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2023年1月2日

2つの関数のグラフに挟まれた部分の面積

2つの関数のグラフとy軸に平行な2直線で囲まれた部分の面積
 区間$a\leqq x\leqq b$において常に$f(x)\geqq g(x)$である2つの関数$y=f(x),y=g(x)$と直線$x=a,x=b$に囲まれた部分の面積$S$は、定積分を利用して
\[S=\int_a^b\{f(x)-g(x)\}dx\]
で求めることができます。

定積分はx軸より上側にある部分か下側にある部分かで正負が変わりますが、なぜx軸との位置関係に関係なくこの式で面積を求めることができるのでしょうか?


1. x軸が$y=f(x)$より上側にあるとき

x軸より下側に面積を求める部分があるとき
 区間$a\leqq x\leqq b$において常に$f(x)\leqq0$のとき、x軸($y=0$)は$y=f(x)$より上側にあります。
このとき、上図のように$y=f(x)$と直線$x=a,x=b$とx軸に囲まれた部分の面積を$S_1$、$y=g(x)$と直線$x=a,x=b$とx軸に囲まれた部分の面積を$S_2$とすると、これらは定積分をもちいて
\begin{align*}S_1&=-\int_a^bf(x)dx\\[1em]S_2&=-\int_a^bg(x)dx\end{align*}
となります。($S_1,S_2$は$y<0$の領域内にあるので、定積分は負となります。)
 したがって、求める面積$S$は
\begin{align*}S&=S_2-S_1\\[0.5em]&=-\int_a^bg(x)dx-\left(-\int_a^bf(x)dx\right)\\[0.5em]&=\int_a^bf(x)dx-\int_a^bg(x)dx\\[0.5em]&=\int_a^b\{f(x)-g(x)\}dx\end{align*}
となります。

2. x軸が$y=f(x)$と$y=g(x)$の間にあるとき

x軸が面積を求める部分を横切るとき
 区間$a\leqq x\leqq b$において常に$f(x)\geqq0\geqq g(x)$のとき、x軸は$y=f(x)$と$y=g(x)$の間にあります。
このとき、上図のように$y=f(x)$と直線$x=a,x=b$とx軸に囲まれた部分の面積を$S_1$、$y=g(x)$と直線$x=a,x=b$とx軸に囲まれた部分の面積を$S_2$とすると、これらは定積分をもちいて
\begin{align*}S_1&=\int_a^bf(x)dx\\[1em]S_2&=-\int_a^bg(x)dx\end{align*}
となります。
 したがって、求める面積$S$は
\begin{align*}S&=S_1+S_2\\[0.5em]&=\int_a^bf(x)dx+\left(-\int_a^bg(x)dx\right)\\[0.5em]&=\int_a^bf(x)dx-\int_a^bg(x)dx\\[0.5em]&=\int_a^b\{f(x)-g(x)\}dx\end{align*}
となります。

3. x軸が$y=g(x)$より下側にあるとき

x軸より上側に面積を求める部分があるとき
 区間$a\leqq x\leqq b$において常に$g(x)\geqq0$のとき、x軸は$y=g(x)$より下側にあります。
このとき、上図のように$y=f(x)$と直線$x=a,x=b$とx軸に囲まれた部分の面積を$S_1$、$y=g(x)$と直線$x=a,x=b$とx軸に囲まれた部分の面積を$S_2$とすると、これらは定積分をもちいて
\begin{align*}S_1&=\int_a^bf(x)dx\\[1em]S_2&=\int_a^bg(x)dx\end{align*}
となります。
 したがって、求める面積$S$は
\begin{align*}S&=S_1-S_2\\[0.5em]&=\int_a^bf(x)dx-\int_a^bg(x)dx\\[0.5em]&=\int_a^b\{f(x)-g(x)\}dx\end{align*}
となります。

4. x軸が$y=f(x)$または$y=g(x)$と共有点を持つとき

x軸が面積を求める部分を横切るとき2
 区間$a\leqq x\leqq b$においてx軸と$y=f(x)$または$y=g(x)$が交点を持つときを考えます。
上図のように$y=f(x)$とx軸が交わる場合、$f(x)=0$となるx座標を$x=c$とします。
$x=c$で分割し、$y=f(x),y=g(x)$と直線$x=a,x=c$に囲まれた部分の面積を$S_1$、$y=f(x),y=g(x)$と直線$x=c,x=b$に囲まれた部分の面積を$S_2$とすると、$S_1$は2.、$S_2$は1.の場合を利用して求められるから、求める面積$S$は
\begin{align*}S&=S_1+S_2\\[0.5em]&=\int_a^c\{f(x)-g(x)\}dx+\int_c^b\{f(x)-g(x)\}dx\\[0.5em]&=\int_a^b\{f(x)-g(x)\}dx\end{align*}
となります。
このように$y=f(x)$か$y=g(x)$とx軸が交点を持つ場合はそのx座標で分割し、それぞれ1.、2.、3.のいずれかの場合に当てはめて面積を求めることができます。

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