32+33+34)=243×121=29403
のように求めることができます。