\[\large|5-2x|+3=2x-2\]
「上の方程式を解け。」
絶対値記号は
\begin{align*}a<0のとき&\\ |a|&=-a\\[1em]a\geqq0のとき&\\
|a|&=a\end{align*}
というように外します。
したがって、絶対値記号の中の$5-2x$の正負によって場合分けされます。
$5-2x<0$のとき
すなわち$x>\dfrac{5}{2}$のとき
\[-(5-2x)+3&=2x-2\]
となります。これを整理すると
\begin{align*}-5+2x+3&=2x-2\\[0.5em]2x-2&=2x-2\\[0.5em]0&=0\end{align*}
これは$x$の値に関わらず常に成り立つ等式、すなわち恒等式なのでこれを満たす$x$はすべての実数です。
しかし、$x>\dfrac{5}{2}$の範囲で考えているので「$x>\dfrac{5}{2}$かつ$x$はすべての実数」を満たす$x$がこの場合における解です。
したがって、$x>\dfrac{5}{2}$とすべての実数の共通部分である$x>\dfrac{5}{2}$が解となります。
$5-2x\geqq0$のとき
すなわち$x\leqq\dfrac{5}{2}$のとき
\[(5-2x)+3=2x-2\]
となります。これを整理すると
\begin{align*}-2x+8&=2x-2\\[0.5em]4x&=10\\[0.5em]x&=\frac{5}{2}\end{align*}
となります。
$x>\dfrac{5}{2}$のときと同様にこれは$x\leqq\dfrac{5}{2}$の範囲で考えているので「$x\leqq\dfrac{5}{2}$かつ$x=\dfrac{5}{2}$」を満たす$x$がこの場合における解です。
したがって、$x\leqq\dfrac{5}{2}$と$x=\dfrac{5}{2}$の共通部分である$x=\dfrac{5}{2}$が解となります。
以上より$|5-2x|+3=2x-2$の解は「$x>\dfrac{5}{2}$または$x=\dfrac{5}{2}$」、すなわち$x\geqq\dfrac{5}{2}$となります。
上の方程式のように方程式を満たす変数の値が複数あり、かつそれらが連続なまとまりをもつとき解は等式ではなく、不等式となります。
また、方程式を満たさない実数値が存在しないときのすべての実数、方程式を満たす値が存在しないときの解なしも等式をもちいない方程式の解の例です。
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