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2022年1月10日

2本の直線に挟まれた隣接する円の半径

共通接線をもつ隣接する円
図1 共通接線をもつ隣接する円

「60°の角度で交わる2本の直線を接線とする半径1の円$O_1$がある。また、2直線を共通の接線とし円$O_1$に接する円$O_2$、同じく2直線を共通の接線とし円$O_2$に接する円$O_3$…と図1のようにいくつもの円が並んでいる。このとき、

(1) 5番目の円$O_5$の半径を答えよ。

(2) $O_6$から$O_{10}$までの半径の和を答えよ。」

 このような問題はどのように考えればよいでしょうか?

 まずは、円$O_1$の中心と2本の接線の交点との距離について考えます。
図2 $△O_1 PR_1$

2本の接線の交点を$P$、接線のうちの1本に$O_1$の中心からおろした垂線との交点を$R_1$とします。

すると、円の中心と2本の異なる接線の交点を通る直線は2接線によってできる角の二等分線となるため$△O_1 PR_1$は$\angle O_1 PR_1=30^{\circ},O_1 R_1=1$の直角三角形になります。
この直角三角形の三角比$O_1 P:O_1 R_1=2:1$より、$O_1 P=2$であるとわかります。

 この2辺の長さを利用して円$O_2$の半径の長さを求めます。

図3 $△O_2 PR_2$

円$O_2$の中心から接線におろした垂線との交点を$R_2$とすると、$△O_1 PR_1$と$△O_2 PR_2$は1組の鋭角が等しい直角三角形なので相似の関係にあります。

$O_2 R_2=x$とすると$O_2 P$は$O_1 P=2$で$O_1 O_2$は$O_1$と$O_2$の半径の和なので$1+x$であるから$3+x$となります。
辺の比は$O_2 P:O_2 R_2=2:1$なので、
\begin{align*}O_2 P:O_2 R_2=3+x:x&=2:1\\ 2x&=3+x\\ x&=3\end{align*}
であるから、円$O_2$の半径は3となります。

(1)の解法

 $O_5$の半径は、このまま$O_3$、$O_4$…と半径を順に求めていけばわかりますが、ここで考え方を変えます。
図4 相似の関係

円$O_2$と$O_3$を縮小してみると$O_1$と$O_2$に重なる、すなわち相似の関係であることに気づきます。$O_1$の半径が1、$O_2$の半径が3であるから、$O_3$の半径は$O_2$の半径の3倍の9であることがわかります。これは他の隣接する円についても同様で、隣接する円の大きい方の円の半径は小さい方の円の半径の3倍になります。

このことから、隣接する円の半径は初項1、公比3の等比数列になっていることがわかります。
一般項は
\[a_n=3^{n-1}\]
です。

これを利用すると$O_5$の半径は$n=5$を代入して、

\begin{align*}a_5&=3^{5-1}\\ &=3^4=\mathbf{81}\end{align*}
であるとわかります。

(2)の解法

 円の半径は等比数列であることがわかったので、等比数列の和
\[\sum_{k=1}^n ar^{k-1}=\frac{a(r^n-1)}{r-1}\qquad(a:初項,r:公比)\]
を利用します。

$O_6$から$O_{10}$までの半径の和を求めるには、”$O_1$から$O_{10}$までの半径の和”から”$O_1$から$O_5$までの半径の和”を引けばよいので、

$O_1$から$O_{10}$までの半径の和は、$n=10$を代入して
\begin{align*}\frac{3^{10}-1}{3-1}&=\frac{59048}{2}\\ \\ &=\mathbf{29524}\end{align*}
$O_1$から$O_5$までの半径の和は、$n=5$を代入して
\begin{align*}\frac{3^5 -1}{3-1}&=\frac{242}{2}\\ \\ &=\mathbf{121}\end{align*}
となるので、$O_6$から$O_{10}$までの半径の和は、
\[29524-121=\mathbf{29403}\]
となります。

 別の解法として、
$O_1$から$O_5$までの半径の和は、
\begin{align*}1+3+3^2+3^3+3^4&=\frac{3^5 -1}{3-1}\\ \\ &=\mathbf{121}\end{align*}
であるから、$O_6$から$O_{10}$は
\[3^5+3^6+3^7+3^8+3^9=3^5 (1+3+3^2+3^3+3^4)\]
となるので、
\begin{align*}3^5 (1+3+3^2+3^3+3^4)&=243×121\\ &=\mathbf{29403}\end{align*}
のように求めることができます。
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