横画面推奨!
モバイル機器の場合、数式が見切れる場合があります。

2022年1月2日

循環小数と無限等比級数

 循環小数を等比数列の和で表すとどのようになるでしょうか?


 例として、
\[0.\dot{1}\dot{3}=0.1313131313\cdots\]
という循環小数を等比数列の和で表してみます。
循環小数は、
\[0.\dot{1}\dot{3}=0.13+0.0013+0.000013+\cdots\]
より見やすく書くなら
\begin{align*}0.\dot{1}\dot{3}=&\hspace{1.25em}0.13\\ &+0.0013\\ &+0.000013\\ &+0.00000013\\ &+0.0000000013\\ &+\qquad\vdots\end{align*}
のように分解できます。
各項を分数で表すと、
\[0.\dot{1}\dot{3}=\frac{13}{100}+\frac{13}{10000}+\frac{13}{1000000}+\cdots\]
さらに、分母を10の累乗で表すと
\[0.\dot{1}\dot{3}=\frac{13}{10^2}+\frac{13}{10^4}+\frac{13}{10^6}+\cdots\]
さらにさらに変形すれば
\[0.\dot{1}\dot{3}=\frac{13}{10^2}+\frac{1}{10^2}\cdot\frac{13}{10^2}+\left(\frac{1}{10^2}\right)^2\cdot\frac{13}{10^2}+\cdots\]
となり、各項は初項$\dfrac{13}{10^2}$、公比$\dfrac{1}{10^2}$の等比数列で、循環小数はその和であることがわかります。
 この等比数列の一般項は
\[a_n=\frac{13}{10^2}\left(\frac{1}{10^2}\right)^n\]
であるため、初項から$n$番目の項までの和は、等比数列の和の公式
\begin{align*}\sum_{k=1}^{n}&=\frac{a(1-r^n)}{1-r}&(a:初項,r:公比)\end{align*}
より
\[\frac{\cfrac{13}{10^2}\left\{1-\left(\cfrac{1}{10^2}\right)^n\right\}}{1-\cfrac{1}{10^2}}\]
となります。
 しかしこれは第$n$項で作れる桁(小数点$2n$位)までのもので、本来循環小数は無限小数でもあるので小数点以下の桁は無限に続きます。
なので、極限を使ってより正確な等比数列の和(無限等比級数)を導きます。
\[\lim_{n\to\infty}\frac{\cfrac{13}{10^2}\left\{1-\left(\cfrac{1}{10^2}\right)^n\right\}}{1-\cfrac{1}{10^2}}\]
$n$がついているのは$\left(\frac{1}{10^2}\right)^n$だけです。これは$1$未満のべき乗なので$n$を大きくすれば限りなく$0$に近づきます。したがって、
\[\lim_{n\to\infty}\frac{\cfrac{13}{10^2}\left\{1-\left(\cfrac{1}{10^2}\right)^n\right\}}{1-\cfrac{1}{10^2}}=\frac{\cfrac{13}{10^2}}{1-\cfrac{1}{10^2}}\]
に収束します。
あとは分母と分子に$10^2$を掛けると、
\begin{align*}\frac{\cfrac{13}{10^2}}{1-\cfrac{1}{10^2}}×\frac{10^2}{10^2}&=\frac{13}{10^2 -1}\\[0.5em]&=\frac{13}{100-1}\\[0.5em]=\underline{\frac{13}{99}}\end{align*}
となります。これが循環小数$0.\dot{1}\dot{3}$を分数で表したものになります。

 逆に分数を循環小数にするにはそのまま$13÷99$を計算しても良いですが、
\begin{align*}\frac{13}{99}&=\frac{13}{100-1}\\[0.5em]&=\frac{13}{10^2 -1}×\frac{\cfrac{1}{10^2}}{\cfrac{1}{10^2}}\\[0.5em]&=\frac{\cfrac{13}{10^2}}{1-\cfrac{1}{10^2}}\end{align*}
と変形した後、平方根を含む分数の有理化のように分母と分子に$1+\dfrac{1}{10^2}$を掛けると
\[\frac{\cfrac{13}{10^2}\left(1+\cfrac{1}{10^2}\right)}{\left(1-\cfrac{1}{10^2}\right)\left(1+\cfrac{1}{10^2}\right)}=\frac{\cfrac{13}{10^2}\left(1+\cfrac{1}{10^2}\right)}{1-\cfrac{1}{10^4}}\]
分母が$1-\dfrac{1}{10^4}$になったので、次は分母と分子に$1+\dfrac{1}{10^4}$を掛けて
\[\frac{\cfrac{13}{10^2}\left(1+\cfrac{1}{10^2}\right)\left(1+\cfrac{1}{10^4}\right)}{\left(1-\cfrac{1}{10^4}\right)\left(1+\cfrac{1}{10^4}\right)}=\frac{\cfrac{13}{10^2}\left(1+\cfrac{1}{10^2}\right)\left(1+\cfrac{1}{10^4}\right)}{1-\cfrac{1}{10^8}}\]
次は分母と分子に$1+\dfrac{1}{10^8}$を掛けて
\[\frac{\cfrac{13}{10^2}\left(1+\cfrac{1}{10^2}\right)\left(1+\cfrac{1}{10^4}\right)\left(1+\cfrac{1}{10^8}\right)}{1-\cfrac{1}{10^{16}}}\]
この計算を続けていくと分母は$1$に近づいていくので
\[\frac{\cfrac{13}{10^2}}{1-\cfrac{1}{10^2}}≒\frac{13}{10^2}\left(1+\frac{1}{10^2}\right)\left(1+\frac{1}{10^4}\right)\left(1+\frac{1}{10^8}\right)\left(1+\frac{1}{10^{16}}\right)\cdots\]
となります。
これを展開すると
\begin{align*}&\frac{13}{10^2}\left(1+\frac{1}{10^2}+\frac{1}{10^4}+\frac{1}{10^6}+\frac{1}{10^8}+\frac{1}{10^{10}}+\cdots\right)\\[0.5em]&=\frac{13}{10^2}+\frac{13}{10^4}+\frac{13}{10^6}+\frac{13}{10^8}+\frac{13}{10^{10}}+\cdots\\[0.5em]&=0.13+0.0013+0.000013+0.00000013+0.0000000013+\cdots\\ &=0.1313131313\cdots\\[0.5em]=0.\dot{1}\dot{3}\end{align*}
となり、循環小数にすることができます。

Share:
◎Amazonのアソシエイトとして、当サイト「数学について考えてみる」は適格販売により収入を得ています。
Powered by Blogger.

Blog Archive

PR

ブログランキング・にほんブログ村へ