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2024年1月23日

内分と外分

 内分と外分はどちらも線分を2つの線分に分割することですが、どのようにして分割するかが異なります。


内分

 内分とは線分を線分上の点で2つの線分に分割することです。内分する点のことを内分点、内分してできる2つの線分の長さの比を内分比といいます。
内分点P
線分$AB$を$m:n$に内分する点$P$について考えると、内分点は点$P$、内分比は$m:n$、内分によってできる2つの線分とは線分$AP,BP$のこととなります。
線分$AP$はある長さを基準としてその長さの$m$倍の長さをもちます。
線分$BP$は基準となる長さの$n$倍の長さをもちます。
線分$AB$の長さは線分$AP$と$BP$の長さの和なので、基準となる長さの$m+n$倍の長さとなります。
したがって、線分$AB$と$AP$の長さの比は$(m+n):m$となるので線分$AP$の長さは
\begin{align*}AB:AP&=(m+n):m\\[0.5em](m+n)AP&=mAB\\[0.5em]AP&=\frac{m}{m+n}AB\end{align*}
と線分$AB$の長さをもちいて表せます。
また、線分$AB$と$BP$の長さの比は$(m+n):n$となるので線分$BP$の長さは
\begin{align*}AB:BP&=(m+n):n\\[0.5em](m+n)BP&=nAB\\[0.5em]BP&=\frac{n}{m+n}AB\end{align*}
と線分$AB$の長さをもちいて表せます。
内分比1:1の点Pは中点
特に$m=n$のとき、すなわち$1:1$に内分するときの内分点を中点といいます。

外分

 外分とは、線分をその延長上の点で2つの線分に分割することです。外分する点のことを外分点、外分してできる2つの線分の長さの比を外分比といいます。
外分点Q
線分$AB$を$m:n$に外分する点$Q$について考えると、外分点は点$Q$、外分比は$m:n$、外分によってできる2つの線分とは線分$AQ,BQ$のこととなります。
外分点$Q$のある位置は$m,n$の大小関係によって異なります。

$m>n$の場合

外分比m:nの外分点(m>nのとき)
 $m>n$の場合、点$Q$は線分$AB$の点$B$のほうの延長上にあります。
内分と同様、線分$AQ$は基準となる長さの$m$倍の長さ、線分$BQ$は基準となる長さの$n$倍の長さをもち、$m>n$より$AQ>BQ$なのでこれを満たすような点$Q$の位置は上記の位置に限られます。
線分$AB$の長さは線分$AQ$の長さから線分$BQ$の長さを差し引いたものなので、基準となる長さの$m-n$倍の長さとなります。
したがって、線分$AB$と$AQ$の長さの比は$(m-n):m$となるので線分$AQ$の長さは
\begin{align*}AB:AQ&=(m-n):m\\[0.5em](m-n)AQ&=mAB\\[0.5em]AQ&=\frac{m}{m-n}AB\end{align*}
と線分$AB$の長さをもちいて表せます。
また、線分$AB$と$BQ$の長さの比は$(m-n):n$となるので線分$BQ$の長さは
\begin{align*}AB:BQ&=(m-n):n\\[0.5em](m-n)BQ&=nAB\\[0.5em]BQ&=\frac{n}{m-n}AB\end{align*}
と線分$AB$の長さをもちいて表せます。

$m<n$の場合

外分比m:nの外分点(m<nのとき)
 $m<n$の場合、点$Q$は線分$AB$の点$A$のほうの延長上にあります。
内分と同様、線分$AQ$は基準となる長さの$m$倍の長さ、線分$BQ$は基準となる長さの$n$倍の長さをもち、$m<n$より$AQ<BQ$なのでこれを満たすような点$Q$の位置は上記の位置に限られます。
線分$AB$の長さは線分$BQ$の長さから線分$AQ$の長さを差し引いたものなので、基準となる長さの$n-m$倍の長さとなります。
したがって、線分$AB$と$AQ$の長さの比は$(n-m):m$となるので線分$AQ$の長さは
\begin{align*}AB:AQ&=(n-m):m\\[0.5em](n-m)AQ&=mAB\\[0.5em]AQ&=\frac{m}{n-m}AB\end{align*}
と線分$AB$の長さをもちいて表せます。
また、線分$AB$と$BQ$の長さの比は$(n-m):n$となるので線分$BQ$の長さは
\begin{align*}AB:BQ&=(n-m):n\\[0.5em](n-m)BQ&=nAB\\[0.5em]BQ&=\frac{n}{n-m}AB\end{align*}
と線分$AB$の長さをもちいて表せます。

外分において$m=n$となる、すなわち外分比が$1:1$になることはありません。$AQ:BQ=1:1$となるのは点$Q$が点$A,B$それぞれからの距離が等しい位置にあるということですが、点$A,B$それぞれからの距離が等しい点であるのは線分$AB$の垂直二等分線上の点のみで、さらに直線$AB$上の点に限定すれば線分$AB$の中点しか当てはまらないためです。

 $m>n$のときと$m<n$のときで線分$AQ,BQ$の長さを表す式の分母の$m$と$n$が入れ替わっていますが、分母を$|m-n|$とする、すなわち
\begin{equation}\begin{aligned}AQ&=\frac{m}{|m-n|}AB\\[1em]BQ&=\frac{n}{|m-n|}AB\end{aligned}\end{equation}
とすれば$m,n$の大小関係に関わらずに各線分の長さを表すことができます。

 さらに線分$AB$の延長部分の線分に対応する比の数の正負を反転させることにすれば、内分外分問わず
\begin{equation}\begin{aligned}AP(\text{or}\ AQ)&=\left|\frac{m}{m+n}\right|AB\\[1em]BQ(\text{or}\ BQ)&=\left|\frac{n}{m+n}\right|AB\end{aligned}\end{equation}
で各線分の長さを表すことができます。
内分の場合は線分$AB$の延長部分の線分は存在しないので$m,n$のいずれも負の数にならず、そのまま絶対値記号が外れます。
線分ABを2:3に外分する点Q
外分の場合、例えば線分$AB$を$2:3$に外分する点$Q$を考えると、
$(1)$より各線分の長さは
\begin{align*}AQ&=\frac{2}{|2-3|}AB\\[0.5em]&=2AB\\[1em]BQ&=\frac{3}{|2-3|}AB\\[0.5em]&=3AB\end{align*}
と求められます。
線分$AB$の延長部分の線分は$AQ$なので、これに対応する比の数$2$を正負を反転させた$-2$にすると$(2)$より
\begin{align*}AQ&=\left|\frac{-2}{(-2)+3}\right|AB\\[0.5em]&=2AB\\[1em]BQ&=\left|\frac{3}{(-2)+3}\right|AB\\[0.5em]&=3AB\end{align*}
となり、$(1)$と同じ結果を得ます。

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