多項式の割り算の余りの性質として
”$f(x)$を$g(x)h(x)$で割ったときの余りを$R(x)$とすると、$f(x)$を$g(x)$で割ったときの余りは$R(x)$を$g(x)$で割ったときの余りと等しい。”
というものがあります。
これは、なぜ成立するのでしょうか?
まずは余りのある割り算をどう式に表すのかをおさらいします。
\[7\div3=2\ 余り1\]
という割り算を掛け算を使って書き換えると
\[7=3×2+1\]
と表すことができます。
これと同様に$f(x)$を$g(x)h(x)$で割ったときの余りが$R(x)$のとき
\begin{equation}\begin{aligned}f(x)=g(x)h(x)P(x)+&R(x)\\ &\bigl(P(x):商\bigr)\end{aligned}\end{equation}
と表わせます。
$f(x)$を$g(x)$で割ったとき、$(1)$より$g(x)h(x)P(x)$は$g(x)$で割り切れて余りが$0$なので、$R(x)$を$g(x)$で割ったときの余りで$f(x)$の余りが決まることがわかります。
$R(x)$を$g(x)$で割った余りが$r(x)$であったとき
\begin{equation}R(x)=g(x)Q(x)+r(x)\end{equation}
と表されます。
$(2)$を$(1)$に代入すると
\begin{align*}f(x)&=g(x)h(x)P(x)+g(x)Q(x)+r(x)\\[0.5em]&=g(x)(h(x)P(x)+Q(x))+r(x)\end{align*}
となるので、$f(x)$を$g(x)$で割ったときの余りは$r(x)$となります。
$R(x)$を$g(x)$で割ったときを表したのは前述の通り$(2)$のことで、$f(x)$を$g(x)$で割ったときの余りと$R(x)$を$g(x)$で割ったときの余りはどちらも$r(x)$となることから、余りが等しくなることを確かめることができました。
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