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2026年7月30日

発散する数列と収束する数列の和・差の極限

 無限大に発散する数列と収束する数列の和・差の極限は以下のようになります。
 数列$\{a_n\}, \{b_n\}, \{c_n\}$について
\begin{gather*}\lim_{n\to\infty}a_n=\alpha\\[1em]\lim_{n\to\infty}b_n=\infty\\[1em]\lim_{n\to\infty}c_n=-\infty\end{gather*}
が成り立つとします。

数列の和の極限

\begin{gather*}\large\lim_{n\to\infty}\bigl(a_n +b_n\bigr)=\infty\\[1em]\large\lim_{n\to\infty}\bigl(a_n +c_n\bigr)=-\infty\end{gather*}

数列の差の極限

\begin{gather*}\large\lim_{n\to\infty}\bigl(b_n -a_n\bigr)=\infty\\[1em]\large\lim_{n\to\infty}\bigl(c_n -a_n\bigr)=-\infty\\[1em]\large\lim_{n\to\infty}\bigl(a_n -b_n\bigr)=-\infty\\[1em]\large\lim_{n\to\infty}\bigl(a_n -c_n\bigr)=\infty\end{gather*}

なぜこれらが成り立つのでしょうか?


準備

 $\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=α$より、数列$\{a_n\}$は収束するので有界です。
すなわち、数列$\{a_n\}$のすべての項について
\[|a_n|<M\]
を満たすような正の数$M$が存在します。
そして、これは
\begin{equation}-M<a_n<M\end{equation}
とも書くことができます。

数列の和の極限

$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\bigl(a_n +b_n\bigr)=\infty$

 $(1)$より、少なくとも
\[a_n>-M\]
であることに着目します。
両辺に任意の正の数$K$と$M$を加えると
\begin{equation}a_n +K+M>K\end{equation}
となります。

 $\displaystyle\lim_{n\to\infty}b_n=\infty$は、「数列の収束・無限大に発散と同値な条件①」で示した正の無限大に発散と同値な条件より
$P>M$を満たす任意の正の数$P$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において
\[b_n>P\]
と書けます。
ここで、$P=K+M$により$P$が決まっているとします。
すると、$M$は$K$に依存しない正の定数なので、$K$が正の数全体を動くならば$P$はそれに応じて$M$より大きい正の数全体を動くため、$P$は変わらず$P>M$を満たす任意の正の数となります。
また、上記の正の無限大の発散の条件より、$P$に対応する自然数$N$が存在します。
すなわち、
\[K\ \rightarrow\ P\ \rightarrow\ N\]
と対応付けられるため、$K$には$P$を経由する形で対応する$N$が存在するといえます。
したがって、
任意の正の数$K$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において
\[b_n>K+M\]
と書けます。
この$n$において、上式の両辺に$a_n$を加えると
\[a_n +b_n>a_n +K+M\]
となり、$(2)$より
\begin{align*}a_n +b_n>a_n +K+M&>K\\[0.5em]\therefore a_n +b_n&>K\end{align*}
となります。
よって、数列$\{a_n +b_n\}$について
任意の正の数$K$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$a_n +b_n>K$が成り立つ。
となり、正の無限大に発散の定義を満たしているので
\[\large\lim_{n\to\infty}\bigl(a_n +b_n\bigr)=\infty\]
が成り立つことがわかります。

$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\bigl(a_n +c_n\bigr)=-\infty$

 $(1)$より、少なくとも
\[a_n<M\]
であることに着目します。
両辺に任意の負の数$L$を加え、$M$を引くと
\begin{equation}a_n +L-M<L\end{equation}
となります。

 $\displaystyle\lim_{n\to\infty}c_n=-\infty$は、「数列の収束・無限大に発散と同値な条件①」で示した負の無限大に発散と同値な条件より
$Q<-M$を満たす任意の負の数$Q$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において
\[c_n<Q\]
と書けます。
ここで、$Q=L-M$により$Q$が決まっているとします。
すると、$M$は$L$に依存しない正の定数なので、$L$が負の数全体を動くならば$Q$はそれに応じて$M$より小さい負の数全体を動くため、$Q$は変わらず$Q<-M$を満たす任意の負の数となります。
また、上記の負の無限大の発散の条件より、$Q$に対応する自然数$N$が存在します。
すなわち、
\[L\ \rightarrow\ Q\ \rightarrow\ N\]
と対応付けられるため、$L$には$Q$を経由する形で対応する$N$が存在するといえます。
したがって、
任意の負の数$L$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において
\[c_n<L-M\]
と書けます。
この$n$において、上式の両辺に$a_n$を加えると
\[a_n +c_n<a_n +L-M\]
となり、$(3)$より
\begin{align*}a_n +c_n<a_n +L-M&<L\\[0.5em]\therefore a_n +c_n&<L\end{align*}
となります。
よって、数列$\{a_n +c_n\}$について
任意の負の数$L$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$a_n +c_n<L$が成り立つ。
となり、負の無限大に発散の定義を満たしているので
\[\large\lim_{n\to\infty}\bigl(a_n +c_n\bigr)=-\infty\]
が成り立つことがわかります。

数列の差の極限

$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\bigl(b_n -a_n\bigr)=\infty$

 $(1)$より、少なくとも
\[a_n<M\]
であることに着目します。
両辺に$-1$を掛けると
\[-a_n>-M\]
さらに両辺に任意の正の数$K$と$M$を加えると
\begin{equation}K+M -a_n>K\end{equation}
となります。

 $\displaystyle\lim_{n\to\infty}b_n=\infty$は、$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\bigl(a_n +b_n\bigr)=\infty$のときと同様に、
任意の正の数$K$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において
\[b_n>K+M\]
と書けます。
この$n$において、上式の両辺から$a_n$を引くと
\[b_n -a_n>K+M -a_n\]
となり、$(4)$より
\begin{align*}b_n -a_n>K+M -a_n&>K\\[0.5em]\therefore b_n -a_n&>K\end{align*}
となります。
よって、数列$\{b_n -a_n\}$について
任意の正の数$K$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$b_n -a_n>K$が成り立つ。
となり、正の無限大に発散の定義を満たしているので
\[\large\lim_{n\to\infty}\bigl(b_n -a_n\bigr)=\infty\]
が成り立つことがわかります。

$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\bigl(c_n -a_n\bigr)=-\infty$

 $(1)$より、少なくとも
\[-M<a_n\]
であることに着目します。
両辺に$-1$を掛けると
\[-a_n<M\]
さらに両辺に任意の負の数$L$を加え、$M$を引くと
\begin{equation}L-M -a_n<L\end{equation}
となります。

 $\displaystyle\lim_{n\to\infty}c_n=-\infty$は、$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\bigl(a_n +c_n\bigr)=-\infty$のときと同様に、
任意の負の数$L$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において
\[c_n<L-M\]
と書けます。
この$n$において、上式の両辺から$a_n$を引くと
\[c_n -a_n<L-M -a_n\]
となり、$(5)$より
\begin{align*}c_n -a_n<L-M -a_n&<L\\[0.5em]\therefore c_n -a_n&<L\end{align*}
となります。
よって、数列$\{c_n -a_n\}$について
任意の負の数$L$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$c_n -a_n<L$が成り立つ。
となり、負の無限大に発散の定義を満たしているので
\[\large\lim_{n\to\infty}\bigl(c_n -a_n\bigr)=-\infty\]
が成り立つことがわかります。

$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\bigl(a_n -b_n\bigr)=-\infty$

 数列$\{a_n -b_n\}$は、数列$\{b_n -a_n\}$の各項に$-1$を掛けたもの、すなわち
\[a_n -b_n=(-1)\bigl(b_n -a_n\bigr)\]
です。
上で
\[\lim_{n\to\infty}\bigl(b_n -a_n\bigr)=\infty\]
であることは示したので、「発散する数列の極限の性質①」で示した数列の定数倍の極限より
\[\large\lim_{n\to\infty}\bigl(a_n -b_n\bigr)=\lim_{n\to\infty}\Bigl\{(-1)\bigl(b_n -a_n\bigr)\Bigr\}=-\infty\]
が成り立つことがわかります。

$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\bigl(a_n -c_n\bigr)=\infty$

 数列$\{a_n -c_n\}$は、数列$\{c_n -a_n\}$の各項に$-1$を掛けたもの、すなわち
\[a_n -c_n=(-1)\bigl(c_n -a_n\bigr)\]
です。
上で
\[\lim_{n\to\infty}\bigl(c_n -a_n\bigr)=-\infty\]
であることは示したので、「発散する数列の極限の性質①」で示した数列の定数倍の極限より
\[\large\lim_{n\to\infty}\bigl(a_n -c_n\bigr)=\lim_{n\to\infty}\Bigl\{(-1)\bigl(c_n -a_n\bigr)\Bigr\}=\infty\]
が成り立つことがわかります。

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