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2023年1月28日

定義域で場合分けする2次関数の最大値・最小値を求め方

「2次関数$y=x^2+6x+1$の定義域が以下の場合における最大値と最小値を答えよ。

(1)$\large a\leqq x\leqq a+1$

(2)$\large a\leqq x<a+1$

(3)$\large a<x<a+1$」

このような問題はどのように解けばよいのでしょうか?

 まずは2次関数を平方完成します。
\begin{align*}x^2+6x+1&=(x^2+6x+9)-9+1\\[0.5em]&=(x+3)^2-8\end{align*}
これにより2次関数は$y=(x+3)^2-8$となるから、2次関数のグラフは下に凸の放物線で頂点の座標は$(-3,-8)$であるとわかります。
これは定義域がないとき$x=-3$のとき最小値$-8$となることを意味します。

(1)$a\leqq x\leqq a+1$

 2次関数の最大値と最小値は頂点と定義域の位置関係によって以下の4つの場合に分かれます。(クリックで拡大できます。)
定義域による最大値・最小値の違い
上図のように定義域の端が定義域に含まれるとき、$x$が定義域の端の値のとき最大値や最小値をとる可能性があります。
また、$a<0$のとき、すなわち上に凸の放物線のグラフとなる2次関数の場合は上図の最大値と最小値が入れ替わります。

 $1.$~$4.$の場合をそれぞれ見ていきます。

1. 定義域の左端で最大値、右端で最小値をとる

 頂点のx座標は$x=-3$、定義域は$a\leqq x\leqq a+1$なので、$1.$の場合の条件は$a+1\leqq-3$、すなわち$a\leqq-4$です。

このとき$x=a$で最大値をとるので2次関数にこれを代入すると$y=a^2+6a+1$、
$x=a+1$で最小値をとるので同様に代入すると
\begin{align*}y&=(a+1)^2+6(a+1)+1\\[0.5em]&=a^2+8a+8\end{align*}
となります。

2. 頂点で最小となり、定義域の左端で最大値をとる

 2.の場合の条件は$\dfrac{a+(a+1)}{2}\leqq-3\leqq a+1$。以下のように$a$の範囲に直します。
整理すると
\[a+\frac{1}{2}\leqq-3\leqq a+1\]
各辺から$a$を引いて
\[\frac{1}{2}\leqq-a-3\leqq1\]
各辺に$3$を足して
\[\frac{7}{2}\leqq-a\leqq4\]
各辺に$-1$を掛けて
\[-4\leqq a\leqq-\frac{7}{2}\]
このとき$x=a$で最大値$a^2+6a+1$をとり、$x=-3$で最小値$-8$をとります。

3. 頂点で最小となり、定義域の右端で最大値をとる

 $3.$の場合の条件は$a\leqq-3\leqq\dfrac{a+(a+1)}{2}$、すなわち$-\dfrac{7}{2}\leqq a\leqq-3$です。
このとき$x=a+1$で最大値$a^2+8a+8$をとり、$x=-3$で最小値$-8$をとります。

 特に頂点のx座標が定義域の中間に位置する$a=-\dfrac{7}{2}$のとき、最大値をとるのは$x=a,a+1$のときの2つとなります。
$a$に代入してみると$x=-\dfrac{7}{2},-\dfrac{5}{2}$で最大値$-\dfrac{31}{4}$をとることがわかります。

4. 定義域の右端で最大値、左端で最小値をとる

 $4.$の場合の条件は$-3\leqq a$です。

このとき$x=a+1$で最大値$a^2+8a+8$をとり、$x=a$で最小値$a^2+6a+1$をとります。

 以上をまとめると
  • $a\leqq-4$のとき、$x=a$で最大値$a^2+6a+1$、$x=a+1$で最小値$a^2+8a+8$
  • $-4\leqq a\leqq-\dfrac{7}{2}$のとき、$x=a$で最大値$a^2+6a+1$、$x=-3$で最小値$-8$
  • $-\dfrac{7}{2}\leqq a\leqq-3$のとき、$x=a+1$で最大値$a^2+8a+8$、$x=-3$で最小値$-8$
  • $a\geqq-3$のとき、$x=a+1$で最大値$a^2+8a+8$、$x=a$で最小値$a^2+6a+1$
となります。

これが$(1)$の答えとなりますが、考え方の違いによりいくらか答え方が変わることがあります。
例えば、$1.$と$4.$に「定義域内に頂点のx座標を含まない」という条件が加わると、$a$の条件から等号が消えます。
最大値となる$x$の値と個数に着目すると$2.$と$3.$の$a$の条件の$-\dfrac{7}{2}$を結ぶ不等号から等号が抜けて「$a=-\dfrac{7}{2}$のとき$x=-\dfrac{7}{2},-\dfrac{5}{2}$で最大値$-\dfrac{31}{4}$」が新しく加わります。


(2)$a\leqq x<a+1$

 定義域の端の値は変わりませんが、右端のみ等号がついていません。すなわち、$x=a+1$が含まれていないので、定義域の右端における最大値・最小値はなくなります。
すると、以下のように場合分けされます。
定義域による最大値・最小値の違い2
上図の$1.$において$p=c$のとき、頂点のx座標は定義域内に含まれていないので頂点で最小となることはありません。
また、$3.$において$x=b$のときの$y$の値より$x=c$付近の$y$の値のほうが大きいので、$x=b$で最大値をとっていることにはなりません。
これらの点には注意してください。

 それぞれの場合の$a$の条件は$(1)$とほぼ同じなので、不等号についている等号の有無に注意して、

1. 定義域の左端で最大値をとり、最小値なし

 $1.$の場合の条件は$a+1\leqq-3$、すなわち$a\leqq-4$です。

このとき$x=a$で最大値$y=a^2+6a+1$をとり、最小値はありません。

2. 頂点で最小となり、定義域の左端で最大値をとる

 $2.$の場合の条件は$\dfrac{a+(a+1)}{2}\leqq-3<a+1$、すなわち$-4<a\leqq-\dfrac{7}{2}$です。
このとき$x=a$で最大値$a^2+6a+1$をとり、$x=-3$で最小値$-8$をとります。

3. 頂点で最小となり、最大値なし

 $3.$の場合の条件は$a\leqq-3<\dfrac{a+(a+1)}{2}$、すなわち$-\dfrac{7}{2}<a\leqq-3$です。

このとき最大値はなく、$x=-3$で最小値$-8$をとります。

4. 最大値なし、定義域の左端で最小値をとる

 $4.$の場合の条件は$-3\leqq a$です。

このとき最大値はなく、$x=a$で最小値$a^2+6a+1$をとります。

 以上をまとめると
  • $a\leqq-4$のとき、$x=a$で最大値$a^2+6a+1$、最小値なし
  • $-4<a\leqq-\dfrac{7}{2}$のとき、$x=a$で最大値$a^2+6a+1$、$x=-3$で最小値$-8$
  • $-\dfrac{7}{2}<a\leqq-3$のとき、最大値なし、$x=-3$で最小値$-8$
  • $a\geqq-3$のとき、最大値なし、$x=a$で最小値$a^2+6a+1$
となります。

(3)$a<x<a+1$

 今度は$x=a,a+1$は定義域に含まれません。すなわち、定義域の両端で最大値・最小値をとることはありません。
したがって、最小値をとれる頂点が定義域内にあるかどうかのみで変わり、以下の3つの場合に分かれます。
定義域による最大値・最小値の違い3

1. 定義域は頂点の左側で最大値・最小値ともになし

 $1.$の場合の条件は$a+1\leqq-3$、すなわち$a\leqq-4$です。

このとき最大値・最小値ともにありません。

2. 頂点で最小となり、最大値なし

 $2.$の場合の条件は$a<-3<a+1$、すなわち$-4<a<-3$です。

このとき最大値はなく、$x=-3$で最小値$-8$をとります。

3. 定義域は頂点の右側で最大値・最小値ともになし

 $3.$の場合の条件は$-3\leqq a$です。

このとき最大値・最小値ともにありません。

 以上をまとめると
  • $a\leqq-4$のとき、最大値なし、最小値なし
  • $-4<a<-3$のとき、最大値なし、$x=-3$で最小値$-8$
  • $a\geqq-3$のとき、最大値なし、最小値なし
となります。
$1.$と$3.$をまとめることもでき、
  • $a\leqq-4,-3\leqq a$のとき、最大値なし、最小値なし
  • $-4<a<-3$のとき、最大値なし、$x=-3$で最小値$-8$
とも書けます。

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