無限大に発散する数列の極限には、以下のような性質があります。
数列$\{a_n\}, \{b_n\}$について
\begin{gather*}\lim_{n\to\infty}a_n=\infty\\[1em]\lim_{n\to\infty}b_n=-\infty\end{gather*}
が成り立つとします。
数列の定数倍の極限
$c$が正の定数のとき
\begin{gather*}\large\lim_{n\to\infty}c
a_n=\infty\\[1em]\large\lim_{n\to\infty}c b_n=-\infty\end{gather*}
$c=0$のとき
\begin{gather*}\large\lim_{n\to\infty}c
a_n=0\\[1em]\large\lim_{n\to\infty}c b_n=0\end{gather*}
$c$が負の定数のとき
\begin{gather*}\large\lim_{n\to\infty}c
a_n=-\infty\\[1em]\large\lim_{n\to\infty}c b_n=\infty\end{gather*}
数列の逆数の極限
数列$\{a_n\}, \{b_n\}$のすべての項についてそれぞれ$a_n,
b_n≠0$であるとき
\begin{gather*}\large\lim_{n\to\infty}\frac{1}{a_n}=0\\[1em]\large\lim_{n\to\infty}\frac{1}{b_n}=0\end{gather*}
なぜこれらが成り立つのでしょうか?
数列の定数倍の極限
$c$が正の定数のとき
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}c a_n=\infty$
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=\infty$とは、数列の正の無限大に発散の定義より
任意の正の数$K$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において
が成り立つことです。
\[a_n>K\]
この$n$において、上式の両辺に$c$を掛けると、$c>0$より
\[c a_n>cK\]
となります。
すると、数列$\{c a_n\}$について
任意の正の数$K$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$c
a_n>cK$が成り立つ。
という、「数列の収束・無限大に発散の定義と同値な条件②」で示した数列の正の無限大に発散の定義と同値な条件を満たしているため、
\[\large\lim_{n\to\infty}c a_n=\infty\]
が成り立つことがわかります。
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}c b_n=-\infty$
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}b_n=-\infty$とは、数列の負の無限大に発散の定義より
任意の負の数$L$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において
が成り立つことです。
\[b_n<L\]
この$n$において、上式の両辺に$c$を掛けると、$c>0$より
\[c b_n<cL\]
となります。
すると、数列$\{c b_n\}$について
任意の負の数$L$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$c
b_n<cL$が成り立つ。
という、「数列の収束・無限大に発散の定義と同値な条件②」で示した数列の負の無限大に発散の定義と同値な条件を満たしているため、
\[\large\lim_{n\to\infty}c b_n=-\infty\]
が成り立つことがわかります。
$c=0$のとき
$c a_n=0, c b_n=0$、すなわち数列$\{c a_n\}, \{c
b_n\}$はともにすべての項が$0$の定数列となります。
これらの数列は、極限値を$0$とすると
任意の正の数$ε$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$においてそれぞれ
が成り立つので、数列の収束の定義を満たし、$c=0$のとき
\begin{gather*}|c a_n-0|=|0-0|=0<\varepsilon\\[1em]|c
b_n-0|=|0-0|=0<\varepsilon\end{gather*}
\begin{gather*}\large\lim_{n\to\infty}c
a_n=0\\[1em]\large\lim_{n\to\infty}c b_n=0\end{gather*}
が成り立つことがわかります。
$c$が負の定数のとき
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}c a_n=-\infty$
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=\infty$とは、数列の正の無限大に発散の定義より
任意の正の数$K$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において
が成り立つことです。
\[a_n>K\]
ここで、$K$より先に決まる任意の負の数$L$があり、$K=-L$によって$K$が決まっているとします。
すると、$L$が負の数全体を動くならば$K$は正の数全体を動くため、$K$は変わらず任意の正の数をとりえます。
また、数列の正の無限大に発散の定義より、任意の正の数$K$に対応する自然数$N$が存在します。
すなわち、
すると、$L$が負の数全体を動くならば$K$は正の数全体を動くため、$K$は変わらず任意の正の数をとりえます。
また、数列の正の無限大に発散の定義より、任意の正の数$K$に対応する自然数$N$が存在します。
すなわち、
\[L\ \rightarrow\ K\ \rightarrow\ N\]
と対応付けられるため、$L$には$K$を経由する形で対応する$N$が存在するといえます。
このことから、数列の正の無限大に発散の定義は、次のように書き換えることができます。
任意の負の数$L$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において
\[a_n>-L\]
この$n$において、上式の両辺に$c$を掛けると、$c<0$なので
\[c a_n<-cL\]
となり、$c$は負の定数なので$|c|=-c$であることから
\[c a_n<|c| L\]
と書くことができます。
したがって、数列$\{c a_n\}$について
任意の負の数$L$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$c
a_n<|c| L$が成り立つ。
という、「数列の収束・無限大に発散の定義と同値な条件②」で示した数列の負の無限大に発散の定義と同値な条件を満たしているため、
\[\large\lim_{n\to\infty}c a_n=-\infty\]
が成り立つことがわかります。
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}c b_n=\infty$
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}b_n=-\infty$とは、数列の負の無限大に発散の定義より
任意の負の数$L$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において
が成り立つことです。
\[b_n<L\]
ここで、$L$より先に決まる任意の正の数$K$があり、$L=-K$によって$L$が決まっているとします。
すると、$K$が正の数全体を動くならば$L$は負の数全体を動くため、$L$は変わらず任意の負の数をとりえます。
また、数列の負の無限大に発散の定義より、任意の負の数$L$に対応する自然数$N$が存在します。
すなわち、
すると、$K$が正の数全体を動くならば$L$は負の数全体を動くため、$L$は変わらず任意の負の数をとりえます。
また、数列の負の無限大に発散の定義より、任意の負の数$L$に対応する自然数$N$が存在します。
すなわち、
\[K\ \rightarrow\ L\ \rightarrow\ N\]
と対応付けられるため、$K$には$L$を経由する形で対応する$N$が存在するといえます。
このことから、数列の負の無限大に発散の定義は、次のように書き換えることができます。
任意の正の数$K$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において
\[b_n<-K\]
この$n$において、上式の両辺に$c$を掛けると、$c<0$なので
\[c b_n>-cK\]
となり、$c$は負の定数なので$|c|=-c$であることから
\[c b_n>|c| K\]
と書くことができます。
したがって、数列$\{c b_n\}$について
任意の正の数$K$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$c
b_n>|c| K$が成り立つ。
という、「数列の収束・無限大に発散の定義と同値な条件②」で示した数列の正の無限大に発散の定義と同値な条件を満たしているため、
\[\large\lim_{n\to\infty}c b_n=\infty\]
が成り立つことがわかります。
数列の逆数の極限
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{1}{a_n}=0$
数列$\{a_n\}$のすべての項について$a_n≠0$であるとします。
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=\infty$とは、数列の正の無限大に発散の定義より
任意の正の数$K$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$a_n>K$
が成り立つことです。
ここで、$K$より先に決まる任意の正の数$ε$があり、
すると、$ε$が正の数全体を動くならば$K$も正の数全体を動くため、$K$は変わらず任意の正の数をとりえます。
また、数列の正の無限大に発散の定義より、任意の正の数$K$に対応する自然数$N$が存在します。
\[K=\dfrac{1}{\varepsilon}\]
によって$K$が決まっているとします。
すると、$ε$が正の数全体を動くならば$K$も正の数全体を動くため、$K$は変わらず任意の正の数をとりえます。
また、数列の正の無限大に発散の定義より、任意の正の数$K$に対応する自然数$N$が存在します。
すなわち、
このことから、数列の正の無限大に発散の定義は、次のように書き換えることができます。
\[\varepsilon\ \rightarrow\ K\ \rightarrow\ N\]
と対応付けられるため、$ε$には$K$を経由する形で対応する$N$が存在するといえます。
このことから、数列の正の無限大に発散の定義は、次のように書き換えることができます。
任意の正の数$ε$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$a_n>\dfrac{1}{ε}$が成り立つ。
この$n$において、$a_n>0$より
\begin{align*}a_n&>\frac{1}{\varepsilon}\\[0.5em]\frac{1}{a_n}&<\varepsilon\end{align*}
となり、$\dfrac{1}{a_n}>0$より、
\[\frac{1}{a_n}=\left|\frac{1}{a_n}\right|=\left|\frac{1}{a_n}-0\right|<\varepsilon\]
となります。
したがって、
任意の正の数$ε$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$\left|\dfrac{1}{a_n}-0\right|<ε$が成り立つ。
とすることができ、これは数列$\left\{\dfrac{1}{a_n}\right\}$における収束の定義そのものです。
よって、数列$\{a_n\}$のすべての項について$a_n>0$であるとき
\[\large\lim_{n\to\infty}\frac{1}{a_n}=0\]
が成り立つことがわかります。
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{1}{b_n}=0$
数列$\{b_n\}$のすべての項について$b_n≠0$であるとします。
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}b_n=-\infty$とは、数列の負の無限大に発散の定義より
任意の負の数$L$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$b_n<L$
が成り立つことです。
ここで、$L$より先に決まる任意の正の数$ε$があり、
すると、$ε$が正の数全体を動くならば$L$は負の数全体を動くため、$L$は変わらず任意の負の数をとりえます。
また、数列の負の無限大に発散の定義より、任意の負の数$L$に対応する自然数$N$が存在します。
\[L=-\dfrac{1}{\varepsilon}\]
によって$L$が決まっているとします。
すると、$ε$が正の数全体を動くならば$L$は負の数全体を動くため、$L$は変わらず任意の負の数をとりえます。
また、数列の負の無限大に発散の定義より、任意の負の数$L$に対応する自然数$N$が存在します。
すなわち、
このことから、数列の負の無限大に発散の定義は、次のように書き換えることができます。
\[\varepsilon\ \rightarrow\ L\ \rightarrow\ N\]
と対応付けられるため、$ε$には$L$を経由する形で対応する$N$が存在するといえます。
このことから、数列の負の無限大に発散の定義は、次のように書き換えることができます。
任意の正の数$ε$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$b_n<-\dfrac{1}{ε}$が成り立つ。
この$n$において、$b_n<0$より
\begin{align*}b_n&<-\frac{1}{\varepsilon}\\[0.5em]\frac{1}{b_n}&>-\varepsilon\\[0.5em]-\frac{1}{b_n}&<\varepsilon\end{align*}
となり、$-\dfrac{1}{b_n}>0$より
\[\frac{1}{b_n}=\left|\frac{1}{b_n}\right|=\left|\frac{1}{b_n}-0\right|<\varepsilon\]
となります。
したがって、
任意の正の数$ε$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$\left|\dfrac{1}{b_n}-0\right|<ε$が成り立つ。
とすることができ、これは数列$\left\{\dfrac{1}{b_n}\right\}$における収束の定義そのものです。
よって、数列$\{b_n\}$のすべての項について$b_n<0$であるとき
\[\large\lim_{n\to\infty}\frac{1}{b_n}=0\]
が成り立つことがわかります。
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