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2026年7月28日

数列の大小関係を利用した極限の評価

 数列の大小関係を利用することで、極限のわからない数列の極限を評価する方法があります。
それは、次のようなものです。

はさみうちの原理

 数列$\{a_n\}, \{b_n\}, \{c_n\}$のすべての項について$a_n≦b_n≦c_n$が成り立ち、かつ$\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=\lim_{n\to\infty}c_n=α$ならば、
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}b_n=α$が成り立つ。

正の無限大に発散を下から評価

 数列$\{a_n\}, \{b_n\}$のすべての項について$a_n≦b_n$が成り立ち、かつ$\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=\infty$ならば、
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}b_n=\infty$が成り立つ。

負の無限大に発散を上から評価

 数列$\{a_n\}, \{b_n\}$のすべての項について$a_n≧b_n$が成り立ち、かつ$\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=-\infty$ならば、
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}b_n=-\infty$が成り立つ。

なぜこれらが成り立つのでしょうか?


はさみうちの原理

 数列$\{a_n\}, \{b_n\}, \{c_n\}$のすべての項について
\begin{equation}a_n\leqq b_n\leqq c_n\end{equation}
が成り立っているものとします。

 $\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=α$は、数列の収束の定義より
任意の正の数$ε$に対し、ある自然数$N_a$が存在して、$n>N_a$を満たすすべての$n$について$|a_n-α|<ε$が成り立つ。
と書け、$\displaystyle\lim_{n\to\infty}c_n=α$も同様に
任意の正の数$ε$に対し、ある自然数$N_c$が存在して、$n>N_c$を満たすすべての$n$について$|c_n-α|<ε$が成り立つ。
と書くことができます。
このとき、$ε$に対応する自然数はより大きいものに選び直せるので、各$ε$に対応する$N_a, N_c$のうち最大のものを$N$とすれば、共通の自然数$N$をもちいて
任意の正の数$ε$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$について
\begin{gather}|a_n-\alpha|<\varepsilon\\[1em]|c_n-\alpha|<\varepsilon\end{gather}
とすることができます。
この$n$において、$(2)$を変形すると
\begin{gather*}-\varepsilon<a_n-\alpha<\varepsilon\\[0.5em]\alpha-\varepsilon<a_n<\alpha+\varepsilon\end{gather*}
となり、
\begin{equation}\alpha-\varepsilon<a_n\end{equation}
に着目します。
同様に、$(3)$を変形して
\begin{equation}c_n<\alpha+\varepsilon\end{equation}
に着目します。
すると、$(1), (4), (5)$より
\begin{align*}\alpha-\varepsilon<a_n\leqq b_n&\leqq c_n<\alpha+\varepsilon\\[0.5em]\alpha-\varepsilon<b_n&<\alpha+\varepsilon\\[0.5em]-\varepsilon<b_n-\alpha&<\varepsilon\\[0.5em]|b_n-\alpha|&<\varepsilon\end{align*}
となります。
したがって、数列$\{b_n\}$について
任意の正の数$ε$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$について$|b_n-α|<ε$が成り立つ。
となり、数列の収束の定義を満たしているため、
\[\lim_{n\to\infty}b_n=\alpha\]
が成り立つことがわかります。

 数列の大小関係が$a_n<b_n<c_n$であっても、これは$a_n≦b_n≦c_n$の場合の1つなので、同様に$\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=\lim_{n\to\infty}c_n=α$ならば、
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}b_n=α$が成り立ちます。

正の無限大に発散を下から評価

 数列$\{a_n\}, \{b_n\}$のすべての項について
\begin{equation}a_n\leqq b_n\end{equation}
が成り立っているものとします。

 $\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=\infty$とは、数列の正の無限大に発散の定義より
任意の正の数$K$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において
\begin{equation}a_n>K\end{equation}
が成り立つことです。
この$n$において、$(6), (7)$より
\begin{align*}K<a_n\leqq &b_n\\[0.5em]\therefore b_n&>K\end{align*}
となります。
したがって、数列$\{b_n\}$について
任意の正の数$K$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$b_n>K$が成り立つ。
となり、数列の正の無限大に発散の定義を満たしているため、
\[\lim_{n\to\infty}b_n=\infty\]
が成り立つことがわかります。

 数列の大小関係が$a_n<b_n$であっても、これは$a_n≦b_n$の場合の1つなので、同様に$\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=\infty$ならば、
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}b_n=\infty$が成り立ちます。

負の無限大に発散を上から評価

 数列$\{a_n\}, \{b_n\}$のすべての項について
\begin{equation}a_n\geqq b_n\end{equation}
が成り立っているものとします。

 $\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=-\infty$とは、数列の負の無限大に発散の定義より
任意の負の数$L$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において
\begin{equation}a_n<L\end{equation}
が成り立つことです。
この$n$において、$(8), (9)$より
\begin{align*}L>a_n\geqq &b_n\\[0.5em]\therefore b_n&<L\end{align*}
となります。
したがって、数列$\{b_n\}$について
任意の負の数$L$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$b_n<L$が成り立つ。
となり、数列の負の無限大に発散の定義を満たしているため、
\[\lim_{n\to\infty}b_n=-\infty\]
が成り立つことがわかります。

 数列の大小関係が$a_n>b_n$であっても、これは$a_n≧b_n$の場合の1つなので、同様に$\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=-\infty$ならば、
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}b_n=-\infty$が成り立ちます。

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