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2021年10月10日

円に内接・外接する正五角形の周の長さと円周率の関係

 円に内接・外接する正五角形の周の長さを求めて、円周率との関係を調べてみます。


円に内接する正五角形

半径1の円に内接する正五角形
 半径$1$の円に内接する正五角形を考えます。円周の長さは$2\pi$です。
円の中心と正五角形の頂点を線で結ぶと5つの合同な二等辺三角形ができます。
二等辺三角形の等辺の長さは$1$で、頂角は$72°$です。
底辺の長さを$l_{5i}$として、余弦定理をもちいて求めると
\begin{align*}{l_{5i}}^2&=1^2+1^2-2\cdot 1\cdot 1\cdot\cos72°\\[0.5em]&=2-2\cos72°\end{align*}
$\sin72°,\cos72°,\tan72°$はどんな数?」より$\cos72°=\dfrac{\sqrt{5}-1}{4}$であるから
\begin{align*}{l_{5i}}^2&=2-2\cdot\frac{\sqrt{5}-1}{4}\\[0.5em]&=2-\frac{\sqrt{5}-1}{2}\\[0.5em]&=\frac{5-\sqrt{5}}{2}\\[1em]l_{5i}&=\sqrt{\frac{5-\sqrt{5}}{2}}&(\because l_{5i}>0)\\[0.5em]&=\frac{\sqrt{10-2\sqrt{5}}}{2}\end{align*}
$l_{5i}$は正五角形の1辺の長さでもあるので、正五角形の周の長さ$L_{5i}$は
\begin{align*}L_{5i}&=5l_{5i}\\[0.5em]&=5\cdot\frac{\sqrt{10-2\sqrt{5}}}{2}\\[0.5em]&=\frac{5\sqrt{10-2\sqrt{5}}}{2}\end{align*}
円に内接する正五角形の周の長さは円周より短いので
\begin{align*}2\pi&>\frac{5\sqrt{10-2\sqrt{5}}}{2}\\[0.5em]\pi&>\frac{5\sqrt{10-2\sqrt{5}}}{4}≒2.94\end{align*}
となります。すなわち、円周率$\pi$は$\dfrac{5\sqrt{10-2\sqrt{5}}}{4}$(およそ$2.94$)より大きいことがわかります。

円に外接する正五角形

半径1の円に外接する正五角形
 半径$1$の円に外接する正五角形を考えます。円周は$2\pi$です。
円の中心と正五角形の頂点を線で結ぶと5つの合同な二等辺三角形ができます。
二等辺三角形の頂角の大きさは$72°$、高さは$1$です。
底辺の長さを$l_{5o}$とし、これを求めます。
底辺の垂直二等分線で二等辺三角形を分割した直角三角形を考えると、これは$36°-54°-90°$の直角三角形となります。斜辺以外の辺の長さが$\frac{l_{5o}}{2}$と$1$なので、$36°$の内角に着目すると三角比より
\begin{align*}\tan36°&=\frac{\frac{l_{5o}}{2}}{1}\\[0.5em]&=\frac{l_{5o}}{2}\\[1em]\therefore l_{5o}&=2\tan36°\end{align*}
となります。
$\sin36°$がどんな数になるかを求めてみよう」より$\tan36°=\sqrt{5-2\sqrt{5}}$ なので
\[l_{5o}=2\sqrt{5-2\sqrt{5}}\]
$l_{5o}$は正五角形の1辺の長さでもあるので、正五角形の周の長さ$L_{5o}$は
\begin{align*}L_{5o}&=5l_{5o}\\[0.5em]&=5\cdot2\sqrt{5-2\sqrt{5}}\\[0.5em]&=10\sqrt{5-2\sqrt{5}}\end{align*}
となります。
円に外接する正五角形の周の長さは円周より長いので
\begin{align*}2\pi&<10\sqrt{5-2\sqrt{5}}\\[0.5em]\pi&<5\sqrt{5-2\sqrt{5}}≒3.63\end{align*}
となります。すなわち、円周率$\pi$は$5\sqrt{5-2\sqrt{5}}$(およそ$3.63$)より小さいことがわかります。

 以上より、円周と円に内接・外接する正五角形の周の長さを比較することで円周率$\pi$の取りうる値の範囲を調べると$\dfrac{5\sqrt{10-2\sqrt{5}}}{4}<\pi<5\sqrt{5-2\sqrt{5}}$(およそ$2.94<\pi<3.63$)となることがわかります。
(2024/6)内容を修正しました。
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