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2022年9月10日

放物線の接線の方程式

 主軸がx軸の放物線$4ax=y^2$上の点$(p,q)$における接線の方程式は
\[\large 2a(x+p)=qy\]
で表されます。

なぜ、このような式で表されるのでしょうか?


 まずは$y$について解きます。
\[y=\pm2\sqrt{ax}=\pm2(ax)^\frac{1}{2}\]
となるので、
\begin{align*}\left\{\begin{aligned}y<0&のとき\\ y&=-2(ax)^\frac{1}{2}\\[1em]y\geqq0&のとき\\ y&=2(ax)^\frac{1}{2}\end{aligned}\right.\\ ただし、&a,x<0またはa,x\geqq0\end{align*}
のように$y$の正の部分と負の部分の2つに分割することができます。
$x$で微分すると
\begin{align*}y'&=\pm2(ax)'\cdot\frac{1}{2}(ax)^{-\frac{1}{2}}\\[0.5em]&=\pm\frac{a}{\sqrt{ax}}\end{align*}
ここで、放物線の方程式より$ax=\dfrac{y^2}{4}$なので、
\begin{align*}y'&=\pm\cfrac{a}{\sqrt{\cfrac{y^2}{4}}}\\[0.5em]&=\pm\cfrac{a}{\left|\cfrac{y}{2}\right|}\\[0.5em]&=\pm\frac{2a}{|y|}\end{align*}
となり、$y$の範囲で場合分けすれば
\[\left\{\begin{aligned}y<0&のとき\\ y'&=-\frac{2a}{-y}=\frac{2a}{y}\\[1em]y\geqq0&のとき\\ y'&=\frac{2a}{y}\end{aligned}\right.\]
$y$の範囲によらず$y'=\dfrac{2a}{y}$で表されることがわかります。
 放物線上の点$(p,q)$における接線の傾きは
\[y'(q)=\frac{2a}{q}\]
なので、放物線上の点$(p,q)$における接線の方程式は
\[y-q=\frac{2a}{q}(x-p)\]
となります。これを変形すると
\begin{align*}2a(x-p)&=q(y-q)\\[0.5em]&=qy-q^2\\[0.5em]2a(x-p)+q^2&=qy\\[0.5em]2a(x-p)+4ap&=qy\\ &(\because(p,q)は放物線上の点なので、4ap=q^2)\\[0.5em]2a(x+p)&=qy\end{align*}
 したがって、放物線$4ax=y^2$上の点$(p,q)$における接線の方程式は
\[2a(x+p)=qy\]
で表されることがわかります。

 主軸がy軸の放物線$4ay=x^2$上の点$(p,q)$における接線の方程式は
放物線の方程式の導関数$y'=\dfrac{x}{2a}$より
\begin{align*}y-q&=\frac{p}{2a}(x-p)\\[0.5em]2a(y-q)&=px-p^2\\[0.5em]2a(y-q)&=px-4aq\\ &(\because放物線の方程式よりp^2=4aq)\\[0.5em]2a(y+q)&=px\end{align*}
となります。
これは放物線の標準形から求めた接線の方程式ですが、同じく放物線のグラフとなる2次関数の標準形$y=a(x-b)^2+c$上の点$(p,q)$における接線の方程式は
2次関数の導関数$y'=2ax$より
\[\large y=2ap(x-p)+q\]
となります。
式の形が違うのはもちいた放物線の方程式と2次関数では係数が異なること、放物線の方程式は頂点が原点に固定されていることが原因です。

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