の係数がのの2次式
はどのようにしての1次式同士の掛け算の形まで因数分解すればよいのでしょうか?
のとき
のとき、の2次式はとなります。
、すなわちはを2つ掛け合わせたものなので、この2次式はすべての項が因数としてをもちます。
したがって、を括りだすことができ、
と因数分解できます。
のとき
のとき、の2次式はとなります。
この2次式は因数分解公式
を利用して因数分解しますが、因数分解後の式はの値によって異なる形となります。
が負の数のとき
が負の数のとき、(正の数)とおくことができ、
と書くことができます。
ここで、の正の平方根をもちいてと表せるので
となる、すなわち
と因数分解することができます。
となり、先ほどの因数分解公式より
が正の数のとき
が正の数のときは、2次式を
と変形します。は負の数であり、これの平方根は実数にはないため、実数係数の範囲では因数分解できません。
の平方根のうちの符号のものは虚数となります。
すると、
すなわち、
となり、複素数係数の範囲での因数分解となります。
すると、
かつのとき
がともにでないときは、まず因数分解公式
で因数分解できるかを考えます。
3つの因数分解公式のうちの2つ
が利用できるかどうかは簡単に判別できます。
の2次式のの項の係数をで割り、乗して定数項と等しくなれば上の因数分解公式を利用できます。
の2次式のの項の係数をで割り、乗して定数項と等しくなれば上の因数分解公式を利用できます。
残る1つの因数分解公式
すると、
この方法は主に整数係数の範囲で因数分解するときに利用され、連立方程式はの因数分解によって解きます。
を利用するには、として、係数と定数項に着目します。
すると、
という関係があることがわかるので、この連立方程式からを求め、因数分解後の式を導き出します。
この方法は主に整数係数の範囲で因数分解するときに利用され、連立方程式はの因数分解によって解きます。
例えば、
因数分解公式より
という2次式を整数係数の範囲で因数分解する場合を考えます。整数係数の範囲なので、は整数に限定されます。
因数分解公式より
というように因数分解しようとしているので、
より
という連立方程式が成り立ちます。すなわち、因数分解後の因数となるそれぞれの1次式の定数項は足すと、掛けるととなるような整数であるということです。
ここで、連立されている2つの方程式の右辺はともに交換法則が成り立ち、の値との値を入れ替えても成り立ちます。(このような右辺の整式のことを対称式といいます。)
これは、この連立方程式の解は1つではなく、の値との値を入れ替えたもう1つの解があるということなので、解をただ1つにするために、今回はという条件を付け加えて求めます。
これは、この連立方程式の解は1つではなく、の値との値を入れ替えたもう1つの解があるということなので、解をただ1つにするために、今回はという条件を付け加えて求めます。
足してとなるような整数の組は無数にあるので、まずは掛けてとなるような整数の組を考えます。このとき、解の候補として書き出すので、左の整数のほうが大きくなるようにします。
となるような整数の組は
の4組があります。
これらの組の中で、和がとなるのはのみです。
となるような整数の組は
これらの組の中で、和がとなるのはのみです。
したがって、が連立方程式の解であるとわかり、
と因数分解できることがわかります。
このように、整数係数の範囲であれば掛けてになる数の組が限定されるので、が求めやすくなっています。
この方法でが求められない、すなわち因数分解できない2次式の場合は次の方法を利用して因数分解します。
上記の方法で因数分解できなかった場合は、平方完成と因数分解公式
を利用して因数分解します。
まずは2次式を平方完成します。平方完成とは、2次式をと定数項の和に変形することです。
の部分に着目すると、よりのとき、すなわちの展開式の一部であることがわかるので、
と変形することができます。
とおくと
となり、のときと似たの2次式になるので、同様の場合分けをして因数分解公式
を利用して因数分解します。
が正の数のとき
が正の数のとき、これの正の平方根はなので、
と書くことができます。
すると、先ほどの因数分解公式より
となり、を戻すと
となります。
したがって、
と因数分解できます。
が負の数のとき
が負の数のとき、これの平方根のうちの符号のものはなので、
と書くことができます。
すると、先ほどの因数分解公式より
となり、を戻すと
となります。
したがって、
と因数分解できます。
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