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2022年5月27日

1階線形微分方程式の解の公式

 1階線形微分方程式$y'+P(x)y=Q(x)$の一般解は
\[y=e^{-\int P(x)dx}\left\{\int Q(x)e^{\int P(x)dx}+C\right\}\]
となりますが、なぜなのでしょうか?

定数係数1階線形微分方程式

 まずは簡単な例として定数関数$P(x)=a$の場合を考えると
\[y'+ay=Q(x)\]
となります。
ここで、両辺に$e^{ax}$を掛けると
\[e^{ax}y'+ae^{ax}y=Q(x)e^{ax}\]
となり、左辺が積の微分
\begin{align*}\{e^{ax}y\}'&=e^{ax}y'+\{e^{ax}\}'y\\[0.5em]&=e^{ax}y'+ae^{ax}y\end{align*}
となっているので
\[\{e^{ax}y\}'=Q(x)e^{ax}\]
と考えることができ、変数分離形なのでこれを解くと
\begin{align*}e^{ax}y&=\int Q(x)e^{ax}dx+C&(C:積分定数)\\[0.5em]y&=e^{-ax}\left\{\int Q(x)e^{ax}dx+C\right\}\end{align*}
となります。

1階線形微分方程式

 $P(x)$を定数関数に限らない任意の関数であると考えた場合、単に定数$a$を$P(x)$に置き換えればよいわけではありません。
上記の積の微分のうち
\begin{align*}\{e^{ax}\}'&=(ax)'e^{ax}\\[0.5em]&=ae^{ax}\end{align*}
の部分より、合成関数の微分をしているから$e$の指数の$ax$は$ae^{ax}$の項(微分方程式の$ay$の項)の定数係数部分$a$の原始関数であることがわかります。
したがって、線形微分方程式
\[y'+P(x)y=Q(x)\]
の両辺に指数が$P(x)$の原始関数の$e^{\int P(x)dx}$を掛ければ
\[e^{\int P(x)dx}y'+P(x)e^{\int P(x)dx}y=Q(x)e^{\int P(x)dx}\]
左辺を積の微分により変形して
\[\left\{e^{\int P(x)dx}y\right\}'=Q(x)e^{\int P(x)dx}\]
とすることができるようになります。
あとはこれを解けば
\begin{align*}e^{\int P(x)dx}y&=\int Q(x)e^{\int P(x)dx}dx+C&(C:積分定数)\\[0.5em]y&=e^{-\int P(x)dx}\left\{\int Q(x)e^{\int P(x)dx}+C\right\}\end{align*}
となります。

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