点と直線の距離とは、両者の間でとることができる長さの中で最も短いもののことを言います。そして点の直線の間の長さが最も短くなるのは、点から直線に対して垂直な線を引いたときとなります。
なので、点と直線の距離を求めるためには、
必要があります。
- 点$(p, q)$を通り直線$l$に直交する直線の方程式を求める。
- 2直線の交点を求める。
- 点$(p, q)$と2直線の交点との距離を求める。
1. 点$(p, q)$を通り直線lに直交する直線の方程式
まずは直線lに直交する点$(p, q)$を通る直線を$m$とし、この方程式を求めます。
互いに垂直な直線の傾きの積は$-1$になります。直線$l$の傾きは
\begin{align*}ax+by+c&=0\\[0.5em]\frac{a}{b}x+y+\frac{c}{b}&=0\\[0.5em]y&=-\frac{a}{b}x-\frac{c}{b}\end{align*}
より$-\dfrac{a}{b}$なので、$l$に直交する直線$m$の傾きは$\dfrac{b}{a}$になります。
したがって、直線$m$の定数を$d$とおけば$bx-ay+d=0$となります。($-bx+ay+d=0$でも可)
直線$m$は$(p, q)$を通るので$x=p,y=q$を代入すると、
\begin{align*}bp-aq+d&=0\\[0.5em]d&=aq-bp\end{align*}
となるため、直線$m$の方程式は
\[bx-ay+aq-bp=0\]
となります。2. 2直線の交点
2直線の交点を求めるには
\begin{cases}ax&+by&+c&=0&\qquad(\mathrm{i})\\[0.5em]bx&-ay&+aq-bp&=0&\qquad(\mathrm{ii})\end{cases}
この連立方程式を解きます。$(\mathrm{i})× b-(\mathrm{ii})× a$を計算すると
\begin{align*}(a^2+b^2)y-a^2 q+abp+bc&=0\\[0.5em]y&=\frac{a^2
q-abp-bc}{a^2+b^2} \tag{iii}\end{align*}
$(\mathrm{i})× a+(\mathrm{ii})× b$を計算すると
\begin{align*}(a^2+b^2)x+abq-b^2 p+ac&=0\\[0.5em]x&=\frac{b^2
p-abq-ac}{a^2+b^2} \tag{iv}\end{align*}
$\mathrm{(iii),(iv)}$より直線$l,m$の交点は$\left(\dfrac{b^2 p-abq-ac}{a^2+b^2},\dfrac{a^2 q-abp-bc}{a^2+b^2}\right)$となります。
3. $(p, q)$と2直線の交点の距離
2点間の距離を求めるには$(A, B),(C, D)$の2点の場合
\[\sqrt{(A-C)^2+(B-D)^2}\]
となります。
したがって、
\begin{align*}&\sqrt{\left(p-\frac{b^2
p-abq-ac}{a^2+b^2}\right)^2+\left(q-\frac{a^2 q-abp-bc}{a^2+b^2}\right)^2}\\[0.5em]&=\sqrt{\left\{\frac{(a^2+b^2)p}{a^2+b^2}-\frac{b^2
p-abq-ac}{a^2+b^2}\right\}^2+\left\{\frac{(a^2+b^2)q}{a^2+b^2}-\frac{a^2
q-abp-bc}{a^2+b^2}\right\}^2}\\[0.5em]&=\sqrt{\left(\frac{a^2
p+abq+ac}{a^2+b^2}\right)^2+\left(\frac{abp+b^2 q+bc}{a^2+b^2}\right)^2}\\[0.5em]&=\sqrt{\frac{a^2(ap+bq+c)^2+b^2(ap+bq+c)^2}{(a^2+b^2)^2}}\\[0.5em]&=\sqrt{\frac{(a^2+b^2)(ap+bq+c)^2}{(a^2+b^2)^2}}\\[0.5em]&=\sqrt{\frac{(ap+bq+c)^2}{a^2+b^2}}\\[0.5em]&=\frac{\sqrt{(ap+bq+c)^2}}{\sqrt{a^2+b^2}}\end{align*}
平方根の計算法則より$\sqrt{(ap+bq+c)^2}=|ap+bq+c|$と書けるので
\[\Large{\frac{|ap+bq+c|}{\sqrt{a^2+b^2}}}\]
が点と直線の距離を求める公式となります。
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