例として2次方程式$x^2+2x+1=0$について考えます。
この方程式は判別式より
\[D=2^2-4\cdot1\cdot1=0\]
となるため重解を持ちます。
この方程式を因数分解を利用して解きます。
\begin{align*}x^2+2x+1&=0\\ \\ (x+1)^2&=0\end{align*}
ここから、段階を踏んで解いていきます。
\[(x+1)^2=(x+1)(x+1)=0\]
となることを考えると、これが成り立つ条件は「$x+1=0$または$x+1=0$」であるとわかります。これを解けば「$x=-1$または$x=-1$」、すなわち$x=-1$です。
この流れをよく見ると2次方程式から導き出せる結論は「$x=-1$または$x=-1$」までです。
ここから「すなわち$x=-1$」と結論づけるのは2次方程式とは直接関係していません。
「すなわち」以降の部分は「または」の性質を反映したものなので論理の分野です。つまり、「$A$または$B$、かつ$A=B$」ならば「$A$である」ことから導かれたということです。
このことから、2次方程式にのみ限定して考えれば重解は2解を持つ場合に含まれるということです。
しかし、$(x+1)^2=0$を平方根を利用して解けば$x+1=0$、すなわち$x=-1$となるから解の個数は1個ではないか?と思うかもしれませんが、この場合でも細かく見れば平方根をとったとき
\[x+1=\pm\sqrt{0}=\pm0\]
となり、$+0=-0$であることから$x=-1$が導かれます。
2次方程式から直接導かれるのは$x=-1-0,-1+0$までです。$x=-1$と結論付けられるのは$0$の性質によるものです。
$\pm\sqrt{0},\pm0$という書き方はあまり見かけないかもしれませんが、重解を持つ2次方程式を解の公式を使って解くと
\[x=-1\pm\sqrt{0}\]
というような式に遭遇します。こういった式が登場することが重解のときの解の個数が2個であることを暗に示唆しています。
以上から、2次方程式のみからわかることは重解であっても解の個数は2個ということまでで、そこからさらに突き詰めて初めて重解のときの解の個数は1個であると判断されます。
そして、突き詰めた結果わかることは重解は2つの解が等しい特殊な例であるということです。
これが重解が2解を持つものに含まれる理由であると考えられます。
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