例えば$x^2+x-2=0$の解を$x=-2,1$のように書きますが、$-2$と$1$の間にある「,(カンマ)」には「または」と「かつ」のどちらの意味があるでしょうか?
「または」という意味があるとすると$x=-2$または$x=1$と書くことができます。
この意味は$x^2+x-2=0$を満たすときは$x$の値が$-2$か$1$のどちらかであるとき、です。
$x^2+x-2$を因数分解すると$(x+2)(x-1)$となります。すると例の2次方程式は$(x+2)(x-1)=0$となることを考えれば、$x+2=0$または$x-1=0$のとき2次方程式が成立することがわかります。したがってそれぞれ$x$について解けば2次方程式が成立する$x$の値は$-2$か$1$のどちらかであるときとなるので、特に問題はありません。
関連:2次方程式を解く(1)
一方「かつ」という意味があるとすると$x=-2$かつ$x=1$と書くことができます。
この意味は$x^2+x-2=0$を満たすときは$x$の値が$-2$であり同時に$1$でもあるとき、です。
これはつまり$x=-2=1$とも書けるということです。しかし、$-2\neq1$であることは明らかなので「かつ」という意味の場合は正しくないことがわかります。
以上のことから複数の解を挙げるときのカンマの意味として適しているのは「または」であるということができます。
ただし、注意したいのは$x$が同時に2つの値を持つことができないために「または」の意味になるということです。
例えば$x+y-5=0$の解の1つ$x=2,y=3$のように複数の文字がそれぞれ異なる値を同時に持つことが可能な場合は「かつ」の意味を持つこともあります。
ここまで「かつ」の意味か「または」の意味かで考えてきましたが、カンマは並列の意味でもよく使用されます。
並列とは「カバンの中にあるのは手帳『と』スマホ」の『と』のように複数のものを並べあげることです。
上の例であれば「$x^2+x-2=0$を満たす$x$の値は$-2$と$1$」のように「または」という捉え方ではなく、方程式の解として同等のものを挙げていると捉えることもできます。
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