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2023年1月14日

平行線と等間隔の点でつくる格子

 等間隔に引かれた3本の平行線$a,b,c$のうち、直線$a$と$c$上にそれぞれ異なる長さで等間隔に3個ずつ点$A_1,A_2,A_3$と$C_1,C_2,C_3$を打ちます。
$A_1$と$C_1$、$A_2$と$C_2$、$A_3$と$C_3$を直線$d,e,f$で結び、直線$b$との交点をそれぞれ$B_1,B_2,B_3$とすると、以下が成り立ちます。
\begin{align*}A_nB_n&=B_nC_n\\[0.5em]X_1X_2&=X_2X_3\\ &\quad(n=1,2,3.\ X=A,B,C.)\end{align*}

これはなぜなのでしょうか?

 まずは、$A_nB_n=B_nC_n\ (n=1,2,3)$であることを確かめます。

$A_1$から直線$b$、$B_1$から直線$c$へそれぞれ垂線を下ろし、交点を$H_b,H_c$とします。このとき$△A_1B_1H_b$と$△B_1C_1H_c$に着目します。
$A_1H_b,B_1H_c$はそれぞれ直線$b,c$に対する垂線なので$∠A_1H_bB_1=∠B_1H_cC_1=90°$。
直線$a,b,c$は等間隔に引かれた平行線なので$A_1H_b=B_1H_c$。
直線$b$と$c$は平行なので同位角が等しく、$∠A_1B_1H_b=∠B_1C_1H_c$が成り立ちます。
このことから
\begin{align*}∠B_1A_1H_b&=180°-(∠A_1H_bB_1+∠A_1B_1H_b)\\[0.5em]&=180°-(90°+∠A_1B_1H_b)\\[0.5em]&=90°-∠A_1B_1H_b\\[1.5em]∠C_1B_1H_c&=180°-(∠B_1H_cC_1+∠B_1C_1H_c)\\[0.5em]&=180°-(90°+∠B_1C_1H_c)\\[0.5em]&=90°-∠B_1C_1H_c\\[1.5em]&\therefore∠B_1A_1H_b=∠C_1B_1H_c\end{align*}
1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しいので$△A_1B_1H_b$と$△B_1C_1H_c$は合同であることがわかります。

したがって、$A_1B_1=B_1C_1$となります。
他の直線に関しても同様の方法で示すことができるので、$A_nB_n=B_nC_n\ (n=1,2,3)$が成り立つことがわかります。


 次に$X_1X_2=X_2X_3\ (X=A,B,C)$であることを確かめます。

直線$d$を$A_1$と$A_2$が重なるように平行移動し、平行移動後の直線を$d'$とします。
直線$d'$と直線$b,c$との交点をそれぞれ$B_1',C_1'$として$△A_2B_1'B_2$と$△A_2C_1'C_2$に着目します。
平行線の同位角より
\begin{align*}∠A_2B_1'B_2&=∠A_2C_1'C_2\\[0.5em]∠A_2B_2B_1'&=∠A_2C_2C_1'\end{align*}
2組の角がそれぞれ等しいので$△A_2B_1'B_2$と$△A_2C_1'C_2$は相似であることがわかります。

相似比と$A_2B_1'=B_1'C_1'$から
\begin{equation}A_2B_1':A_2C_1'=B_1'B_2:C_1'C_2=1:2\end{equation}
です。
また、$A_1A_2=B_1B_1'=C_1C_1'$より
\begin{align}C_1'C_2&=C_1C_2-A_1A_2\begin{aligned}\\[0.5em]\end{aligned}\\ B_1B_2&=A_1A_2+B_1'B_2\end{align}
です。

 今度は直線$e$を$A_2$と$A_3$が重なるように平行移動し、平行移動後の直線を$e'$とします。
直線$e'$と直線$b,c$との交点をそれぞれ$B_2',C_2'$として$△A_3B_2'B_3$と$△A_3C_2'C_3$に着目します。
平行線の同位角より
\begin{align*}∠A_3B_2'B_3&=∠A_3C_2'C_3\\[0.5em]∠A_3B_3B_2'&=∠A_3C_3C_2'\end{align*}
2組の角がそれぞれ等しいので$△A_3B_2'B_3$と$△A_3C_2'C_3$は相似であることがわかります。

相似比と$A_3B_2'=B_2'C_2'$から
\begin{equation}A_3B_2':A_3C_2'=B_2'B_3:C_2'C_3=1:2\end{equation}
です。
また、$A_2A_3=B_2B_2'=C_2C_2'$より
\begin{align}C_2'C_3&=C_2C_3-A_2A_3\begin{aligned}\\[0.5em]\end{aligned}\\ B_2B_3&=A_2A_3+B_2'B_3\end{align}
です。

ここで、$C_1C_2=C_2C_3$であることと(2)、(5)より$C_1C_2=C_2'C_3$。
このことと(1)、(3)より$B_1'B_2=B_2'B_3$。
このことと(3)、(6)より$B_1B_2=B_2B_3$が導かれます。
したがって、$X_1X_2=X_2X_3\ (X=A,B,C)$が成り立つことがわかります。

 上図のように平行線や点の数を増やした場合でも、上記のように合同と相似を利用して
\begin{align*}A_nB_n=B_nC_n&=C_nD_n=D_nE_n\\[0.5em]X_1X_2=X_2X_3&=X_3X_4=X_4X_5\\ &\quad(n=1,2,3,4,5.\ X=A,B,C,D,E.)\end{align*}
が成り立つことを確かめることができます。
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