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2024年1月5日

円に内接する四角形の面積は?(余弦定理・トレミーの定理)

「$AB=BC=6,$$BD=8,$$∠ABC=90°$である円に内接する四角形$ABCD$がある。四角形$ABCD$の面積を求めよ。」


円に内接する四角形ABCDの面積は?
 問題の条件に沿うような四角形$ABCD$を考えてみると上図のようになります。この四角形$ABCD$の面積を2通りの方法で求めてみます。

1. 余弦定理を利用する方法

△ABDと△BCD
 四角形$ABCD$の対角線$AC$を引くと、$AB=BC=6,$$∠ABC=90°$である直角二等辺三角形$ABC$ができます。したがって、$∠ACB=∠BAC=45°$です。
また、円周角の定理より$∠ACB=∠ADB,$$∠BAC=∠BDC$なので、$∠ADB=∠BDC=45°$であることがわかります。
 $△ABD$と$△BCD$に着目すると、長さが$6,8$の辺をもち、長さ$6$の辺の対角が$45°$であることが共通しています。
辺aの対辺θとその隣接辺bによりできる三角形
ところで、長さが$a,b$の辺をもち、長さ$a$の辺の対角が$θ$である三角形は最大で2個存在します。できる三角形が直角三角形でない場合、上図のように残る1辺の長さには2通りの可能性があるためです。
この2通りの辺の長さは$a,b,θ$をもちいて余弦定理より求めたとき、2次方程式の異なる正の解として現れます。
そこで長さが$6,8$の辺をもち、長さ$6$の辺の対角が$45°$である三角形の残る1辺の長さを$x$として余弦定理から求めると
\begin{align*}6^2&=x^2+8^2-2\cdot8x\cdot\cos45°\\[0.5em]36&=x^2+64-16x\cdot\frac{\sqrt{2}}{2}\\[0.5em]x^2-8\sqrt{2}x+28&=0\\[0.5em]x&=4\sqrt{2}\pm\sqrt{\bigl(-4\sqrt{2}\bigr)^2-28}\\[0.5em]&=4\sqrt{2}\pm2\end{align*}
となり、これらが$△ABD,△BCD$それぞれにある長さ不明の辺$AD,CD$の長さとなります。問題の図の場合は、短い方の辺$AD$の長さが$4\sqrt{2}-2$、長い方の辺$CD$の長さが$4\sqrt{2}+2$となります。
四角形ABCDの4辺の長さのもう1つの場合
(問題の図では$AD<CD$としていますが、上図のように$AD>CD$でも問題の条件を満たします。すなわち$AD=4\sqrt{2}+2,CD=4\sqrt{2}-2$の場合もあります。)
 四角形$ABCD$の面積は$△ABC$と$△ACD$の面積の和でもあります。
△ABCと△ACDの面積を求める
$△ABC,△ACD$はともに直角三角形なので
\begin{align*}\triangle ABC&=\frac{1}{2}AB\cdot BC\\[0.5em]&=\frac{1}{2}\cdot6^2\\[0.5em]&=18\\[1em]\triangle ACD&=\frac{1}{2}AD\cdot CD\\[0.5em]&=\frac{1}{2}(4\sqrt{2}-2)(4\sqrt{2}+2)\\[0.5em]&=14\end{align*}
したがって、四角形$ABCD$の面積は
\begin{align*}\square ABCD&=\triangle ABC+\triangle ACD\\[0.5em]&=18+14\\[0.5em]&=32\end{align*}
と求められます。
もちろんブラーマグプタの公式から求めることもできます。
\begin{align*}s&=\frac{AB+BC+CD+AD}{2}\\[0.5em]&=\frac{6+6+(4\sqrt{2}+2)+(4\sqrt{2}-2)}{2}\\[0.5em]&=6+4\sqrt{2}\\[1em]\square ABCD&=\sqrt{(s-AB)(s-BC)(s-CD)(s-AD)}\\[0.5em]&=\sqrt{4\sqrt{2}\cdot4\sqrt{2}\cdot8\cdot4}\\[0.5em]&=32\end{align*}

2. トレミーの定理を利用する方法

 四角形$ABCD$の面積を$△ABC$と$△ACD$の面積の和から求めるのは$1.$と共通ですが、$△ACD$の面積をトレミーの定理を利用して求めます。

四角形ABCDの2辺と対角線の長さ
 四角形$ABCD$の対角線$AC$を引くと、$AB=BC=6,$$∠ABC=90°$である直角二等辺三角形$ABC$ができます。
すると、タレスの定理の逆より辺$AC$は直角三角形$ABC$の外接円の直径であることがわかります。これはすなわち四角形$ABCD$の外接円の直径であるということです。
その長さは直角二等辺三角形の3辺の比より$AC=6\sqrt{2}$であることがわかります。
さらにタレスの定理より$∠ADC$は直径$AC$の円周角なので$∠ADC=90°$であり、$△ACD$が直角三角形であることがわかります。
ゆえに$△ACD$において三平方の定理
\begin{align*}AC^2&=AD^2+CD^2\\[0.5em]AD^2+CD^2&=72\tag1\end{align*}
が成り立ち、面積が
\[\triangle ACD=\frac{1}{2}AD\cdot CD\tag2\]
で求められます。
トレミーの定理より
\begin{align*}AB\cdot CD+AD\cdot BC&=AC\cdot BD\\[0.5em]6CD+6AD&=6\sqrt{2}\cdot8\\[0.5em]AD+CD&=8\sqrt{2}\end{align*}
これの両辺を2乗すると
\begin{align*}(AD+CD)^2&=\bigl(8\sqrt{2}\bigr)^2\\[0.5em]AD^2+2AD\cdot CD+CD^2&=128\\[0.5em]\bigl(AD^2+CD^2\bigr)+2\cdot2\left(\frac{1}{2}AD\cdot CD\right)&=128\end{align*}
$(1),(2)$より
\begin{align*}72+2\cdot2\triangle ACD&=128\\[0.5em]4\triangle ACD&=56\\[0.5em]\trianlge ACD&=14\end{align*}
と求められます。
 $△ABC$の面積は
\begin{align*}\triangle ABC&=\frac{1}{2}AB\cdot BC\\[0.5em]&=\frac{1}{2}\cdot6^2\\[0.5em]&=18\end{align*}
なので、四角形$ABCD$の面積は
\begin{align*}\square ABCD&=\triangle ABC+\triangle ACD\\[0.5em]&=18+14\\[0.5em]&=32\end{align*}
であることがわかります。

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