「∠A=135°である三角形ABCは半径3の外接円を持つ。
この三角形の面積Sのとりうる値の範囲を求めよ。」
このような問題はどのように解けばよいのでしょうか?
この問題を解くには、三角形の面積の公式
S=12bcsin∠A
と正弦定理
asin∠A=bsin∠B=csin∠C=2R
を利用します。
正弦定理より
bsin∠B=2Rb=2Rsin∠Bcsin∠C=2Rc=2Rsin∠C(1)(2)
三角形の面積の公式に
(1),(2)を代入して
S=12sin∠A(2Rsin∠B)(2Rsin∠C)=2R2sin∠Asin∠Bsin∠C
∠A=135°,R=3を代入すると
S=2⋅32sin135°sin∠Bsin∠C=18⋅√22sin∠Bsin∠C=9√2sin∠Bsin∠C
となります。
ここで、積和の公式
sin∠Bsin∠C=−12{cos(∠B+∠C)−cos(∠B−∠C)}=12{cos(∠B−∠C)−cos(∠B+∠C)}
より
S=9√22{cos(∠B−∠C)−cos(∠B+∠C)}
また、三角形の内角の和は
180°で
∠A=135°より、
∠B+∠C=45°なので、
S=9√22{cos(∠B−∠C)−cos45°}=9√22{cos(∠B−∠C)−√22}
となります。
∠B+∠C=45°より
0°<∠B<45°,0°<∠C<45°なので、
−45°<∠B−∠C<45°です。
このとき√22<cos(∠B−∠C)≦1となるから、各辺から√22を引いて0<cos(∠B−∠C)−√22≦1−√22です。
さらに各辺に
9√22を掛ければ真ん中の辺は
△ABCの面積
Sとなるから
0<S≦9√2−92
これが求める答えとなります。
この問題が△ABCの面積の最大値と最小値を求める問題であった場合、まずは上記の範囲の端の値になるときの条件を調べます。
cos(∠B−∠C)−√22=0すなわちcos(∠B−∠C)=√22となるのは∠B−∠C=±45°すなわち∠B=45°,∠C=0°または∠B=0°,∠C=45°のとき、
cos(∠B−∠C)−√22=1−√22すなわちcos(∠B−∠C)=1となるのは∠B−∠C=0°すなわち∠B=∠Cのときです。
このことから∠Bか∠Cが限りなく0°に近づいたとき△ABCの面積も限りなく0に近づき、△ABCが∠B=∠C=22.5°である二等辺三角形になったとき面積は9√2−92で最大になることがわかります。
ここで最大値・最小値を答えるときの注意点は最大値は9√2−92ですが、最小値はないということです。これは、これが最小だという決まった値がないためです。