点と直線の距離とは、定点と直線上の1点の間の距離の中で最短であるもののことで、座標平面上の点P(p,q)P(p,q)と直線l: ax+by+c=0l: ax+by+c=0(a,b,c,p,q:a,b,c,p,q:実数、a≠0a≠0またはb≠0b≠0)の距離LLは
L=|ap+bq+c|√a2+b2L=|ap+bq+c|√a2+b2
と表すことができます。
なぜこのように表すことができるのでしょうか?
点PPに最も近い直線ll上の点は、点PPを通る直線llの垂線との交点です。(以降、点PPを通る直線llの垂線をmm、直線llとの交点をQQとします。)
すなわち、点PPと直線llの距離LLは、2点P, QP, Q間の距離PQPQに等しいということです。
これを利用して点と直線の距離を求めます。
すなわち、点PPと直線llの距離LLは、2点P, QP, Q間の距離PQPQに等しいということです。
これを利用して点と直線の距離を求めます。
a≠0a≠0またはb≠0b≠0をa≠0a≠0かつb≠0b≠0、a=0a=0かつb≠0b≠0、a≠0a≠0かつb=0b=0の3つの場合に分割して考えます。
1. a≠0a≠0かつb≠0b≠0のとき
a≠0a≠0かつb≠0b≠0のとき、点と直線の距離を以下の手順で求めます。
- 点PPを通る直線llの垂線の方程式を求める
- 2直線の交点の座標を求める
- 2点間の距離を求める
I. 点PPを通る直線llの垂線の方程式
まずは垂線mmの方程式を求める必要があります。
直線llの傾きは、方程式を変形して
直交する2直線の傾きの積は−1−1となるので、垂線mmの傾きはbabaとなります。
by=−ax−cy=−abx−cbby=−ax−cy=−abx−cb(1)
より−ab−abであることがわかります。直交する2直線の傾きの積は−1−1となるので、垂線mmの傾きはbabaとなります。
また、垂線mmは点PPを通るので、その方程式は
y=ba(x−p)+qy=bax−bp−aqay=ba(x−p)+qy=bax−bp−aqa(2)
と求められます。
II. 2直線の交点の座標
直線llと垂線mmの交点QQの座標は、それぞれの直線の方程式を連立することで求められます。
(1),(2)(1),(2)より
−abx−cb=bax−bp−aqa−abx−cb=bax−bp−aqa
両辺をabab倍して
−a2x−ac=b2x−b2p+abq(a2+b2)x=b2p−abq−acx=b2p−abq−aca2+b2−a2x−ac=b2x−b2p+abq(a2+b2)x=b2p−abq−acx=b2p−abq−aca2+b2
これを(1)(1)に代入して
y=−ab⋅b2p−abq−aca2+b2−cb=−1b(a(b2p−abq−ac)a2+b2+c)=−1b{a(b2p−abq−ac)a2+b2+c(a2+b2)a2+b2}=−1b(ab2p−a2bq−a2ca2+b2+a2c+b2ca2+b2)=−1b⋅ab2p−a2bq+b2ca2+b2=−abp−a2q+bca2+b2y=−ab⋅b2p−abq−aca2+b2−cb=−1b(a(b2p−abq−ac)a2+b2+c)=−1b{a(b2p−abq−ac)a2+b2+c(a2+b2)a2+b2}=−1b(ab2p−a2bq−a2ca2+b2+a2c+b2ca2+b2)=−1b⋅ab2p−a2bq+b2ca2+b2=−abp−a2q+bca2+b2
となり、点QQの座標は(b2p−abq−aca2+b2,−abp−a2q+bca2+b2)(b2p−abq−aca2+b2,−abp−a2q+bca2+b2)であることがわかります。
III. 2点間の距離
座標平面上の2点(xa,ya),(xb,yb)(xa,ya),(xb,yb)間の距離は
√(xb−xa)2+(yb−ya)2√(xb−xa)2+(yb−ya)2
で求められるので、P, QP, Q間の距離PQPQは
PQ=√(b2p−abq−aca2+b2−p)2+(−abp−a2q+bca2+b2−q)2=√(b2p−abq−aca2+b2−a2p+b2pa2+b2)2+(−abp−a2q+bca2+b2−a2q+b2qa2+b2)2=√(−a2p−abq−aca2+b2)2+(−abp+b2q+bca2+b2)2=√{−a(ap+bq+c)a2+b2}2+{−b(ap+bq+c)a2+b2}2=√a2(ap+bq+c)2(a2+b2)2+b2(ap+bq+c)2(a2+b2)2=√(a2+b2)(ap+bq+c)(a2+b2)2=√(ap+bq+c)2a2+b2=√(ap+bq+c)2√a2+b2(∵√xy=√x√y)=|ap+bq+c|√a2+b2(∵√x2=|x|)PQ=√(b2p−abq−aca2+b2−p)2+(−abp−a2q+bca2+b2−q)2=√(b2p−abq−aca2+b2−a2p+b2pa2+b2)2+(−abp−a2q+bca2+b2−a2q+b2qa2+b2)2=√(−a2p−abq−aca2+b2)2+(−abp+b2q+bca2+b2)2=√{−a(ap+bq+c)a2+b2}2+{−b(ap+bq+c)a2+b2}2=√a2(ap+bq+c)2(a2+b2)2+b2(ap+bq+c)2(a2+b2)2=√(a2+b2)(ap+bq+c)(a2+b2)2=√(ap+bq+c)2a2+b2=√(ap+bq+c)2√a2+b2(∵√xy=√x√y)=|ap+bq+c|√a2+b2(∵√x2=|x|)
であることがわかります。
PQ=LPQ=Lなので、点P(p,q)P(p,q)と直線l: ax+by+c=0l: ax+by+c=0の距離LLは
L=|ap+bq+c|√a2+b2L=|ap+bq+c|√a2+b2(*)
で表されることがわかります。
2. a=0a=0かつb≠0b≠0のとき
すると、垂線mmはy軸に平行な直線なので、点QQのx座標は点PPのx座標に等しくなります。
したがって、点QQの座標は(p,−cb)(p,−cb)です。
したがって、点QQの座標は(p,−cb)(p,−cb)です。
2点P, QP, Q間の距離PQPQは
PQ=|−cb−q|=|−(cb+q)|=|cb+q|(∵|−x|=|x|)PQ=∣∣−cb−q∣∣=∣∣−(cb+q)∣∣=∣∣cb+q∣∣(∵|−x|=|x|)
となるので、PQ=LPQ=Lより
L=|cb+q|L=∣∣cb+q∣∣(1)
であることがわかります。
3. a≠0a≠0かつb=0b=0のとき
すると、垂線mはx軸に平行な直線なので、点Qのy座標は点Pのy座標に等しくなります。
したがって、点Qの座標は(−ca,q)です。
したがって、点Qの座標は(−ca,q)です。
2点P, Q間の距離PQは
PQ=|−ca−p|=|−(ca+p)|=|ca+p|(∵|−x|=|x|)
となるので、PQ=Lより
L=|ca+p|
であることがわかります。
2.、3.の場合でも(∗)を満たします。
2.の場合のa=0かつb≠0のとき、(∗)は
L=|bq+c|√b2=|bq+c||b|=|bq+cb|=|q+cb|=|cb+q|(∵交換法則)
となり、2.の場合のLと一致します。
これは3.の場合でも同様です。
したがって、点P(p,q)と直線l: ax+by+c=0(a,b,c,p,q:実数、a≠0またはb≠0)の距離Lを
L=|ap+bq+c|√a2+b2
と表せることがわかります。
(2024/11)内容を修正しました。
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