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2021年12月29日

点と直線の距離はどうやって求める?

 点と直線の距離とは、定点と直線上の1点の間の距離の中で最短であるもののことで、座標平面上の点P(p,q)P(p,q)と直線l: ax+by+c=0l: ax+by+c=0a,b,c,p,q:a,b,c,p,q:実数、a0a0またはb0b0)の距離LL
L=|ap+bq+c|a2+b2L=|ap+bq+c|a2+b2
と表すことができます。

なぜこのように表すことができるのでしょうか?


 点PPに最も近い直線ll上の点は、点PPを通る直線llの垂線との交点です。(以降、点PPを通る直線llの垂線をmm、直線llとの交点をQQとします。)
すなわち、点PPと直線llの距離LLは、2点P, QP, Q間の距離PQPQに等しいということです。
これを利用して点と直線の距離を求めます。

a0a0またはb0b0a0a0かつb0b0a=0a=0かつb0b0a0a0かつb=0b=0の3つの場合に分割して考えます。

1. a0a0かつb0b0のとき

a0a0かつb0b0のとき、点と直線の距離を以下の手順で求めます。
  1. PPを通る直線llの垂線の方程式を求める
  2. 2直線の交点の座標を求める
  3. 2点間の距離を求める

I. 点PPを通る直線llの垂線の方程式

 まずは垂線mmの方程式を求める必要があります。
直線llの傾きは、方程式を変形して
by=axcy=abxcbby=axcy=abxcb(1)
よりababであることがわかります。
直交する2直線の傾きの積は11となるので、垂線mmの傾きはbabaとなります。
また、垂線mmは点PPを通るので、その方程式は
y=ba(xp)+qy=baxbpaqay=ba(xp)+qy=baxbpaqa(2)
と求められます。

II. 2直線の交点の座標

 直線llと垂線mmの交点QQの座標は、それぞれの直線の方程式を連立することで求められます。
(1),(2)(1),(2)より
abxcb=baxbpaqaabxcb=baxbpaqa
両辺をabab倍して
a2xac=b2xb2p+abq(a2+b2)x=b2pabqacx=b2pabqaca2+b2a2xac=b2xb2p+abq(a2+b2)x=b2pabqacx=b2pabqaca2+b2
これを(1)(1)に代入して
y=abb2pabqaca2+b2cb=1b(a(b2pabqac)a2+b2+c)=1b{a(b2pabqac)a2+b2+c(a2+b2)a2+b2}=1b(ab2pa2bqa2ca2+b2+a2c+b2ca2+b2)=1bab2pa2bq+b2ca2+b2=abpa2q+bca2+b2y=abb2pabqaca2+b2cb=1b(a(b2pabqac)a2+b2+c)=1b{a(b2pabqac)a2+b2+c(a2+b2)a2+b2}=1b(ab2pa2bqa2ca2+b2+a2c+b2ca2+b2)=1bab2pa2bq+b2ca2+b2=abpa2q+bca2+b2
となり、点QQの座標は(b2pabqaca2+b2,abpa2q+bca2+b2)(b2pabqaca2+b2,abpa2q+bca2+b2)であることがわかります。

III. 2点間の距離

 座標平面上の2点(xa,ya),(xb,yb)(xa,ya),(xb,yb)間の距離は
(xbxa)2+(ybya)2(xbxa)2+(ybya)2
で求められるので、P, QP, Q間の距離PQPQ
PQ=(b2pabqaca2+b2p)2+(abpa2q+bca2+b2q)2=(b2pabqaca2+b2a2p+b2pa2+b2)2+(abpa2q+bca2+b2a2q+b2qa2+b2)2=(a2pabqaca2+b2)2+(abp+b2q+bca2+b2)2={a(ap+bq+c)a2+b2}2+{b(ap+bq+c)a2+b2}2=a2(ap+bq+c)2(a2+b2)2+b2(ap+bq+c)2(a2+b2)2=(a2+b2)(ap+bq+c)(a2+b2)2=(ap+bq+c)2a2+b2=(ap+bq+c)2a2+b2(xy=xy)=|ap+bq+c|a2+b2(x2=|x|)PQ=(b2pabqaca2+b2p)2+(abpa2q+bca2+b2q)2=(b2pabqaca2+b2a2p+b2pa2+b2)2+(abpa2q+bca2+b2a2q+b2qa2+b2)2=(a2pabqaca2+b2)2+(abp+b2q+bca2+b2)2={a(ap+bq+c)a2+b2}2+{b(ap+bq+c)a2+b2}2=a2(ap+bq+c)2(a2+b2)2+b2(ap+bq+c)2(a2+b2)2=(a2+b2)(ap+bq+c)(a2+b2)2=(ap+bq+c)2a2+b2=(ap+bq+c)2a2+b2(xy=xy)=|ap+bq+c|a2+b2(x2=|x|)
であることがわかります。
PQ=LPQ=Lなので、点P(p,q)P(p,q)と直線l: ax+by+c=0l: ax+by+c=0の距離LL
L=|ap+bq+c|a2+b2L=|ap+bq+c|a2+b2(*)
で表されることがわかります。

2. a=0a=0かつb0b0のとき

 a=0a=0かつb0b0のとき、直線llの方程式は
by+c=0by=cy=cbby+c=0by=cy=cb
となるので、x軸に平行な直線となります。
すると、垂線mmはy軸に平行な直線なので、点QQのx座標は点PPのx座標に等しくなります。
したがって、点QQの座標は(p,cb)(p,cb)です。
2点P, QP, Q間の距離PQPQ
PQ=|cbq|=|(cb+q)|=|cb+q|(|x|=|x|)PQ=cbq=(cb+q)=cb+q(|x|=|x|)
となるので、PQ=LPQ=Lより
L=|cb+q|L=cb+q(1)
であることがわかります。

3. a0a0かつb=0b=0のとき

 a0a0かつb=0b=0のとき、直線llの方程式は
ax+c=0ax=cx=caax+c=0ax=cx=ca
となるので、y軸に平行な直線となります。
すると、垂線mはx軸に平行な直線なので、点Qのy座標は点Pのy座標に等しくなります。
したがって、点Qの座標は(ca,q)です。
2点P, Q間の距離PQ
PQ=|cap|=|(ca+p)|=|ca+p|(|x|=|x|)
となるので、PQ=Lより
L=|ca+p|
であることがわかります。

 2.、3.の場合でも()を満たします。
2.の場合のa=0かつb0のとき、()
L=|bq+c|b2=|bq+c||b|=|bq+cb|=|q+cb|=|cb+q|()
となり、2.の場合のLと一致します。
これは3.の場合でも同様です。
したがって、点P(p,q)と直線l: ax+by+c=0a,b,c,p,q:実数、a0またはb0)の距離L
L=|ap+bq+c|a2+b2
と表せることがわかります。
(2024/11)内容を修正しました。
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