上図のように
△ABCに
∠Aの二等分線
APを引くと
BP:PC=AB:ACという関係が成り立ちます。
ここで∠Aの二等分線APの長さについて考えてみるとどのような関係が見えるのでしょうか?
△ABCに
∠Aの二等分線
APを引き、
∠BAP=∠PAC=θとします。
△ABPにおいて余弦定理より
BP2=AB2+AP2−2AB⋅APcosθ
が成り立ちます。これを
cosθについて解くと
2AB⋅APcosθ=AB2+AP2−BP2cosθ=AB2+AP2−BP22AB⋅AP(1)
となります。
△ACPにおいて余弦定理より
CP2=AC2+AP2−2AC⋅APcosθ
が成り立ちます。これをcosθについて解くと
2AC⋅APcosθ=AC2+AP2−CP2cosθ=AC2+AP2−CP22AC⋅AP(2)
となります。
(1),(2)より
\frac{\text{AB}^2+\text{AP}^2-\text{BP}^2}{2\text{AB}\cdot \text{AP}}&=\frac{\text{AC}^2+\text{AP}^2-\text{CP}^2}{2\text{AC}\cdot
\text{AP}}
両辺に
2AB⋅AC⋅APを掛けて
AC(AB2+AP2−BP2)=AB(AC2+AP2−CP2)
展開して整理すると
(\text{AB-AC})\text{AP}^2&=(\text{AB-AC})\text{AB}\cdot \text{AC-AC}\cdot \text{BP}^2+\text{AB}\cdot \text{CP}^2
ここで角の二等分線と比の性質
BP:PC=AB:ACより
PC⋅AB=BP⋅AC
が成り立つので代入すると
(AB-AC)AP2=(AB-AC)AB⋅AC-AB⋅BP⋅CP+AC⋅BP⋅CP=(AB-AC)AP2=(AB-AC)AB⋅AC-(AB-AC)BP⋅CP
両辺を
AB-ACで割ると(ただし
AB-AC≠0)
AP2=AB⋅AC-BP⋅CP(*)
となり、三角形の内角の二等分線の長さと3辺の長さとの間には上式のような関係が成り立つことがわかります。
この式の両辺の正の平方根をとれば
AP=√AB⋅AC-BP⋅CP
となり、三角形の内角の二等分線の長さを求められるようになります。
AB=ACのとき、すなわち△ABCが二等辺三角形のときは∠Aの二等分線はBCの垂直二等分線でもあるので、BP=CPとなります。
すると
AB=AC=s,BP=CP=tとすれば
△ABPでも
△ACPでも三平方の定理より
AP2=s2−t2
が成り立ちます。これは
(∗)に
AB=AC=s,BP=CP=tを代入した場合のものと同一の式です。
したがって、AB, ACの長さに関わらず常に(∗)の式が成り立つことがわかります。
スチュワートの定理を利用することでも同じ式を導くことができます。