「$△\text{ABC}$の$\text{AB}=a, \text{AC}=b$として、$∠\text{A}$の二等分線と辺$\text{BC}$との交点$\text{P}$は、辺$\text{BC}$を$a:b$に内分する。
また、$\text{AB}≠\text{AC}$である$△\text{ABC}$の$∠\text{A}$の外角の二等分線と辺$\text{BC}$の延長線との交点$\text{Q}$は、辺$\text{BC}$を$a:b$に外分する。」
という性質があります。
また、$\text{AB}≠\text{AC}$である$△\text{ABC}$の$∠\text{A}$の外角の二等分線と辺$\text{BC}$の延長線との交点$\text{Q}$は、辺$\text{BC}$を$a:b$に外分する。」
という性質があります。
本当にこれが成立するのかを証明してみます。
内角の二等分線
$△\text{ABC}$の$∠\text{A}$の二等分線と辺$\text{BC}$との交点を$\text{P}$とし、点$\text{B, C}$から半直線$\text{AP}$へ垂線を引き、それぞれの交点を$\text{S, T}$とします。また、$\text{AB}=a, \text{AC}=b$とします。
$△\text{ABS}$と$△\text{ACT}$について考えます。
$\text{AS}$は$∠\text{A}$の二等分線なので$∠\text{BAS}=∠\text{CAT}$です。
$\text{BS, CT}$は$\text{AS}$に対する垂線なので、
$\text{AS}$は$∠\text{A}$の二等分線なので$∠\text{BAS}=∠\text{CAT}$です。
$\text{BS, CT}$は$\text{AS}$に対する垂線なので、
\begin{equation}∠\text{ASB}=∠\text{ATC}=90°\end{equation}
2組の角がそれぞれ等しいため$△\text{ABS}$と$△\text{ACT}$は相似で、その比は$a:b$であることがわかります。
したがって、
\begin{equation}\text{BS}:\text{CT}=a:b\end{equation}
であることがわかります。
次に$△\text{BSP}$と$△\text{CTP}$について考えます。
$(1)$より、$∠\text{BSP}=∠\text{CTP}=90°$です。
対頂角なので、$∠\text{BPS}=∠\text{CPT}$です。
2組の角がそれぞれ等しいため$△\text{BSP}$と$△\text{CTP}$は相似で、$(2)$より相似比は$a:b$であることがわかります。
$(1)$より、$∠\text{BSP}=∠\text{CTP}=90°$です。
対頂角なので、$∠\text{BPS}=∠\text{CPT}$です。
2組の角がそれぞれ等しいため$△\text{BSP}$と$△\text{CTP}$は相似で、$(2)$より相似比は$a:b$であることがわかります。
したがって、
\begin{equation}\text{BP}:\text{CP}=a:b\end{equation}
$(3)$より、$∠\text{A}$の二等分線と辺$\text{BC}$との交点$\text{P}$は、辺$\text{BC}$を$a:b$に内分することがわかります。
外角の二等分線
$△\text{ABC}$の$∠\text{A}$の外角の二等分線と辺$\text{BC}$の延長線との交点を$\text{Q}$とし、半直線$\text{QA}$に対し、点$\text{B, C}$から垂線を引きそれぞれの交点を$\text{S, T}$とします。また、$\text{AB}=a, \text{AC}=b$とします。
$△\text{ABS}$と$△\text{ACT}$について考えます。
$\text{BS, CT}$は$\text{QS}$に対する垂線であるので、
$\text{BA}$の延長線上に点$\text{U}$をおくと
2組の角がそれぞれ等しいため$△\text{ABS}$と$△\text{ACT}$は相似で、その比は$a:b$であることがわかります。
$\text{BS, CT}$は$\text{QS}$に対する垂線であるので、
\begin{equation}∠\text{BSA}=∠\text{CTA}=90°\end{equation}
ここで、$\text{AQ}$は$∠\text{A}$の外角の二等分線なので、$\text{BA}$の延長線上に点$\text{U}$をおくと
\begin{equation}∠\text{CAQ}=∠\text{UAQ}\end{equation}
対頂角なので、
\begin{equation}∠\text{BAS}=∠\text{UAQ}\end{equation}
$(5), (6)$より、$∠\text{BAS}=∠\text{CAT}$です。2組の角がそれぞれ等しいため$△\text{ABS}$と$△\text{ACT}$は相似で、その比は$a:b$であることがわかります。
したがって、
\begin{equation}\text{BS}:\text{CT}=a:b\end{equation}
であることがわかります。
次に$△\text{QBS}$と$△\text{QCT}$について考えます。
$(4)$より、$∠\text{QSB}=∠\text{QTC}=90°$です。
共通の角なので$∠\text{BQS}=∠\text{CQT}$です。
2組の角がそれぞれ等しいため$△\text{QBS}$と$△\text{QCT}$は相似で、$(7)$より相似比は$a:b$であることがわかります。
$(4)$より、$∠\text{QSB}=∠\text{QTC}=90°$です。
共通の角なので$∠\text{BQS}=∠\text{CQT}$です。
2組の角がそれぞれ等しいため$△\text{QBS}$と$△\text{QCT}$は相似で、$(7)$より相似比は$a:b$であることがわかります。
したがって、
\begin{equation}\text{BQ}:\text{CQ}=a:b\end{equation}
$(8)$より、$∠\text{A}$の外角の二等分線と辺$\text{BC}$の延長線との交点$\text{Q}$は、辺$\text{BC}$を$a:b$に外分することがわかります。
また、$\text{AB}≠\text{AC}$という条件がつく理由は以下のようになります。
二等辺三角形なので$∠\text{ABC}=∠\text{ACB}$です。
$∠\text{A}$の外角の大きさは$∠\text{ABC}+∠\text{ACB}=2∠\text{ACB}$です。
$∠\text{QAC}$は$∠\text{A}$の外角の半角であることと外角の定理より
\[∠\text{QAC}=\frac{1}{2}× 2∠\text{ACB}=∠\text{ACB}\]
$∠\text{QAC}$と$∠\text{ACB}$は錯角なので、$\text{AQ}//\text{BC}$となります。
$\text{AQ}//\text{BC}$より、$∠\text{A}$の外角と辺$\text{BC}$の延長線は交わらず、$\text{BC}$を外分する点は存在しません。
以上より、角の二等分線と比の関係について証明することができました。
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