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2026年7月12日

数列の収束・無限大に発散の定義と同値な条件①(εやKの範囲を制限)

 数列の極限の収束、無限大に発散の定義にはそれぞれ同値な条件があります。
正の定数$ε_0, K_0$と負の定数$L_0$をとると、同値な条件は以下のようなものです。

収束の定義と同値な条件

$0<ε<ε_0$を満たす任意の正の数$ε$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$|a_n-α|<ε$が成り立つ。
この条件は、収束の定義と比較して、$ε$の範囲をより$0$に近い部分に制限しています。

正の無限大に発散の定義と同値な条件

$K>K_0$を満たす任意の正の数$K$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$a_n>K$が成り立つ。
この条件は、正の無限大に発散の定義と比較して、$K$の範囲をより絶対値の大きい部分に制限しています。

負の無限大に発散の定義と同値な条件

$L<L_0$を満たす任意の負の数$L$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$a_n<L$が成り立つ。
この条件は、負の無限大に発散の定義と比較して、$L$の範囲をより絶対値の大きい部分に制限しています。

なぜこれらが定義と同値な条件なのでしょうか?


収束の定義と同値な条件

 イプシロン-エヌ論法における数列の収束の定義は
\begin{equation}\begin{aligned}&任意の正の数\varepsilonに対し、\\ &ある自然数Nが存在して、\\ &n>Nを満たすすべてのnにおいて\\ &|a_n-\alpha|<\varepsilonが成り立つ。\end{aligned}\end{equation}
で、これと同値であると確かめたい条件は
\[\begin{aligned}&0<\varepsilon<\varepsilon_0を満たす任意の正の数\varepsilonに対し、\\ &ある自然数Nが存在して、\\ &n>Nを満たすすべてのnにおいて\\ &|a_n-\alpha|<\varepsilonが成り立つ。\end{aligned}\tag{i}\]
です。
それぞれを満たす数列が一致することから、これらが同値であることを確かめます。

$(1)\ \Rightarrow\ \text{(i)}$

 まず、定義$(1)$を満たす数列が条件$\text{(i)}$も満たすことを確かめます。
定義$(1)$の$ε$の範囲を、正の定数$ε_0$をとって$0<ε<ε_0$と$ε≧ε_0$に分割して書き直すと、
$0<ε<ε_0$を満たす任意の正の数$ε$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$|a_n-α|<ε$が成り立つ。
$ε≧ε_0$を満たす任意の正の数$ε$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$|a_n-α|<ε$が成り立つ。
となります。定義$(1)$を満たす数列はこれらも満たします。

前者は条件$\text{(i)}$そのものなので、定義$(1)$を満たす数列は条件$\text{(i)}$も満たすことがわかります。


$\text{(i)}\ \Rightarrow\ (1)$

 次に、条件$\text{(i)}$を満たす数列が定義$(1)$も満たすことを確かめます。
上述の定義$(1)$の分割より、一方は条件$\text{(i)}$そのものなので、条件$\text{(i)}$を満たす数列がもう一方の条件、すなわち
\[\begin{aligned}&\varepsilon\geqq\varepsilon_0を満たす任意の正の数\varepsilonに対し、\\ &ある自然数Nが存在して、\\ &n>Nを満たすすべてのnにおいて\\ &|a_n-\alpha|<\varepsilonが成り立つ。\end{aligned}\tag*{(i)'}\]
も満たせば、定義$(1)$を満たすことがわかります。
ε_0>ε_1であるε_0にもN_1を対応させることができる
これを確かめるために、「イプシロン-エヌ論法①数列の極限・収束」で示した、$ε$のある値に対応する自然数$N$は、より大きい$ε$の値とも対応させられることを利用します。
$0<p<ε_0$を満たす正の数$p$、例えば$p=\dfrac{ε_0}{2}$をとると、条件$\text{(i)}$より、これに対応する自然数$N_p$が存在して、$n>N_p$を満たすすべての$n$において
\[|a_n-\alpha|<p\]
が成り立ちます。
そして、$ε≧ε_0$において$ε>p$なので、
\[|a_n-\alpha|<p<\varepsilon\]
も成り立ちます。すなわち、
$ε≧ε_0$を満たす任意の正の数$ε$に対し、自然数$N_p$が存在して、$n>N_p$を満たすすべての$n$において$|a_n-α|<ε$が成り立つ。
ということで、これは$ε≧ε_0$を満たすすべての$ε$に対して、同じ$N_p$を対応させることで条件$\text{(i)'}$が成り立っているということです。

したがって、条件$\text{(i)}$を満たす数列は、条件$\text{(i)'}$も満たすので、定義$(1)$もまた満たすことがわかります。


 以上より、定義$(1)$を満たす数列と条件$\text{(i)}$を満たす数列が一致することから、定義$(1)$と条件$\text{(i)}$は同値であることがわかります。


正の無限大に発散の定義と同値な条件

 イプシロン-エヌ論法における数列の正の無限大に発散の定義は
\begin{equation}\begin{aligned}&任意の正の数Kに対し、\\ &ある自然数Nが存在して、\\ &n>Nを満たすすべてのnにおいて\\ &a_n>Kが成り立つ。\end{aligned}\end{equation}
で、これと同値であると確かめたい条件は
\[\begin{aligned}&K>K_0を満たす任意の正の数Kに対し、\\ &ある自然数Nが存在して、\\ &n>Nを満たすすべてのnにおいて\\ &a_n>Kが成り立つ。\end{aligned}\tag{ii}\]
です。
それぞれを満たす数列が一致することから、これらが同値であることを確かめます。

$(2)\ \Rightarrow\ \text{(ii)}$

 まず、定義$(2)$を満たす数列が条件$\text{(ii)}$も満たすことを確かめます。
定義$(2)$の$K$の範囲を、正の定数$K_0$をとって$0<K≦K_0$と$K>K_0$に分割して書き直すと、
$0<K≦K_0$を満たす任意の正の数$K$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$a_n>K$が成り立つ。
$K>K_0$を満たす任意の正の数$K$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$a_n>K$が成り立つ。
となります。定義$(2)$を満たす数列はこれらも満たします。

後者は条件$\text{(ii)}$そのものなので、定義$(2)$を満たす数列は条件$\text{(ii)}$も満たすことがわかります。


$\text{(ii)}\ \Rightarrow\ (2)$

 次に、条件$\text{(ii)}$を満たす数列が定義$(2)$も満たすことを確かめます。
上述の定義$(2)$の分割より、一方は条件$\text{(ii)}$そのものなので、条件$\text{(ii)}$を満たす数列がもう一方の条件、すなわち
\[\begin{aligned}&0<K\leqq K_0を満たす任意の正の数Kに対し、\\ &ある自然数Nが存在して、\\ &n>Nを満たすすべてのnにおいて\\ &a_n>Kが成り立つ。\end{aligned}\tag*{(ii)'}\]
も満たせば、定義$(2)$を満たすことがわかります。
K_0<K_1であるK_0にもN_1を対応させることができる
これを確かめるために、「イプシロン-エヌ論法②数列の極限・発散」で示した、$K$のある値に対応する自然数$N$は、より小さい$K$の値とも対応させられることを利用します。
$q>K_0$を満たす正の数$q$、例えば$q=2K_0$をとると、条件$\text{(ii)}$より、これに対応する自然数$N_q$が存在して、$n>N_q$を満たすすべての$n$において
\[a_n>q\]
が成り立ちます。
そして、$0<K≦K_0$において$K<q$なので、
\[a_n>q>K\]
も成り立ちます。すなわち、
$0<K\leqq K_0$を満たす任意の正の数$K$に対し、自然数$N_q$が存在して、$n>N_q$を満たすすべての$n$において$a_n>K$が成り立つ。
ということで、これは$0<K≦K_0$を満たすすべての$K$に対して、同じ$N_q$を対応させることで条件$\text{(ii)'}$が成り立っているということです。

したがって、条件$\text{(ii)}$を満たす数列は、条件$\text{(ii)'}$も満たすので、定義$(2)$もまた満たすことがわかります。


 以上より、定義$(2)$を満たす数列と条件$\text{(ii)}$を満たす数列が一致することから、定義$(2)$と条件$\text{(ii)}$は同値であることがわかります。


負の無限大に発散の定義と同値な条件

 イプシロン-エヌ論法における数列の負の無限大に発散の定義は
\begin{equation}\begin{aligned}&任意の負の数Lに対し、\\ &ある自然数Nが存在して、\\ &n>Nを満たすすべてのnにおいて\\ &a_n<Lが成り立つ。\end{aligned}\end{equation}
で、これと同値であると確かめたい条件は
\[\begin{aligned}&L<L_0を満たす任意の負の数Lに対し、\\ &ある自然数Nが存在して、\\ &n>Nを満たすすべてのnにおいて\\ &a_n<Lが成り立つ。\end{aligned}\tag{iii}\]
です。
それぞれを満たす数列が一致することから、これらが同値であることを確かめます。

$(3)\ \Rightarrow\ \text{(iii)}$

 まず、定義$(3)$を満たす数列が条件$\text{(iii)}$も満たすことを確かめます。
定義$(3)$の$L$の範囲を、負の定数$L_0$をとって$L<L_0$と$L_0≦L<0$に分割して書き直すと、
$L<L_0$を満たす任意の負の数$L$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$a_n<L$が成り立つ。
$L_0\leqq L<0$を満たす任意の負の数$L$に対し、ある自然数$N$が存在して、$n>N$を満たすすべての$n$において$a_n<L$が成り立つ。
となります。定義$(3)$を満たす数列はこれらも満たします。

前者は条件$\text{(iii)}$そのものなので、定義$(3)$を満たす数列は条件$\text{(iii)}$も満たすことがわかります。


$\text{(iii)}\ \Rightarrow\ (3)$

 次に、条件$\text{(iii)}$を満たす数列が定義$(3)$も満たすことを確かめます。
上述の定義$(3)$の分割より、一方は条件$\text{(iii)}$そのものなので、条件$\text{(iii)}$を満たす数列がもう一方の条件、すなわち
\[\begin{aligned}&L_0\leqq L<0を満たす任意の負の数Lに対し、\\ &ある自然数Nが存在して、\\ &n>Nを満たすすべてのnにおいて\\ &a_n<Lが成り立つ。\end{aligned}\tag*{(iii)'}\]
も満たせば、定義$(3)$を満たすことがわかります。

L_0>L_1であるL_0にもN_1を対応させることができる
これを確かめるために、正の無限大に発散と同様に考えて示せる、$L$のある値に対応する自然数$N$は、より大きい$L$の値とも対応させられることを利用します。

$r<L_0$を満たす負の数$r$、例えば$r=2L_0$をとると、条件$\text{(iii)}$より、これに対応する自然数$N_r$が存在して、$n>N_r$を満たすすべての$n$において
\[a_n<r\]
が成り立ちます。
そして、$L_0≦L<0$において$L>r$なので、
\[a_n<r<L\]
も成り立ちます。すなわち、
$L_0\leqq L<0$を満たす任意の負の数$L$に対し、自然数$N_r$が存在して、$n>N_r$を満たすすべての$n$において$a_n<L$が成り立つ。
ということで、これは$L_0≦L<0$を満たすすべての$L$に対して、同じ$N_r$を対応させることで条件$\text{(iii)'}$が成り立っているということです。

したがって、条件$\text{(iii)}$を満たす数列は、条件$\text{(iii)'}$も満たすので、定義$(3)$もまた満たすことがわかります。


 以上より、定義$(3)$を満たす数列と条件$\text{(iii)}$を満たす数列が一致することから、定義$(3)$と条件$\text{(iii)}$は同値であることがわかります。

(2026/7)一部修正しました。

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